2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧
第七章 ズ~イ伴現象 シンボルは、シグナルを濾過して活性化する。これが結果的に、動物が密接に世界と関わることを可能にしている。成熟した人間は適切な場面で適切に反応することができるが、それは長年写し取って来た外界の現実性を整理してきた結果であ…
carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 前回の記事では、 「人間関係がいかに人を疲れさせるか」 「過度の期待をやめ、あきらめることで疲れを予防する」 そして「共生という関係」 について書いた。特に大事なのが予防策を打ったうえでの、具体的な対人関係…
第五章 ビデオフィードバック 略 第六章 自己とシンボル 生物は生き延びるために、《身近に進行していることを、どんなに初歩的な形であっても、何らかの方法で察知し分類する能力を発達させる必要がある》(p.104)。その能力が自分自身に向けられるようにな…
私たちはなぜ生まれてきたのだろうか。 幸福(Eudaimonia;よき人生;開花)を考えるうえでの出発点は、私たちが動物の一種であるということだ。私たちはほかの動物となんら変わりのない普通の生物であり、その一方で、ホモ・サピエンスという非常に「特異な…
第一章 私は何を知っているか 「従順な死」。哲学者フィリッパ・アリエスは産業革命以前の数千年のヨーロッパでの死をそう呼んだ。そこでももちろん死は恐れられていたが、《死は身近にあり、急に来て、周知、公然のもの》(p.11)であり、《死を迎える人も、…
序文 大方の人間にとっては死は噂であり、所詮、他人事である。 現代の死に方: 医療の最前線から 人は死ぬ。確実に。なのに何故か、あるいは、だからこそ、自殺を選択するような人がいる。とはいえ、ほとんどの人は死についてあまり意識にのぼらないらしい。…
同情と公平。これは協力における二つの形「利他的な援助」と「相利共生型の協同」の二つの違いを説明するものとされる。道徳性と呼ばれる協力形態においても無論である。そして同情とは道徳性において基礎的なものであり、血縁選択に基づく子への親の世話が…
第三章 パターンの因果的影響力 本書を読み進めるためには、思考する存在が複数の記述レベルで説明可能なこと、およびそのレベル間の相互関係がどのようなものかをはっきり理解する必要がある。 わたしは不思議の環 逆説的にすら聞こえるだろうが、ごく当た…
本書を通じて自分の考えが哲学者たちに伝わるのを望みはするが、哲学者のような書き方はするまいと思っている。わたしには、多くの哲学者は数学者と同じで、自分の正しさを実際に証明できると信じていて、そのために非常に厳密で専門的な言葉を多く用い、場…
徳であるための客観的基準 ある特定の性格特性が徳であるといえるための客観的基準は存在するのだろうか。徳倫理学を説明するためには「徳とは……」という、……の部分を補完しなければならない。それは義務論が、何を正しいルールとするかを決めなければならな…
誤解がないようにもう一度、はじめよう。第一章で見てきたのは『論理学研究』における現象学であった。しかし『イデーン』においてはより一層、心理学との差別を明確化させている。そこでは現象学はいかなる意味においても、「心理学」ではなくなる。 心理学…
徳倫理学の位置づけ 行為功利主義者が「正しい行為」について記述するならば、《行為は、それが最善の結果をもたらす時、またその場合に限って、正しい》(p.39)となるだろう。功利主義者は正しい行為と最善の結果という二概念を結び付ける。そして次に《最善…
第二章 現象学の展開 フッサールは「現象学は記述的心理学である」と書いている。これは第一章で見たように、論理学的認識一般の解明のために意識を研究するのだからこう呼ばれるのであるが、しかしそれはやはり通常の意味での心理学ではない。現象学は心理…
さて、問題はこうだった。 心理的・実在的な存在者である我々が、いかにして理念的なものと関わりうるのか。 心理的なもの、それゆえ実在的なものと理念的なものとはどうして一種の内的統一を持ちうるのか。 理念的なものがどうして実在的なもののうちに現象…
直観において対象が与えられること。この「与えられる」という現象的性格をフッサールは「所与性(Gegebenheit)」と名づけた。この概念は充実化の観点から理解されるべきものである。というのも、ある対象が与えられるというのは、ある志向に充実化が実現す…
「雨が降っている」という文を理解するために、カーテンを開ける必要はなく、想像してみる必要すらない。ゆえに意味作用は知覚や想像といった直観的な表象作用とは区別されなければならない。だが、本質的ではないにせよ、実際に見て確認することはできる。…
人と会話した後に「あぁ、やってしまった」という後悔が必ずあります。目の前に人がいる場合も、電話も、メールもそうです。安心なのがTwitterとブログなのですが、これはそもそもレスポンスを期待する度合いが他よりも小さいからかもしれません。ふぁぼの数…
「雨が降っている」ということで雨が降っていることを意味し、またその文を読むことによって雨が降っていることを理解する。この意味し、理解するという体験もまた、雨が降っているという事態に方向づけられた志向的体験である。 紙の上に垂らされたインク自…
ペンギンは、真核生物の動物界脊索動物門鳥綱ペンギン目ペンギン科の動物であり、6属18種の区別がある。鳥綱というのは、口がクチバシになっている卵から産まれる脊椎動物のことで、飛べるか飛べないかは関係がない。 エンペラーペンギン属(2種) アデリー…
エウダイモニア主義というのは、幸福Eudaimoniaあるいは開花Flourishingと徳を積極的に結びつけようとする考え方である。『依存的な理性的動物: ヒトにはなぜ徳が必要か (叢書・ウニベルシタス)』においては、開花というものを、それが埋め込まれる社会関係…
さて、命題というものはまず言語表現という媒体を通して与えられる。そこでフッサールが問題としたのは「表現」であった。表現が表現として機能するのは、そこに一種の志向的体験が成り立つからだというのが結論である。 志向性とはなんだろうか。たとえば知…
『論研』第二巻の問題意識はフッサールと心理主義の対立において、フッサールの主張が正しいと考えた時に生じてくる。つまりもしフッサールに軍配が上がるとすれば、かたや心理的ー実在的な存在者としての我々があり、かたや理念的な命題とその論理的連関が…
ストーリー アイテム 敵を知る ストーリー あと2か月半で試験が来る 宅建を受けてしまおうという にんじんの挑戦がはじまる(試験があるのを忘れていた)。 合格率 17.6%(R2年度) アイテム 戦略: ひたすらこれをやるだけ。ラストスパートは予想模試…
第一章 『論理学研究』における現象学と志向性 現象学にとって、『論理学研究』という著作は「突破口」になったのだと、フッサールは回想している。この著作の第一巻はいわゆる論理学的心理主義の徹底した批判を加える。論理学的心理主義は、思考というもの…