にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

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哲学

にんじんと読む「生命と自由(斎藤慶典)」🥕 第一章①

今回はこの本です。 生命と自由: 現象学、生命科学、そして形而上学 生命と自由: 現象学、生命科学、そして形而上学 作者:斎藤 慶典 発売日: 2014/06/24 メディア: 単行本 何ものかに対して何ものかが何ものかとして現れること、即ち現象。 これを「現実」を…

にんじんと読む「生まれてきたことが苦しいあなたに(大谷崇)」🥕 ③

「生まれたこと」から考える 生まれてきてしまった。こういうとネガティブな感じがして性に合わなければ、ともかく生まれた。生まれている。このことは間違いない。そして私たちは自殺しようと思わない。いくら厭世的であろうが、生きたいと思っている。 大…

にんじんと読む「生まれてきたことが苦しいあなたに(大谷崇)」🥕 ②

carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 自殺 厭世主義者はもっとも受ける批判が「自殺しないの?」だろう。 しかし当たり前だが、「生まれなきゃよかった」からといって「自殺しなければならない」は帰結しない。とはいえ、彼らが漠然と自殺に惹かれているの…

にんじんと読む「生まれてきたことが苦しいあなたに(大谷崇)」🥕 ①

今回読んだ本はこちら。 生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想 (星海社新書) 生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想 (星海社新書) 作者:大谷 崇 発売日: 2019/12/27 メディア: 新書 残念! 生ま…

にんじんと読む「リズムの哲学ノート(山崎正和)」🥕 第四章前半まで

第四章 リズムと認識 これまでの考察でわかったことは、ゲシュタルトの現われる場所は人間の身体だということだろう。「ルビンの壺」が現れるのも、自然の光景が一まとまりの絵柄として現れるのも、その場所は外界の現実でもなく、まして内面の意識でもなく…

にんじんと読む「リズムの哲学ノート(山崎正和)」🥕 第二章+第三章

carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 第二章 リズムと持続 従来の哲学によれば、感覚は人間が外界に触れる第一歩であって、経験論者はその信憑性を論証することによって、観念論者はそれを錯覚として否定することによって、思索を始めてきた。だがベルクソ…

にんじんと読む「リズムの哲学ノート(山崎正和)」🥕 第一章

第一章 リズムはどこにあるか リズムという現象について。 たとえば振り子。鹿威し。体内時計や心拍・呼吸。水面に落とした石を中心に広がっていく波。月の満ち欠け。天体の公転運動。 リズムはどの文明においても広くみられる。リズムは言葉を知らない幼児…

にんじんと読む「現象学ことはじめ(山口一郎)」🥕 序章

序章 自然科学という学問は、生活世界という基盤を忘れはじめから自存自立しているような幻想を抱きそれに呪縛されている―――自然科学の成り立ち「生活世界論」 人が意識する手前、つまり、気づく前に生命体としての人が他の人やまわりの状況の間にかかわりが…

にんじんと読む「現象学ことはじめ(山口一郎)」🥕 第二章まで

第一章 数えること 「心の働き」と「心の内容」は区別しなければなりません。たとえば「喜んだり、悲しんだり、見たり、聞いたり、想像したり、思い出したり、判断したりする」ことと「喜びや悲しみといった感情、見えている何か、聞こえている何か、想像さ…

にんじんと学ぶ「心という場所(斎藤慶典)」🥕 第一章まで

第一章 心という場所 本書は私たちの現実を、「存在」の充溢と過剰によって惹き起こされた亀裂のもとで何ものかが「現象」へとみずからを突破し、この「現象」のもとでみずからを表現するにいたる一連の過程として捉え直そうとする。ここで「現象」とは、「…

にんじんと学ぶ「心という場所(斎藤慶典)」🥕 序章

序章 「現象する」とは何の謂いか 序章 「現象する」とは何の謂いか 私たちの現実はどこからどこまでも「現象すること」を基盤として成り立っているのだ。 心という場所―「享受」の哲学のために 哲学をはじめるにあたって、にんじんとしても出発点としたいの…

もう一度にんじんと読む「哲学的思考(西研)」🥕 第四章(途中で終わり)

第四章 何のための〈還元〉か(2) とにかくわかりづらいので、『純粋心理学』について見なおしておこう。 まず純粋心理学とは心を扱う学問である。心的なものの存在を私たちに感じさせてくれる経験とは「反省」である。反省によって与えられる心的体験は、…

もう一度にんじんと読む「哲学的思考(西研)」🥕 第三章

第二章 〈生〉にとって学問とは何か carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 第三章 何のための〈還元〉か(1) これまでの経過をまとめておこう。フッサールはデカルト的姿勢を受け継ごうとした。それは『哲学するための確実な疑い得ない地盤を求める姿勢』…

もう一度にんじんと読む「哲学的思考(西研)」🥕 第一章

第一章 ”学問の基礎づけ”とは何か フッサールの現象学はデカルトの描いたモチーフを徹底させたものだという。つまり『哲学するための確実な疑い得ない地盤』を本気で追い求める姿勢である。ところがデカルトは今や批判され尽くした人物であって、こうした『…

もう一度にんじんと読む「哲学的思考(西研)」🥕 序章

序章 現代思想の〈真理〉批判をめぐって この序章では、現代思想の〈真理〉批判のあらましをたどりながら、その仕方のどこに問題があったのか、そして現象学はこの同じ問題に対してどのような構えをとろうとするのか、ということを描き出してみたい。 哲学的…

ハイデガーの勉強:存在の問い&現存在の謎&存在了解

存在の問い なぜ現存在なのか 現存在の「優位」の起源:実存が存在了解を根拠づける 現存在の本質である実存 現存在と人類の関係 存在了解の構造 存在の問い 「存在する」とはどういうことなのか? 「存在」とはなにか? 存在者を存在者として規定する当のも…

にんじんと読む「ハイデガーの根本洞察(仲原孝)」🥕 本来性の謎①

本来性の謎 『存在と時間』における現存在分析の重要な課題の一つは、現存在がたいていの場合に陥っているとされる非本来的実存を克服した本来的実存とはいかなる実在様態なのかを明らかにすることである。ハイデガーはこれについて正反対の主張をしているよ…

にんじんと読む「ハイデガーの根本洞察(仲原孝)」🥕 現存在の謎①~③

『存在と時間』現存在の謎 三つの混同 現存在の優位性 「実存」の意味 現存在の謎・三つの理由の同一性 現存在と人間 『存在と時間』現存在の謎 三つの混同 存在する(ある)とはどういうことなのか、という「存在の意味」の解明にあたってハイデガーは人間…

にんじんと読む「デカルト『省察』の研究(山田弘明)」🥕 第一章まで

第一章 デカルト的懐疑の意味 デカルトの懐疑は、真理発見の方法としての懐疑(方法的懐疑)である。しかし、実はここには単なる方法以上の積極的内容を有しているのではないかと考える。そこで改めてデカルトの懐疑の意味を追求してみよう。 普遍的懐疑 デ…

(メモ)分節化について

コトバとは、世界を有意味な単位に分節化する機能のことである。この分節化機能を持つものは言語だけでなく、言語に結びつかない分節化もありうるためヒト以外の動物にもコトバは認められる。より一般に生命体にコトバは認められるといってよいだろう。なぜ…

にんじんと読む「『東洋』哲学の根本問題(斎藤慶典)」🥕 序章、第一章①②③

井筒俊彦の考える「東洋」とは コトバ・分節化 存在解体後の存在論 存在の階層性 井筒俊彦の考える「東洋」とは 東洋哲学というとインド・中国・日本に限定して捉えられることが多いが、井筒はそのような枠付けを越えて<いわゆる中近東(イスラーム・ユダヤ…

にんじんと読む「老荘思想における絶対的なものと完全な人間(井筒俊彦)」🥕

この記事は井筒俊彦英文著作翻訳コレクション『東洋哲学の構造』に収録されているエラノス会議講演集のひとつを「読んでみた」ものです。わかりやすいので、普通にこれを借りて読まれたほうがいいかもしれません。 第一節 第二節 儒教の意味論 第三節 老荘思…

にんじんと読む「生き方について哲学は何が言えるか(バーナード・ウィリアムズ)」🥕 第一章&第二章

生き方について哲学は何が言えるか (ちくま学芸文庫) 良き人生について―ローマの哲人に学ぶ生き方の知恵 ニコマコス倫理学(上) (光文社古典新訳文庫) 第一章 ソクラテスの問 第二章 アルキメデスの支点 第一章 ソクラテスの問 ソクラテスは問うた―――「人は…

にんじんと読む「幸福論(三谷隆正)」🥕

西洋哲学史 (教養全書) 幸福論 (岩波文庫) アラン 幸福論 (岩波文庫) 第一章 幸福論の歴史 ソクラテス学派 紀元前399年、アテネでソクラテスが刑死した。彼は誰のことも弟子とは呼ばなかったが、彼を師と仰ぐ者たちはソクラテスの亡きあと、彼を理解すること…

にんじんと挑む「純粋理性批判(カント)」🥕 第一版序文

第一版序文(一七八一年) 第一版序文(一七八一年) 人間の理性がどうしても直面する問題があり、しかもそのうちには答えることのできないものがある。理性が困難に陥るのはそれがもつ本性によるもので、また答えることができないのはその能力を超えている…

にんじんと読む「実践的知識の構造(菅豊彦)」🥕 途中まで

行為っていったいなんだろう 運動というのは物理学などの科学法則によって因果的に完璧に説明されるように思われる。しかし、そうすると殺人犯が犯した罪もまた遠い昔に決まっていたことであり、彼には「責任」はないということになるのだろうか―――ならない…

にんじんと読む「明確化の哲学(大谷弘)」🥕

序章 ウィトゲンシュタインを読む 第一章 アウグスチヌス的言語観 第二章 言語ゲーム ウィトゲンシュタイン哲学を学んでどうなるのか? 事例:アウグスチヌス言語観 事例:規則の問題 事例:相対主義 序章 ウィトゲンシュタインを読む 哲学とは世界観=あた…

古代懐疑主義=ピュロン主義の思想について

懐疑主義の基本テーゼ 探求の継続と判断保留の両立について アタラクシアという幸福 再びアタラクシアとメトリオパテイアについて 判断保留のための「十の方式」 参考文献 参考記事(削除予定) ヘレニズム時代とは、マケドニアのアレクサンドロス大王(前三…

にんじんと読む「ヘレニズム哲学(A・A・ロング)」🥕 第二章まで

序文 ヘレニズム期の哲学者たち―――ストア派、エピクロス派、懐疑派―――が人びとの心に訴えたのは、諸派のうちどれを選択するかがその人の生き方を根本的に決定するからであった。 ヘレニズム哲学が衰退してきたのはキリスト教やグノーシス主義が台頭と時を同…

にんじんと読む「現代認識論入門」🥕 第三章

第三章 因果説による対応――外在主義その1 ゲティア事例で目立つのは、通常ではありえない偶然がはたらいていることである。知識というからには「たまたま当たった」というようなことがあってはならないはずではないか?———この点を指摘したのがピーター・ア…