にんじんブログ

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「日本語が亡びるとき」

良い本をちょっと紹介するコーナーです。

今回は「増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫)」です。

  にんじんはかなり持っていた本を処分したんですけども、ちょっと捨てられない、また読みたいなと思ってとっておいたのがこの本です。「英語」というもの悩んでいた時期でもあったので、どんどん読みました。英語に関する認識が変わった本でもあり、日本語というものをはっきりと認識した本でした。

「英語という<普遍語>の意味を問い、その力を前に、日本語をどうしたら優れた「書き言葉」として護ることができるか、それを真剣に問わねばならない――と訴えているだけである。それは英語にあらざる<国語>を母語とする人たちの共通の問いである」

 

然しこれからは日本も段々発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、「亡びるね」と云った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐ擲ぐられる。わるくすると国賊取扱にされる。三四郎は頭の中の何処の隅にもこう云う思想を入れる余裕はない様な空気の裡で生長した。だからことによると自分の年齢の若いのに乗じて、他を愚弄するのではなかろうかとも考えた。男は例の如くにやにや笑っている。その癖言葉つきはどこまでも落付いている。どうも見当が付かないから、相手になるのを已めて黙ってしまった。すると男が、こう云った。
熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」で一寸切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中の方が広いでしょう」と云った。「囚われちゃ駄目だ。いくら日本の為を思ったって贔屓の引倒しになるばかりだ

三四郎夏目漱石

 

三四郎 (新潮文庫)

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