国民年金法とは
国民年金制度は、
日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的
としています。
ちなみにこちらが日本国憲法第25条です。
第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
国民年金は初めから全国民対象だったわけではありません。
農民・自営業者たちのために昭和34年(1959年)4月に制定され、同年11月に施行されました。当初は無拠出制、つまり税金でお金が出されていましたが、昭和36年4月からは拠出制、つまりわたしたちが年金のためにお金を払うことで成り立つようになりました。
最後に昭和60年に制度改革が行われ、昭和61年4月から全国民を加入対象とするに至りました。
管掌
※もちろんこの人だけで全部できるわけがないので、運営事務はいろんなところに投げています。いろんなところに投げているおかげで覚えづらいのですが、ぼんやりとまとめてみましょう。
だいたいの説明にはなりますが
- 日本年金機構
- 地方厚生局長等
といった機関が大まかな事務処理を担当し(大枠)
- 市町村長
- 共済組合
が届出などを処理します(個別)。自営業の人は市町村長、勤めてる人は共済組合と見ておきましょう。
基本的なことは全部「日本年金機構」がやっています。生計維持関係の作成・交付、保険料の申請免除に係る処分、保険料の追納の承認、滞納処分等、徴収、通知、督促、年金の支給…まぁだいたいやってます。
あとのところは「地方厚生局長」がやってます。地方厚生局長は厚生労働大臣の部下です。地方厚生局っていうのは厚生労働省の地方基地です。
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保険料納付期間
保険料をきちんと納めている人は納めていない人に比べてお金がもらえるのは、まぁ当然のことです。国民年金は毎月一定額を払うことになっているので、金額ではなくて期間が基準になります。
- 保険料納付済期間 … 払ったり差し押さえられたりした期間
- 保険料一部免除期間 … 一部免除になって一部払ってない期間
- 保険料全部免除期間 … 何も払ってないのが認められてる期間
- 第2、3号保険者であった期間
これの総和が年金に係る期間になります。バッチリ払ったことになってる太字の部分が多ければ多いほど年金額は増えます。まぁ、増えるといっても満額が70万ぐらいですが。
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国民年金法の被保険者
被保険者は
- 強制加入(1号、2号、3号)
- 任意加入
に分けられます。被保険者はこのどちらかにきれいに分類され、共通部分はありません。即ち、1号でありながら3号であることはできません。
【第一号被保険者】
- 日本国内に住んでいる
- 20歳以上60歳未満
- 厚生老齢年金に基づく老齢給付等を受けることができない
- 第2号、第3号被保険者ではない。
【第二号被保険者】
- 厚生年金保険の被保険者
- 老齢年金を受給できる65歳以上でないこと
【第三号被保険者】
- 20歳以上60歳未満
- 第2号被保険者の配偶者であって、主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの。
- 第2号被保険者ではない。
赤線はYES、青線はNO。
そうとはいえ、実際この図が問題において役立つことはほぼないでしょう。この図が役に立つとすれば、任意加入被保険者について考える場合です。ドクロマークの部分に注目してください。
【任意加入被保険者】
- 日本に住所有、20~60だけど厚生老齢年金受給できちゃうマン
- 日本に住所あるけど60歳以上65歳未満マン
- 国籍あるけど住んでねえ20~60マン
(1)ドクロ1。
厚生老齢年金を受け取れる人も「国内在住」「年齢要件」で加入できます。
(2)ドクロ2。
年齢要件を満たしてなくても「国内在住」で加入できます。
(3)ドクロ3.
国内在住を満たしてなくても「国籍」「年齢要件」で加入できます。
つまり任意加入被保険者とは、上図のドクロを一部カバーするためにあります。
しかも、65歳以上だったとしてもまだ加入できる可能性あるんですね。↓
【特例任意加入被保険者】
- 昭和40年(1965年)4月1日以前に生まれた
- 老齢年金を受給できない
- 65歳以上70歳未満
- 日本国籍あり、日本国内に住んでない65歳以上70歳未満
厚生労働大臣に申し出れば任意加入被保険者になれます。
最後に、資格の得喪ですが「その日に入って、出る時翌日」が原則です。例外はその都度覚えていきましょう。
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被保険者の届け出
第一号被保険者はその資格について、市町村長に、
第三号被保険者はその資格について、厚生労働大臣に届け出なければなりません。
(但し三号は二号の扶養なので、二号の会社か会社の組合を経由して提出。要するに、自分でやらなくても配偶者か会社がやってくれますよということです)
平成17年 国民年金法 問2 肢C 改変版
国民年金原簿は、厚生労働大臣が、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者を除く被保険者全員について、その資格を取得した日、喪失した日及び保険料の納付状況等を記録するために作成される。
答えはマル。2~4号っていうのは地方公務員共済組合がどうとか私立学校なんたら共済組合がどうとかいう普通の人たちとは違う種別でした。国民年金原簿はそういう人たち以外のフツーの人たちの名簿なんですね。
平成30年 国民年金法 問7 肢E
寡婦年金を受けることができる妻は、国民年金原簿に記録された死亡した夫に係る特定国民年金原簿記録が事実でない、又は国民年金原簿に死亡した夫に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。
違ってたら親玉に訂正せんかいと請求ができます。答えはマル。
厚生労働大臣は被保険者に対する情報提供のために「ねんきん定期便」という①加入期間②年金見込み額③保険料納付額の三点セットが書いたやつを送ってきます。今こんだけ払ってるからこんだけもらえるで、というお知らせですね。
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期間計算
国民年金は保険なので、基本的には金をたくさん払ったやつのほうが得をするようにできています。そしてお金は毎月払うものなので、お金をたくさん払うというのはどれぐらいの期間払って来たかということでもあります。そこで、「期間計算」が非常に重要になってくるわけです。
- 被保険者期間は月単位。資格取得月から資格喪失月の前月まで計算。
- 取得月に資格を喪失した場合はその月を一か月として計算する。ただしその月にさらに資格を取得した場合はこの限りでない。要するに、また取得した場合はあんま気にしないでいい。
昭和29年4月1日生まれの第1号被保険者は、平成26年に60歳に達するが、その際、引き続いて任意加入被保険者又は第2号被保険者とならない場合、平成26年3月までが被保険者期間に算入される。
さぁ、誰かさんが60歳になってしまいました。この人はいつからいつまで被保険者としての期間を計算されるのでしょうか。ここで問題になるのは、期間のケツの部分です。3月は入るか、入らないか?
さて、原則を確認しましょう。ケツの計算は「資格喪失月の前月」でした。じゃあこの人が資格喪失するのはいつでしょう? 平成26年4月1日か、3月31日か?
答えは3月31日です。60歳に達した時とは、誕生日の前日のことです。資格喪失が3月ということは2月まで期間計算することになります。つまり、答えはバツ。
平成29年 国民年金法 問10 肢B
第1号被保険者として継続して保険料を納付してきた者が平成29年3月31日に死亡した場合、第1号被保険者としての被保険者期間は同年2月までとなり、保険料を納付することを要しないとされている場合を除き、保険料も2月分まで納付しなければならない。
さぁ、死にました。誕生日になったという終わり方ではないので原則通り資格喪失は死亡日の翌日になります。ということは4月1日に資格喪失なので、3月まで期間計算します。ということは、3月分も年金を払ってもらわないと困るということになります。答えはバツ。
被保険者期間の計算において、同一の月に種別変更が1回あり、第1号被保険者から第3号被保険者となった月につき、すでに第1号被保険者としての保険料が納付されている場合は、当該月は第1号被保険者とみなす。
さぁ、結婚しました。1号から3号になった月は1号と3号どっちとして扱われんねんという話です。答えは後の方です。つまり1→3に代わった場合は、3号として扱われます。答えはバツ。
平成22年 国民年金法 問8 肢B
被保険者の種別ごとに被保険者期間を計算する場合には、被保険者の種別に変更があった月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなし、同月中に2回以上の種別変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなす。
2回変わろうがなにしようが同じ! 後のやつとして扱われます。答えはマル。
国民年金事業の財政
今もっともホットなワードといってもいい国民年金事業ですが、
国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない
とされています。厚労省の「自助努力」ニュースを見た人にとっては学ぶ意欲が失せますが、試験に出るのでやりましょう。
財政については5年ごとに現在の状況をチェックして見通しをたてることになっています。100年ですよ。次の100年はどういう感じになるか予想をたてておくわけです。
そこで「あ、無理だわ」となったら給付額をいじる調整期間を設けてなんとかやりくりしようとするわけですね。
国民年金の給付に要する費用は三つ。
- 国庫負担
- 基礎年金拠出金
- 保険料
ですね。私たちが払っている保険料以外にも二つあるわけですね。というか、負担割合を見るとほぼほぼ国庫から出ています。基本的には半分が国庫ですね。国民年金は免除されても金がもらえますが、その分が増えれば増えるほど国庫負担は大きくなっています。保険料貰ってないので賄えないんですね。
基礎年金拠出金
厚生年金を払っている人は大体国民年金に加入しています。でも「国民年金」を意識することは少ないだろうと思います。どうしてかというと、厚生年金と国民年金を一括して払っているからですね。
厚生年金の場合はふつうは会社と折半して払っているので、あまり上乗せされている感じがしません。ところが厚生年金に納めている保険料の一部は国民年金の運用に回されています。これを「基礎年金拠出金」といいます。
計算方法は、
基礎年金の給付費 × (第二号+第三号)/国民年金の被保険者
です。
基礎年金拠出金の額の算定基礎となる第1号被保険者数は、保険料納付済期間に限られ、保険料免除期間を有する者及び保険料未納者は除かれる。
答えはバツ。除かれません。みんなです。
ただし第二号は20~60歳未満です。第三号はみんなです。