にんじんブログ

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人類の進化について

ホモ・サピエンスの特徴

 「人類」と言ってしまえば種類はひとつ。この記事を読める人はおそらく人類だろう(という言い回しをこの手の本を読むと必ず見かける)。

 われわれはホモ・サピエンスという動物の一種である。身近にいる様々な生物を見ても、これほど特徴的な生物はいないというほど特徴がある。先ほども言ったが、この記事を読めるのはわれわれだけで、他の生物は読めない。文字を扱って文章を作ることもしなければ、複雑な会話をすることはないだろう。われわれは将来的に自らが死ぬことを知っている。しかしどうも他の動物は知らないように見える。お葬式という行為は、他の生物のうちにも当てはまるものがあるとしても、非常に特殊な行動である。

 ホモ・サピエンスに近いところにいるのがチンパンジーである。チンパンジー類にはチンパンジーと、それからボノボと呼ばれる生物がいる。

 

honcierge.jp

 

 最も近いところにいるチンパンジー類と人類が別れたのはおよそ700万年前だと言われている。今のところ、最古の人類化石はサヘラントロプス・チャデンシスで、人類とチンパンジー類の共通祖先がそれぞれの道を歩み始めたばかりの人類であると目されている。

 いま、人類といったが、現在のところ人類はホモ・サピエンスしか残っていない。他は全て絶滅してしまったからである。他の人類は数十種類いたが、そのどれもが絶滅している。進化の軌跡がすべて失われてしまっているからこそ、「チンパンジーとヒトが似ているだなんて!」という不満が噴出するのである。ダーウィンが『種の起源』を書いたとき、ダーウィンはあえて人間に関する記述を控えめにした。しかしそれでもやはり、猛反発は避けることができなかった。

 

 さて、人類とチンパンジー類は分かれた。その変化がまず現れたのは「直立二足歩行」「犬歯の縮小」だった。

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

 直立二足歩行を行う生物は人類をおいてほかにない。他の生物はすべて、直立二足歩行を行わない。ペンギンはどうなんだ、というのは典型的な疑問で、実はペンギンはあんな姿をしていて直立二足歩行はしていない。チンパンジーがすたすたと歩く映像はいくらでもあるが、彼らも四つ足で運動するのがふつうである。人間が四つ足で歩こうとすると、頭を持ち上げなければならず、苦しい。チンパンジーにしても事情は同じである。直立二足歩行をしようと思えば、まぁまぁ苦しいに違いない。

 人類が直立二足歩行をするようになった理由として、イースト・サイド・ストーリーがある。一言でいえば「草原で暮らすようになったから」である。草原で暮らすようになり、にゅっと草むらから顔を出して敵がいないかどうか見たり、日差しをうける面積を防いだりするために人類は立ち上がった、という仮説である。

 ところが、直立二足歩行にメリットは恐ろしく少ない。まず敵がいないかどうかにゅっと顔を出したら向こうに見つかってしまう。直立二足歩行していると足が遅すぎてすぐ捕まってあの世行きである。クマに見つかって走って逃げるのはまず無理なのだ。イースト・サイド・ストーリーによる直立二足歩行の説明は現在では無茶だと言われている。

 

食料運搬仮説

 そこで与えられた回答が「食料を運搬するため」であったそうだ。両の手で持てば、より多くの持ち運びができる。そうしてこの仮説が正しいといわれる理由は「犬歯が縮小」していることである。

 犬歯はもちろん攻撃にも使われるが、使用頻度が高いのは仲間内である。オス同士でメスを取り合って争う。多夫多妻制や一夫多妻制の社会ではオス同士の争いが避けられない。しかしわれわれは一夫一妻制をとり、オス同士の争いが少なくなった。それで犬歯が縮小した。

 食料の持ち運びが多く出来るほど生き残りやすいのは当然である。いまわれわれは一夫一妻制であった。これにより直立二足歩行を獲得した個体はその遺伝子を持った子どもに確実に食料を運ぶことができる。もし多夫多妻制なら直立二足歩行をする遺伝子を持たない子どもに食料を振ってしまうことになる。それで少しずつ直立二足歩行をする個体が減り、やがていなくなった……。

 

 おそらく初期の人類で、いきなり一夫一妻制が成立したわけではないだろう。多夫多妻的な社会の中から、一夫一妻的なペアが形成されるような中間的な社会を経由したのだと思われる。

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)

 

 とあるように、当然もともと多夫多妻で通してきたやつらがいきなり一夫一妻になることほど奇妙なことはない。そうならざるをえないやむを得ない理由があったに違いない。そうすると順番的には、

 

  1.  多夫多妻維持できねえ事件
  2.  一夫一妻マン
  3.  一夫一妻マン進化 → 犬歯縮小
  4.  立ったほうがよくね? 一部が少しずつ重い腰を上げ始める
  5.  直立歩行マンへ進化

 

 ということになったのだろう。でも重い腰を上げ始めるといっても、たとえば犬がモノを手で運ぼうとしないように、これにも何か気の遠くなるような段階が必要であるが、その段階がいまいち思い浮かばない。

 しかしどうも、現在のところはこの仮説が一番有力なものであるらしい。

 

 先述したように直立二足歩行はデメリットが非常に大きく、他の生物では全く採用されていない。化石のなかには直立二足歩行を行っていたと考えられる生物がいるが、彼らは絶滅してしまった。

 直立二足歩行は「難産」の原因とされているが、実はそれは脳が大きくなって負担が大きくなってからの事で、脳が大きくなるのは250万年前でやっとである。700万年前付近では、苦労はしたにしてもいまほどの難産ではなかったと見られている。要するに、脳も大きくなく、いわゆる認知革命も起こっていない状況で、ただ食料を運べるだけのわれわれの祖先が生き残ったのはほとんど奇跡的なことだったようだ。

 

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

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