平均賃金の原則
労働基準法では、
平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日(賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日)以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額
といいます。たとえば算定事由発生日が5月26日で、賃金締め切り日が月末だとすると、2,3,4月の三か月が対象になります。5月31日に算定事由が発生した場合もこの三か月になりますので注意してください。
【賃金総額に算入しないもの】
- 臨時に支払われた賃金
- 三か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 通貨以外のもので支払われる賃金で一定の範囲に属しないもの
この三つが除外されます。いわゆる「賞与」と「通貨以外」ですね。
【算定期間及び賃金の総額から控除するもの】
- 業務上負傷、疾病により療養するための休業
- 産前産後休業
- 使用者の責めに帰すべき事由による休業
- 育児休業、介護休業
- 試の使用期間
今回は「算入しない」ではなく「控除」の話です。引き算してしまえるわけですね。
【最低保証額】
日給者、時給者などは、計算した平均賃金が最低保証額以下になっていないかどうか最後に確認しましょう。
最低保証額 = 賃金総額/労働日数 の6割
平均賃金の計算が「総日数」で、こちらは「労働日数」になっていることに注意。
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労働協約と労使協定
労働協約と労使協定という言葉を頻繁に目にすることと思います。
労働協約は労働組合、労使協定は過半数労働者の労働組合又は過半数労働者の同意によって取り付けることができるものですが、この決め方自体に大した違いがみられないのでいまいち区別ができず、困っている方もいるでしょう。
しかし、労働協約と労使協定は驚くほど違います。どう違うかというと、
就業規則は労働基準法の範囲内で定められるものです。労働時間は一日8時間以内が原則ですので、就業規則では7時間と定めることもできますよね。でも問題は就業規則っていうのは会社側が決めたものだということです。そこで登場するのが労働協約というワケです。
労働協約を使えば労働時間をたとえば6時間30分と取り決めて、就業規則の7時間をおさえつけることができるのです!
一方で、労使協定は労働基準法を叩きのめします。そのうちで有名なものは36協定です。労基法では上述のように8時間以内が原則となっていますが、世の中見渡してみればわかるように、長時間労働や残業で「8時間とかホワイト企業かよ」と言われるほどには労基法8時間規定はないものと同様になっています。この8時間規定を打ち破り、別にやらせてもおとがめなしになるよ、というものこそ労使協定だというワケです。
労使協定はこんな風にヤバい代物なので、もちろん使える範囲は制限されています。