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にんじんと読む「経営戦略の論理」

 今回はこちら。

 

 戦略とはなにか

 戦略とは、市場の中組織としての活動長期的基本設計図である。

 戦略は、中核戦略と展開戦略に分かれる。中核戦略とは事業活動の基本的枠組みであり、展開戦略はその枠の中での事業の運動としての展開の指針を決めるものである。

 中核戦略は次の三つのものを設計する。:(1)製品・市場ポートフォリオ、(2)業務活動分野、(3)経営資源ポートフォリオポートフォリオとはいくつかのものの組み合わせを表す。どんな製品分野、どんな市場分野を自社の活動分野とするか、そしてそれをどう組み合わせるかが1番である。ひらたくいえば、

  1.  だれに、何を、売るか?
  2.  製品を顧客に届けるまでの長い仕事の流れの中で、何を自社の業務とするか? たとえば開発を重たる業務とし、生産と流通は外部にアウトソースするという選択がある。
  3.  その仕事のために、どんな能力と特性を持っているか?

 この三つの全体のエキスを抽出したものが「事業のコンセプト」である。

 たとえばNECはそれをC&C(コンピュータ&コミュニケーション)と表現した。NECはコンピュータと通信を主要な事業分野とし、二つが重なり合う部分をNECの得意技とすべく力を注ぎ、二つの分野の連携・統合を実現できるための技術の蓄積に焦点をあてる。

 決定においては「コンセプト」→「中核戦略」ということもあるだろうが、ふつうは「中核戦略」→「コンセプト」という流れになる。コンセプトが思いつかないときは中核戦略が十分に焦点の絞られたものではないからかもしれない。

 

戦略とはなにか2:別の側面から

 戦略とは、企業や事業の将来あるべき姿とそこに至るまでの変革のシナリオである。

  あるべき姿を描き出すためには「目標」が必要である。というのは、「あるべき」という姿は何らかの基準があった上で生まれてくるものだからだ。目標を達成するために、事業はどのような姿になっているべきか? たとえば目標が世界シェア1位であるならば、アメリカ市場ではどのように展開していかなければならないだろうか?

 この定義には三つのポイントがある。

 ①目標を定めること自体は戦略のなかに入らないこと。

 理由:目標を決めただけで戦略が終わったと思う人がいるから。目標は上述の通り常用ではあるが、所詮スローガンにすぎない。単なるスローガンは戦略にはならない。

 

 ②「変革のシナリオ」を明確に戦略の一部として取り入れていること。

 理由:あるべき姿だけでは戦略とは言えないから、ということを強調するため。※まぁだいたい一番目と同じ。

 

 ③発想の順序のサイクル

 目標→あるべき姿→現状→変革のシナリオ というのが発想の順序。常識的には目標があって、それに対して今の現状はこうで、と考える。しかしここでは「あるべき姿」が先行している。この点がポイントである。

 

企業の戦略体系

 企業戦略と事業戦略はその内容がかなり異なる。事業とはもちろんある企業の事業である。企業の戦略は事業間の資源配分が特に問題になり、事業の戦略は市場対応行動のプランが特に問題となるため、設計図の項目がかなり違う。複数の事業戦略を合わせれば企業戦略になるわけではない。そしてすべての組織の長はそれぞれ戦略を持たなければならない。

 

 以上の用語を総合すると、企業の戦略体系と言うべきマトリックスが現れる。

 

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企業の戦略体系

 戦術とは、戦略を実行するための細かな活動計画である(戦略は基本設計図)。

 ある組織に下部組織がある場合、下部組織の戦略は上部組織における「戦術」と呼びうる。事業戦略は企業戦略の立場から見れば、企業戦略を実行するためのものだからである。もし下部組織がなければ、戦略とあわせて戦術も企業が策定しなければならないだろう。

 

 次は、策定した戦略がよいものであるかどうかをチェックする作業である。よい戦略を「戦略的適合」という。これらは三つの観点、①市場適合、②インターフェイス適合、③内部適合から判断される。

 

 

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

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