ペンギン学の第一課。
それはペンギンを見分けることです。
ペンギンは6属18種から成るのでした。もう一度確認しておきましょう。
- エンペラーペンギン属(2種)
- アデリーペンギン属(3種)
- マカロニペンギン属(7種)
- フンボルトペンギン属(4種)
- イエローアイドペンギン属(1種)
- リトルペンギン属(1種)
ペンギンの分類
ペンギンは鳥綱(ちょうこう)に属しています
(これは生物の階級で、ドメイン→界・門・綱・目・科・属・種と分かれていました。だから正式には、真核生物の動物界脊索動物門鳥綱ということになります。脊索というのは背骨のような『体の軸』がある生物のことですね)。
鳥綱というのは、口がクチバシになっている卵から産まれる脊椎動物のことです。ペンギンは空を飛べませんが、それは前肢が小さく体が重いからで、それだけでは鳥じゃないことにはならないんですね。ペンギンは空ではなく、海を飛ぶことを選んだ鳥だともいえるかもしれません。
ひとくちにペンギンといってもいろいろいますよね。動物界脊索動物門鳥綱ペンギン目ペンギン科……ペンギン目にはペンギン科しかいないのでここまでは一本道です。では次に「属」を見ていきましょう。
- エンペラーペンギン属
- アデリーペンギン属
- マカロニペンギン属
- フンボルトペンギン属
- イエローアイドペンギン属
- リトルペンギン属
これだけです。たった6属しかいないんですね。この中に17種が隠れています。
でかいぜ、エンペラーペンギン属
エンペラーペンギン属には「コウテイペンギン」と「キングペンギン」がいます。
似すぎてて何がなんだかわかりません。
コウテイペンギンはエンペラーペンギン、キングペンギンはオウサマペンギンともいわれますが、まぁ親しみやすいほうが良いでしょう。グローバル化に対応するため、にんじんブログでは以後「エンペラーペンギン」「キングペンギン」と呼ぶことにします。
エンペラーペンギンは18種の中で最大です。キングペンギンはその次にでかいです。エンペラーが1mでキングが90cmなので、格差を生じるほどの差には思えません。エンペラーの仲間内でもちびっこは「おまえキングじゃんw」と言われたりするのでしょうか?
皇帝と王様の見分け方は、
- 首のところのホワイトが腹とつながってたら皇帝、でなければ王様
- 住んでる場所が違う(エンペラーは南極で、極寒)。
- 王様はやや灰色
です。
じゃあ逆に「同じところはどこなの?」というと、卵の扱いです。
エンペラーペンギンもキングペンギンも、
卵を股に挟んで暖めます。
これ、実はエンペラーペンギン属の彼らだけです。
- エンペラーペンギンは500~600メートルまで潜れます。恐ろしい潜水能力です。体に生えた水切りの良い羽毛(あの黒い部分)が泳ぐたびに気泡を生じ、水の抵抗を少なくするということもわかっています。エンペラーペンギンが水中から地上にロケットのごとく飛んでくるあの速さも、あの羽毛から生まれているんです。
- キングペンギンは自分のいるコロニー(集団)の中で、ある省エネ術を使っています。それは、コロニー内を歩くときは寝てるやつのそばを通る、ことです。キングペンギンは家族以外が家族に近づくとキレます。ですので寝てるやつのそばを起こさないようにそっと通ることで、争いを回避しているのです。こう聞くとまるでキングペンギンが攻撃的な種族のようだが、よそさまには攻撃するどころか避けて通る。争うのは仲間内だけなのです。
繁殖地:南極大陸の周辺の定着氷上
巣はつくらず、卵は足の上であたためる。なわばりを完全に失った唯一の鳥。
キングペンギン
繁殖地:亜南極の8つの島
一見、王様ぶってはいるが、人の鞄を覗きにやってきたり、ゴムボートをみんなで追っかけてきたりする癖はどうしても治らない。
Suicaで使うぜ・アデリーペンギン属
交通系IC・Suicaでカード持ってるアイツがアデリーペンギンです。
アデリーペンギン属には「アデリーペンギン」「ジェンツーペンギン」「チンストラップペンギン」の三種類がいます。
チンストラップペンギンは聞き慣れないですが、「アゴヒゲペンギン」だったら聞いたことがあるかもしれません。名前の通り、ヒゲみたいな黒い線が特徴です。アデリーペンギン属の尾羽は長く、地面にペタリとくっつくほどです。
今回は相当見た目に特徴があるので区別は気楽です。
アデリーペンギンで有名なのはこの動画。エンペラーペンギンのヒナたちがカモメに襲われているのを、アデリーペンギンが颯爽と駆け付け、守ります。しかもそのあとずっと様子を見守っているのです。アデリーペンギンはカモメにも臆さず攻撃していくことで知られています。
アデリーペンギンはエンペラーのように直立して卵を温めず、腹ばいになります。
↑ アデリーペンギンの卵あたため
- ジェンツーペンギンはアデリーペンギン属の中では一番体が大きく、そしてペンギンの中では最速を誇ります。好奇心旺盛で人間にもひょこひょこ近づいてきます。クチバシの赤みが健康状態を示すらしく、栄養をあるものをしっかり食べていると赤く、明るい色になります。
- チンストラップペンギンはペンギンの中では一番、数が多いです。そしてまた、単独でいるとシュンとなるにもかかわらず、集団になると気性が荒くなり、他のペンギンを攻撃したりします。アデリーペンギン属の中では最大の喧嘩屋です。正直、チンストラップをずっと見てるとアデリーの中で最も狂気を感じます。
もっとも表情豊かなペンギンで、騒がしく、喧嘩が絶えず、雛は泥んこ。呼ぶと返事をしながら走ってきて、こちらの人相を片目で観察する。
ジェンツーペンギン
一見おっとりしていて、鳴き声が上品、親も子もきれい好きで、とっつきにくい。
チンストラップペンギン
海岸で呼ぶと何個体も揃って駆け寄ってきて、目の前までくると、どうしていいかわからず羽づくろいをはじめたり、たがいに喧嘩をはじめたりする。
おおいよ、マカロニペンギン属
ちょっと数が多いので息切れしてます。
マカロニペンギン属は全部で7種います。前の二属よりも寒さやわらぐ「亜南極」というところに住んでいます。また、この属のペンギンには黄色い冠羽(かんう)(まつげみたいな感じで生えてます)があります。
(1)マカロニペンギン
(2)ロイヤルペンギン … キングペンギンの近くに生息
(3)スネアーズペンギン
(4)エレクトクレスティッドペンギン
(5)フィヨルドランドペンギン
(6)サザンロックホッパーペンギン
(7)ノーザンロックホッパーペンギン
全員似たような風貌なのでちょっと区別できる気がしません。
また、サザンロックとノーザンロックは両方とも「ロックホッパーペンギン」=「イワトビペンギン」と一括されている場合もあります。
南米、南アフリカだよ・フンボルトペンギン属
とうとう南極を出ました。「フンボルトペンギン」「マジェラニックペンギン」「アフリカペンギン」「ガラパゴスペンギン」です。
目が黄色いよ・イエローアイドペンギン属
ありがたいことに一種類です。「イエローアイドペンギン種」だけ。
個体数が激減しています。個体数の20%が「スーパーブリーダー」と呼ばれる、普通よりもすごい繁殖力を持ったペンギンであることが知られています。
一番小さい・リトルペンギン属
約40cmの最小ペンギンです。
オーストラリアに住むものを「フェアリーペンギン」、ニュージーランドに住むものを「ブルーペンギン」などと呼んだりしますが、種はひとつだけ。名前の通り、リトルなところが特徴です。直立歩行せず、やや前傾で移動するため、一番鳥っぽい感じがします。
ペンギンの分布
実はペンギンは南半球にしかいません。
ペンギンが暮らしているのは南極と思われがちですが、極寒の南極大陸にはコウテイペンギンとアデリーペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、マカロニペンギンの5種しかいません。しかもこのうち南極で繁殖できるのは最初の2種だけなんですね。
他のペンギンの多くはニュージーランド付近に生息していて、赤道付近にはガラパゴスペンギンが1種だけいます(ガラパゴス、ぎりぎり南半球なのでちょっと驚きます)。*1
要するにペンギンは南極に住んでいるというより「南極付近」に住んでいて、一種類だけなぜかガラパゴスにいる、という感じですね。彼らは冷たい海流にのってガラパゴス諸島にやってきました。実はペンギンが南半球にしかいないのもこのためで、ペンギンは南極の冷たい海流の届く場所にしか行けません。
※ペンギンは「直立」二足歩行じゃないよ!
ペンギンの歩き方を体験する方法。
深めの空気椅子に腰かけて、前進してみる。
ちょっと前傾姿勢をとってみてください。ものすごく安定します。人間はずっと背をたてて歩くことができます。現存している生物で直立二足歩行をするのはヒトだけです。どうしてかというと、直立二足歩行なんてしようと思う馬鹿はヒトだけだったからです。生き残るのにはめちゃくちゃ不利なギャンブルだったわけですね。
(※たとえば、四足歩行のほうが素早いので敵から逃げられます)
属の判定
- 基本的なチェックポイントは冠羽(かんう)です。
マツゲみたいに見える奴ですが、これがあればマカロニペンギン属だと断定してしまってよいです。見ただけでマカロニペンギン属だとわかります。(↓)
- 次のチェックポイントは目が黄色いかどうかです。
目が黄色いやつはペンギン広しといえど、イエローアイドペンギン属しかいません。もし目の色がよく見えなくても目の周りが黄色いので多少遠目でもわかります。
- 体の配色を見てください。黒と白のベタ塗りではないですか?
チンストラップペンギンだけ要注意ですが、色が黒と白で複雑なラインが入っていないものはアデリーペンギン属です。



ジェンツー以外が、見た目にけっこうパンチがあるので覚えやすいですね。アデリーペンギンはなんと表現してよいやらわからん目をしてます。ジェンツーは目の上に白いやつがあります。
- フンボルトペンギンは体全体にラインがはいって少しおしゃれなのでアデリーペンギン属とはすぐに区別がつくでしょう。また、エンペラーペンギン属と見間違える心配はありません。
心配なのはむしろリトルペンギンです。なにせ小さいのでヒナと間違える危険があります。ただ、見た目が完璧にBIRDなのでそれほど心配はしていません。
種を見分ける
エンペラーペンギン属


多分これはあまり苦労しないほうです。首のあたり、胴体の繋がりがぐっとひらいてるのがエンペラーですね。
アデリーペンギン属



最高にわかりやすいですね。もはや説明の必要すらないレベルです。というか、彼らの場合は「属」がどうとかじゃなくて、「種」から先に思いつきそうです。特に真ん中の彼なんか印象に残ってしょうがないです。
左から順番に「チンストラップ」「アデリー」「ジェンツー」です。一応。
マカロニペンギン属
最大の問題は彼らです。似すぎているので誰が誰やらわかりません。
- 目の下に白い模様
あぁ~わかりづらぁ~( ◜ω◝ )
叫びたくなるレベルでわかりにくいですが、彼がフィヨルドランドペンギンです。
しかし、マカロニペンギン属の中では段違いにわかりやすいのが彼です。慣れてくるとマユゲと模様だけでわかるようになります。いいやつです(わかりやすくて)。
- 顔が白っぽい
次にはっきりと識別できるのが彼ら、ロイヤルペンギンです。
白っぽいと書いたのはグレーのときもあるからです。
もうこれ以降ははっきり識別などできません。
マカロニペンギン識別の魔境に心して取り組みましょう!
残るマカロニペンギンは、
・ロックホッパーペンギン(2種まとめます)
・エレクトクレステッドペンギン
・スネアーズペンギン
・マカロニペンギン
です。




見た目には完璧に同じなんですが、
彼らを区別しないことにはペンギン学の第一課修了にはなりません。
- くちばしが縁どられていない
ペンギンをよく見てください。エレクトクレステッドペンギン、スネアーズペンギンは桃色にクチバシが縁どられています。微妙なのがマカロニペンギンです、ちょっとアップしてみましょう。


識別においては、一番ややこしいのがマカロニペンギンです。
クチバシの違いを感じてください。
残ったのが彼らです



こうなれば、一枚一枚見ていきましょう。
マツゲが太く、ブラシのように上を向いているのがエレクトクレステッドペンギン
マツゲがキリリとしているのがスネアーズペンギン
マカロニペンギンは色鮮やかですね。
これはひとつの目安です。
専門家でさえマカロニペンギンには手こずっているようなので、
いろいろ画像検索して「これマカロニペンギン属のなんだろう」と練習してみてください。
フンボルトペンギン属
ロイヤルペンギンが終わったんだからフンボルトは余裕です。




みなさんも一緒に写真をみながら識別していきましょう!
①腹から顔まで黒いラインが何本が調べるよ
1本→アフリカorフンボルト
②マゼランとガラパゴスを見分けるよ!
顔を囲む線が太い → マジェラニック
顔を囲む線が細い → ガラパゴス
③アフリカorフンボルトを見分けるよ!
顔を囲む線が太い → アフリカ
顔を囲む線が細い → フンボルト
さぁ、左から順番に言い当てていきましょう!
(1)まず一番左の写真。
ライン=2本
線=太い
すなわち → マジェラニック
(2)二番目
ライン=1本
線=太い
すなわち → アフリカ
(3)三番目
ライン=2本(わかりづらい)
線=細い
すなわち → ガラパゴス
(4)四番目
ライン=1本
線=細い
すなわち → フンボルト
(੭˙꒳˙)੭ どうでしたか?
これであなたもペンギン学のスタート地点に立ちました!
♪└(^ω^ )┐♫ ┌( ^ω^)┘ レッツペンギンダンス
ペンギンの動画
ペンギンの様子を見ましょう。
Emperor PENGUIN 皇帝ペンギン(南極大陸)4K (UHD)
4Kでペンギンが見れるペンギン動画です。抱きしめたくなるナリをしていますが、肌はめっちゃくちゃ固いそうです。お腹は背中よりはやわらかいそうですが、少なくとも添い寝には不向きのようですね。
じっとしているとき何を考えているんだろうと思わず考えてしまいますが、何も考えていないのでしょう。たぶん。腹ばいになってるほうが絶対早いんですが、なんで立ち上がるモードがあるのかずっと気になっています。トカゲみたいにススススと歩いて、いいところで滑ったらめちゃくちゃ早そうですが。泳ぐのと歩くのとでちょうどいいバランスなのかもしれないですね。
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命の恩人に会いに来るペンギン
南極のペンギンと戯れてみた
動物と人間の絆みたいな話は感動させられます。
もちろんそれはこちらの解釈で、向こうの文化の言葉で言えばまったく違うことを考えているのかもしれません。
BBCのハイクオリティペンギン動画(地上)
BBCのハイクオリティペンギン動画(海中)・ペンギンロケット
( ◜ω◝ )おしまい