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労働基準法まとめ【社会保険労務士】令和元年度

 過去問チェックポイントまとめです。

基礎

  1.  男女同一賃金の原則(4条):女性であることを理由とした賃金差別✖
  2.  強制労働の禁止(5条):合意なく働かせるな
  3.  公民権行使の保証(7条)
  4.  労働者の定義 要暗記 【通達:光genji通達】
  5.  賃金の定義 要暗記 【通達:ガソリン】
  6.  平均賃金の計算
  7.  期間の定めのある労働契約の、労働条件の明示(15条)【通達:無期間でも明示】
  8.  強制貯金の禁止(18条):合意なく貯金さすな☝
  9.  解雇制限(19条):ケガ人と産前産後は解雇すな☝【通達:但し妊婦は要請求】
  10.  退職時等の証明(22条):働いてた証拠出せ
  11.  通貨払の原則(24条)、例外は労働協約アリ。
  12.  全額払の原則(24条)最判例:シンガー・ソーイング・メシーン事件》
  13.  一定期日払いの原則(24条)
  14.  非常時払(25条)
  15.  休業手当(26条)【通達:休業手当は「賃金」】
  16.  労働時間(32条):1日8時間、1週間40時間まで【通達:日をまたいでも「1日」】
  17.  一か月単位の変形労働時間制(32-2)、労使協定or就業規則、1カ月は起算日自由。
  18.  フレックスタイム制(32-3)、労使協定and就業規則
  19.  割増賃金(37条)最判例:日本ケミカル事件》
  20.  事業場外労働のみなし労働時間制(38-2)、施行規則において、労働時間が法定以下なら労使協定の提出必要なし、と定められている。
  21.  年次有給休暇:時間単位(39-4)、労使協定(届出必要なし)
  22.  年少者(60条)
  23.  就業規則の記載(89-1)【通達:「1日8時間」では定めたことにならない】
  24.  就業規則の手続(90条)【通達:意見を聞けばいいだけで、協議決定はしなくていい】
  25.  減給制裁の制限(91条)【通達:「懲戒処分→昇給しない」は91条違反にあたらない】
  26.  法令等の周知義務・周知方法(106-1, 則52-2)

 

1について

『当該事業場において実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いこと』は賃金差別する理由にならない。(令和1年 労働基準法 問3 肢A)

3について

公民権行使するために休んだ日が有給か無給かは当事者判断(令和1年 労働基準法 問3 肢C)

18について

フレックスタイム制は要注意。清算期間が一か月以内の場合は一週間に平均して40時間までだが、一か月を超えると50時間までになる。

【通達】50時間を超えると時間外労働となり清算期間の途中であってもその期間に対応した賃金支払い日に割増賃金を支払わなければならない。

 

 

法律

令和1年 労働基準法 問4 肢C(解雇制限)

使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。 ⇒ 〇

  産前産後の女性は解雇制限を受ける、と覚えているかと思うが、実は条文では『第65条の規定によって休業する期間及びその後3週間』となっているため、休業を請求しなければ解雇制限を受けない

 

 ちなみに第65条1項にはこうある。

 『使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。』

 産前の女性は請求しなければ働き続けることができる。産後は請求がなくとも終業させてはならないが、産後6週間経てば今度は逆に請求によって働ける。妊産婦の規定はこのあたりがちょっとややこしい。

通達

令和1年 労働基準法 問3 肢D (「労働者」の定義)

いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。  ⇒ 〇

  いわゆる、光GENJI通達。メンバーに中学生がいたため紅白に出れねえじゃねえかという話を受けて、行政が一応答えを示したもの。

 他の人と代われない、時間給じゃないし基本時間では拘束されない、雇用契約じゃない、などの条件があれば「労働者ではない」ため当然年少者の規定はあてはめなくてもいいよという通達。一言でいうと人気タレントは労働者じゃない(人気=他の人と代われない個性)ので、労働基準法は守らなくてよい。

 でも各局は一応、その年齢の子どもはその時間帯には出さないようにしている。多分人気か人気じゃないかでどうこう言われるからで、実際、1999年に深夜ラジオ番組に生出演した15歳の女の子のことを聞いた労基署が動き、放送局関係者を書類送検している。当該タレントについて「余り売り出しがまだできていないような方」。光GENJIレベルになると労基署もニッコリ満足らしい。

dic.nicovideo.jp

 

令和1年 労働基準法 問4 肢A (「労働条件の明示」)

労働契約の期間に関する事項は、書面等により明示しなければならないが、期間の定めをしない場合においては期間の明示のしようがないので、この場合においては何ら明示しなくてもよい。 ⇒ ×

 

 「エッ、これって法律じゃないのかよ」の例。

 実は労働基準法第15条には『労働時間は施行規則に従って明示してね』と書いており、施行規則は『期間の定めのある労働契約』限っているため、問題文のように期間の定めがないものについてはなんとも言っていない。そのため、お役所が独自の見解を示すことと相成った。

 その見解とは期間の定めがなかったら期間の定めがないって明示しろよというシンプルなものである。なるほどもっともな話だ。

 

令和1年 労働基準法 問4 肢D(「解雇予告」の日数)

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、予告期間の計算は労働日で計算されるので、休業日は当該予告期間には含まれない。⇒×

  まず法律の取り決めとしては前段の通り、30日前予告が原則である。しかし、休日までカウントするのかどうなのかまでは書いていない。そこでお役所が出て来て、彼らの見解を示した……という通達。

 答えは『休業日も含む』。たしかに、休業日が割と多めだったら30日前どころか半年ぐらい前に予告しないといけなくなり、使用者には酷な仕打ちになるかもしれない。

 

 最高裁判例

 判決文は長いですが穴埋めで出題されることがあるので音読ぐらいしておきましょう

 内容

 従業員「退職するんで退職金払ってくれよな🤓」

 会社 「でもキミ、前これにサインしたよな。会社に対して請求せえへんって」

 従業員「錯誤! 退職金払え!」

 

 判決

 本件退職金は、就業規則においてその支給条件が予め明確に規定され、被上告会社が当然にその支払義務を負うものというべきであるから、労働基準法一一条の「労働の対償」としての賃金に該当し、したがって、その支払については、同法二四条一項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが相当である。しかし、右全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。もっとも、右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないものと解すべきであるが、原審の確定するところによれば、上告人は、退職前被上告会社の西日本における総責任者の地位にあったものであり、しかも、被上告会社には、上告人が退職後直ちに被上告会社の一部門と競争関係にある他の会社に就職することが判明しており、さらに、被上告会社は、上告人の在職中における上告人およびその部下の旅費等経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から幾多の疑惑をいだいていたので、右疑惑にかかる損害の一部を填補する趣旨で、被上告会社が上告人に対し原判示の書面に署名を求めたところ、これに応じて、上告人が右書面に署名した、というのであり、右認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし首肯しうるところ、右事実関係に表われた諸事情に照らすと、右意思表示が上告人の自由な意思に基づくものであると認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していたものということができるから、右意思表示の効力は、これを肯定して差支えないというべきである。
 したがって、前記各事実関係のもとにおいて、上告人のした本件退職金債権を放棄する旨の意思表示を有効と解した原審の判断は、正当である。

 

  •  日本ケミカル事件 

  内容

 会社「どうせ残業あるから最初から30時間分の時間外払っておくやで」

 従業員「どもじんです」

 ~でも会社は勤務時間を全然把握していなかった~

 従業員「みなし残業代は無効。普通に残業代支払え!」

 

 判決

 高裁の判決(労働者勝利)の破棄。差し戻し。

「支払われた業務手当は、本件雇用契約において、時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていたと認められるから、上記業務手当の支払をもって、時間外労働等に対する賃金の支払とみることができる」

 

 実はこれは最判平成30年7月19日の最判例であり、令和元年の試験に出た「ホット」な内容でした。わかるわけありません。今までは労働者側勝利が多かったものが、最高裁で覆されたので話題になったそうです。

 

 令和1年 労働基準法 問6 肢D

 「いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことができるのは、定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており、これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか、基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり、その他法定の時間外手当の不払や長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる。」とするのが、最高裁判所判例である。 ⇒ ✖

 

  読むのも面倒くさいですが、「みなし残業代をやるんだったら、時間外が出た時に時間外が出たってちゃんとわかるようにしとけや」という意味です。これは二審の判決であり、最高裁の判決ではありませんのでバツ

 

 

 

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