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徴収法過去問まとめ【社会保険労務士】令和元年度

 今度は徴収法です。

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(1)総則

第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「労働保険」とは、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)による労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による雇用保険(以下「雇用保険」という。)を総称する。
2 この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。
3 賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
4 この法律において「保険年度」とは、四月一日から翌年三月三十一日までをいう。

労働保険徴収法第2条第2項の賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、労働保険徴収法施行規則第3条により「食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる」とされている。⇒〇

 

 賃金の定義は第2条第2項に定められており、

この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。

 とされています。金で払われた場合は全部賃金ですが、金以外のもので払われた場合はちょっと一言つきます。それが施行規則第3条です。

則3条
法第2条第2項の賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる。

(2)保険関係の成立及び消滅

一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業は、保険関係成立届を所轄公共職業安定所長に提出することとなっている。⇒〇

 

 ここから具体的な中身に入っていきます。労災保険雇用保険の分野では基本的に給付など国からカネを送ることだけをやって、逆に労働者から国に金を出す徴収のほうはやりませんでした。

 徴収法第二章では国との関係のはじまりについて書いています。

第三条 労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。
第四条 雇用保険法第五条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。

 適用事業と国が繋がるのは事業の開始日です。届出を出す出さないよりも前に決まってしまうんですね。でも届出をしなくていいわけではありません。

法4条の2 第1項
 前2条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。

 届出も義務付けられています。で、改めて設問を見ると「ナンタラな事業は、保険関係成立届を所轄公共職業安定所長に提出することとなっている」とありますね。それじゃあナンタラの中身がどうであれ答えは〇なんでしょうか………というと、実はそうではありません。第4条の2をもう一度見てもらうと、「政府に」届けるとなっています。ハロワに出すとは書いていません。

 

則1条(改)
1 徴収法の規定による労働保険関係事務は、第36条の規定により官署支出官が行う法第19条第6項及び第20条第3項の規定による還付金の還付に関する事務を除き、次の区分に従い、都道府県労働局長並びに労働基準監督署長及び公共職業安定所長が行う

 はい、事務手続きは労働局長と労基監督とハロワの三通りがあります。上の設問はこれについて訊いております。で、仕事はすべて、まず労働局長に投げられます。

一 労働保険関係事務(次項及び第3項に規定する事務を除く。) 所轄都道府県労働局長

 

 でも労働局長はお仕事なんてしません。次でどんどん他の二人に投げていきます。

 

二 前号の事務であつて、第3項第1号の事業に係るもの及び労災保険に係る保険関係のみに係るもののうち、この省令の規定による事務 →→→ 所轄労働基準監督署

三 第1号の事務であつて、第3項第2号の事業に係るもの及び雇用保険に係る保険関係のみに係るもののうち、この省令の規定による事務 所轄公共職業安定所

 

 労災保険は労基監督に投げられ、雇用保険はハロワに投げられます。これがわかっていれば大体大丈夫です。まず事業主が入る保険は「労災・雇用」「労災のみ」「雇用のみ」の三パターンですが、両方のときは労基監督、労災は労基、雇用はハロワになります。

 注意が必要なのは、「事務組合に事務を委託する事業」の奴です。委託されると「労災のみ」なのにハロワに仕事が回ってきます。これだけが例外。

 

 では改めて問題を見ましょう。

<一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業は、保険関係成立届を所轄公共職業安定所長に提出することとなっている。>

 まず今回の事業は一元適用、つまり「労災のみ」か「雇用のみ」のやつです。今回の場合は「雇用のみ」ですね。この時点でハロワルートが確定してしまい、事務処理を委託するとかはどうでもいいことになります。

 もしここで「労災のみ」で来られると事務処理を委託するかしないかで労基ルートの目も出てくることになります。(委託するとハロワ、委託しないと原則通り労基)

 

労働保険の保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、法令で定める事項を政府に届け出ることとなっているが、有期事業にあっては、事業の予定される期間も届出の事項に含まれる。⇒〇

 

 届出はいつ出せばいいのでしょうか。

法4条の2 第1項
 前2条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。

 10日以内でしたね。だからこの部分はOKなのですが、後段が届出の中身まで聞いてきていて鬱陶しいです。届出の内容はこちら。

則4条(改)
1 法第4条の2第1項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 事業の名称
二 事業の概要
三 事業主の所在地
四 事業に係る労働者数
五 有期事業にあつては、事業の予定される期間
六 建設の事業にあつては、当該事業に係る請負金額(消費税等相当額を除く。以下同じ。)並びに発注者の氏名又は名称及び住所又は所在地
七 立木の伐採の事業にあつては、素材の見込生産量
八 事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号

  基本は四つですが、場合によって書くことが増えます。今回は有期事業です。

 

建設の事業に係る事業主は、労災保険に係る保険関係が成立するに至ったときは労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げなければならないが、当該事業を一時的に休止するときは、当該労災保険関係成立票を見やすい場所から外さなければならない。⇒✖

 

 なぜか建設の事業だけは「労災入ってます!」と掲げないといけません。さっきの届出の中身でも建設が出て来たり、安衛法の分野でも建設は色々言われたりするのでよっぽど気を遣わないといけないですね。

則77条
 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票(様式第4号)を見やすい場所に掲げなければならない。

 しかし「外せ」という法律はありません。

 

労災保険暫定任意適用事業の事業主が、その事業に使用される労働者の同意を得ずに労災保険に任意加入の申請をした場合、当該申請は有効である。⇒〇

 

 さて、労災保険というのは大抵の事業が入らないといけないのですが、入るか入らんか選べるやつらがいました。それが暫定任意適用事業の奴らです。まぁ、農林水産を五人以下の少人数パーティでやってるやつらだと思っておけばいい(厳密には違います。林業あたりがちょっと面倒)です。雇用保険にもそんなのありましたね。

 んで、そういう人たちは内部で話し合って過半数が希望すれば入ることになるのでした。でも今回のケースでは同意も得ずに勝手に入りやがったのでこの場合どうなるんだという話です。

 

 答えはマルになります。雇用保険の場合はダメです。

 なぜかというと労災は労働者がカネを負担しないからで、雇用保険はカネを負担するからです。カネを出さないといけない以上、同意なく勝手に入れてはいけないのです。

 

 

 

< 労災保険に係る保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の事業主が、労災保険に係る保険関係の消滅を申請する場合、保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付する必要はない。>⇒✖

 

 今度は逆に労災保険をとりやめる場合ですね。入るときは別に同意がなくても保険関係が認められてしまうのですが、出るときはそうはいきません。過半数の同意をしっかり集めて消滅させましょう。

 

(3)労働保険料の納付の手続等

労働保険徴収法第10条において政府が徴収する労働保険料として定められているものは、一般保険料、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料、第3種特別加入保険料及び印紙保険料の計5種類である。⇒✖

法10条
1 政府は、労働保険の事業に要する費用にあてるため保険料を徴収する。
2 前項の規定により徴収する保険料(以下「労働保険料」という。)は、次のとおりとする。
一 一般保険料
二 第1種特別加入保険料
三 第2種特別加入保険料
三の二 第3種特別加入保険料
四 印紙保険料
五 特例納付保険料

 ②

一般保険料の額は、原則として、賃金総額に一般保険料率を乗じて算出されるが、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労災保険率、雇用保険率及び事務経費率を加えた率がこの一般保険料率になる。⇒✖

 

 さあ、ついに保険料の額の話ですね。

第十一条第一項 一般保険料の額は、賃金総額に第十二条の規定による一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とする

第十二条 一般保険料に係る保険料率は、次のとおりとする。
一 労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあつては、労災保険率と雇用保険率とを加えた率
二 労災保険に係る保険関係のみが成立している事業にあつては、労災保険
三 雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業にあつては、雇用保険

  事務経費率がないですね。シンプルな定義をしてます。

 

賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業においては、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となるが、ここにいう請負金額とは、いわゆる請負代金の額そのものをいい、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等は含まれない。

 

 これを見てください。

第十一条 
3 前項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。

 賃金総額は言葉通り「賃金総額」なのですが、事業によっては計算方法を変えることになっています。それがこちら。

則12条
 法第11条第3項の厚生労働省令で定める事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次の各号に掲げる事業であつて、同条第1項の賃金総額を正確に算定することが困難なものとする。
一 請負による建設の事業
二 立木の伐採の事業
三 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)
四 水産動植物の採捕又は養殖の事業

 ざっと覚えておきましょう。で、こいつらの場合はどう計算するのか。

則13条(改)
1 前条第1号の事業については、その事業の種類に従い、請負金額に別表第2に掲げる率を乗じて得た額を賃金総額とする
2 次の各号に該当する場合には、前項の請負金額は、当該各号に定めるところにより計算した額とする。
一 事業主が注文者その他の者からその事業に使用する物の支給を受け、又は機械器具等の貸与を受けた場合には、支給された物の価額に相当する額(消費税等相当額を除く。)又は機械器具等の損料に相当する額(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額(消費税等相当額を除く。)に加算する。ただし、厚生労働大臣が定める事業の種類に該当する事業の事業主が注文者その他の者からその事業に使用する物で厚生労働大臣がその事業の種類ごとに定めるものの支給を受けた場合には、この限りでない。
二 前号ただし書の規定により厚生労働大臣が定める事業の種類に該当する事業についての請負代金の額にその事業に使用する物で同号ただし書の規定により厚生労働大臣がその事業の種類ごとに定めるものの価額が含まれている場合には、その物の価額に相当する額(消費税等相当額を除く。)をその請負代金の額(消費税等相当額を除く。)から控除する。

 

 ここでもう一度問題を見ましょう。

賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業においては、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となるが、ここにいう請負金額とは、いわゆる請負代金の額そのものをいい、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等は含まれない。>⇒✖

「~となるが」まではOKだと思います。それから先がついさっき見た則13条で、工事に使った物の値段は加算されるのでした。

 

一般保険料における雇用保険率について、建設の事業、清酒製造の事業及び園芸サービスの事業は、それらの事業以外の一般の事業に適用する料率とは別に料率が定められている。⇒✖

 

 雇用保険料率はどれくらいなのか?

法12条(改)
4

・一般の事業 → 1.55%
農林水産業等・清酒製造業 → 1.75%
・ 建設の事業 → 1.85%

  問題は園芸サービスがどれにあたるかです。これは「農」ではなく「一般」なので、問題の答えは✖になります。

 

事業主は、被保険者が負担すべき労働保険料相当額を被保険者に支払う賃金から控除できるが、日雇労働被保険者の賃金から控除できるのは、当該日雇労働被保険者が負担すべき一般保険料の額に限られており、印紙保険料に係る額については部分的にも控除してはならない。

 

 わたしたちが払う分の労働保険料は給料から差っ引かれます。

32条
1 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、前条第1項又は第2項の規定による被保険者の負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない。

 今回問題になっているのは「日雇労働被保険者の給料」です。

則60条
1 事業主は、被保険者に賃金を支払う都度、当該賃金に応ずる法第31条第3項の規定によつて計算された被保険者の負担すべき一般保険料の額に相当する額(日雇労働被保険者にあつては、当該額及び法第22条第1項の印紙保険料の額の2分の1の額に相当する額)を当該賃金から控除することができる。

  このように、日雇だろうが例外なく差っ引けます。ただし、印紙保険料が半分になるという違いはあるようです。

 

継続事業で特別加入者がいない場合の概算保険料は、その保険年度に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に係る賃金総額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。以下本肢において同じ。)の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である場合は、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額に当該事業についての一般保険料に係る保険料率を乗じて算定する。⇒〇

 

 保険料は年度の初めに計算して、年度終わりに「確定保険料」として増減分を支払います。

 ただし賃金総額が前年の50%~200%であれば、前年と同じ額だけ払います。

 

政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることができるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる。⇒✖

 

法18条
 政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が第15条から前条までの規定により納付すべき労働保険料を延納させることができる。

 延納というのは「支払い待ってください」というものです。年度はじめには額が決まってしまう、でも労働者の分の保険料は賃金から差っ引くのでまだ集められてない、だから今は払えない……ということだと思いますが、

 10月1日以降にはじめた事業は延納が使えません。

 

継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主は、保険年度の中途に労災保険法第34条第1項の承認が取り消された事業に係る第1種特別加入保険料に関して、当該承認が取り消された日から50日以内に確定保険料申告書を提出しなければならない。⇒〇

 

 普通は年度はじめに概算保険料がハッキリし、終わりに確定するわけです。

 しかし、年度途中で事業が潰れた(保険関係がなくなった)場合はその時点で確定保険料が計算できますよね。

法19条
1 事業主は、保険年度ごとに、次に掲げる労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書を、次の保険年度の6月1日から40日以内(保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日(保険年度の中途に労災保険法第34条第1項の承認が取り消された事業に係る第1種特別加入保険料及び保険年度の中途に労災保険法第36条第1項の承認が取り消された事業に係る第3種特別加入保険料に関しては、それぞれ当該承認が取り消された日。第3項において同じ。)から50日以内)に提出しなければならない。

 

事業主が提出した確定保険料申告書の記載に誤りがあり、労働保険料の額が不足していた場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。このとき事業主は、通知を受けた日の翌日から起算して30日以内にその不足額を納付しなければならない。⇒✖

 

 確定保険料を申告しなくても、所轄都道府県労働局歳入徴収官とかいう長い名前の人が通知してくれます。このとき事業主は15日以内に納付しなければなりません。

 

事業主は、既に納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額(超過額)の還付を請求できるが、その際、労働保険料還付請求書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。⇒✖

 

 概算保険料として払った額が確定保険料より高かった場合、金を返してもらわないといけません。しかし、誰に返せというかが問題です。

法19条
6 事業主が納付した労働保険料の額が、第1項又は第2項の労働保険料の額(第4項の規定により政府が労働保険料の額を決定した場合には、その決定した額。以下「確定保険料の額」という。)をこえる場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、そのこえる額を次の保険年度の労働保険料若しくは未納の労働保険料その他この法律の規定による徴収金に充当し、又は還付する。

  規則によれば、労働保険料還付請求書を官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏に提出しなければならないことになってます。新しい登場人物が出て来て、受験生的には本当にやめていただきたいですね。

 

<事業主は、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一であり過不足がないときは、確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出するに当たって、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)、年金事務所日本年金機構法第29条の年金事務所をいう。)又は労働基準監督署を経由して提出できる。>⇒✖

 

 確定保険料申告書の提出は日本銀行年金事務所労働基準監督署を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することができます。

 ただし、概算保険料=確定保険料で過不足がないときは日本銀行は使えません。

 

(令和2年法改正)
特定法人について、次の申告書の提出は、原則として、電子情報処理組織を使用して行うものとされた(電子申請の義務化)。
【継続事業(一括有期事業を含む)を行う事業主が提出する以下の申告書※】
・概算保険料申告書※※
・増加概算保険料申告書
・確定保険料申告書
・一般拠出⾦申告書

※労働保険事務組合に処理が委託されている事業に係るものを除く
※※保険年度の中途に保険関係が成立したものについて成立から50日以内に行う申告書の提出を除く

 (4)労働保険事務組合

 

労働保険事務組合は、定款に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書を厚生労働大臣に提出しなければならない。⇒✖

 

 組合は事業主の集まりですが、単に固まっているだけではいけませんでした。相互に決まりを作って「団体性」を明確にしていなければなりません。それが定款です。

 この定款に変更があった場合については次のように定められています。 

則65条
 労働保険事務組合は、第63条第1項の申請書又は同条第2項第1号若しくは第2号に掲げる書類に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があつた日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。

 「14日以内に管轄都道府県労働局長に提出しなければならない」です。

 

労働保険事務組合は、労災保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の事業主から労働保険事務の処理に係る委託があったときは、労働保険徴収法施行規則第64条に掲げられている事項を記載した届書を、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。⇒✖

 

 組合の仕事は組合員(原則として)の保険事務処理です。うまく処理すれば政府からカネがもらえる制度があるのでみんな頑張ります。で、カネが関わるのできっちり誰に委託されているか政府としても把握しておきたいところです。

 そこで委託されたら届出をすることになっています。「労働保険事務等処理委託届」

則64条
1 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があつたときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。

  普通はハロワを経由して提出するのですが、設問の「二元適用事業」については管轄の問題で労基署を経由しなければなりません。

 

金融業を主たる事業とする事業主であり、常時使用する労働者が50人を超える場合、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。⇒〇

 

  はい、そうです。普通は300人まで大丈夫なのですがちょっと闇が深そうな「金融・保険・不動産」などは50人以下となっています。

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④ 労働保険事務組合は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、労災保険の保険給付に関する請求の事務を行うことができる。

 

 組合が委託を受けるのは原則として組合員だけなのですが、「その他厚生労働省令で定める事業主」だけは外部でありながら委託を受けることができます。

 さて、問題はそのあとです。組合が行うことができるのは印紙保険料を除く納付事務だけです。給付の請求についてはやってくれません。この点は、組合というのが納付を円滑に実施することで報奨金を得ようとする団体だと考えればよくわかります(実際そうなのかはどうでもよくて、試験に受かるためにこう覚えればスムーズです。報奨金については別記事にて)。

 

労働保険事務組合が、委託を受けている事業主から交付された追徴金を督促状の指定期限までに納付しなかったために発生した延滞金について、政府は当該労働保険事務組合と当該事業主の両者に対して同時に当該延滞金に関する処分を行うこととなっている。⇒✖

 

そもそも追徴金に延滞金など発生しないのですがそれはいいとして、押さえておくべきポイントは「組合のミスは組合が負う」という当たり前のことです。事業主はしっかり納付事務を委託して金を手渡してるのに組合がサボってたせいで政府に目をつけられたんですから、それは組合の責任です。両者の責任ではありません。

 

 

 

 

 

  • 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働保険の保険関係が成立している事業主又は労働保険事務組合に対して、労働保険徴収法の施行に関して出頭を命ずることができるが、過去に労働保険事務組合であった団体に対しては命ずることができない。⇒✖

 そんな特別扱いはありません。

 法42条
 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体に対して、この法律の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。

 

(5)督促・滞納

労働保険徴収法第27条第2項により政府が発する督促状で指定すべき期限は、「督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。」とされているが、督促状に記載した指定期限経過後に督促状が交付され、又は公示送達されたとしても、その督促は無効であり、これに基づいて行った滞納処分は違法となる。⇒〇

 

法27条
1 労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない
2 前項の規定によつて督促するときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない
3 第1項の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、政府は、国税滞納処分の例によつて、これを処分する

 という風に、保険料を支払わない野郎のところには政府から紙が来ます。でも一応決まりがあって「明日までに払え」とかは無理で、一応10日は空けないといけないことになっています。

 問題になっているのは、督促状に4月1日と書いておいて、4月2日に送られてきた場合です。「払えねえだろ!」という話なのですが、政府はこれをもとに事業主を処分することができるのでしょうか。

 それまで払ってなかった事業主にも落ち度はあるし~、………ということにはなりません。処分などできません。

 

労働保険徴収法第27条第1項は、「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。」と定めているが、この納付しない場合の具体的な例には、保険年度の6月1日を起算日として40日以内又は保険関係成立の日の翌日を起算日として50日以内に(延納する場合には各々定められた納期限までに)納付すべき概算保険料の完納がない場合がある。⇒〇

 

 概算保険料の支払期限日について確認しておきましょう。

 法15条(改)
1 事業主は、保険年度ごとに、次に掲げる労働保険料を、その労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書に添えて、その保険年度の6月1日から40日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日(保険年度の中途に労災保険法第34条第1項の承認があつた事業に係る第1種特別加入保険料及び保険年度の中途に労災保険法第36条第1項の承認があつた事業に係る第3種特別加入保険料に関しては、それぞれ当該承認があつた日)から50日以内)に納付しなければならない。

  つまり6/1までに事業を始めてたら6/1から40日、それ以降からはじめてたら50日以内ということですね。

 

労働保険徴収法第27条第3項に定める「労働保険料その他この法律の規定による徴収金」には、法定納期限までに納付すべき概算保険料、法定納期限までに納付すべき確定保険料及びその確定不足額等のほか、追徴金や認定決定に係る確定保険料及び確定不足額も含まれる。⇒〇

 

政府は、労働保険料の督促をしたときは、労働保険料の額につき年14.6%の割合で、督促状で指定した期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数により計算した延滞金を徴収する。⇒✖

 

 滞納すると延滞金を支払わされます。

法28条
1 政府は、前条第1項の規定により労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、労働保険料の額が1,000円未満であるときは、延滞金を徴収しない。

 設問が間違っているのは「督促状で指定した期限日の翌日から」というところです。

 

延滞金は、労働保険料の額が1,000円未満であるとき又は延滞金の額が100円未満であるときは、徴収されない。⇒〇

 

 そもそも徴収する保険料が1000円未満、そして延滞金を計算して100円未満になったら徴収されません。

 

 

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