内向性だからうまくいく
この本はたいへん不親切である。なぜなら、まず一番初めに「内向的」「外向的」とはなにかを説明しなければならないところ、それを怠っているからである。にんじんは「Aについての本」において、「Aとは何かという問い」についてまずはじめに記述することは当然だと思う。
注意すべき点は、『はじめに』『Aとは何かという問い』を記述するということである。これは、①Aとは何かという問いについてあとになってはじめて書いたりしてはいけないし、②Aとは何かについて最初から答えを出せという意味ではない、という意味である。
さて、本書において外向型/内向型とは関心の対象によって区別される(p62)。
- 外向型とは、関心が常に外界の事物や他人に向けられている者
- 内向型とは、関心が内界の主観的印象に向けられている者
内向型に属する人間にはありがちな悩みがある(第一章)。内向型の人間は自意識が強く完全癖があり、新しい環境に機敏に対応することができない。それゆえ、次のような欠点がある。:①会議などでなかなか発言できない、②新しい環境に慣れるのに時間がかかる、③つい他人と対決的な姿勢をとってしまう、④思ったままを素直に言えない、⑤初対面の人に気を使いすぎている、⑥友だちができず孤独がつらい、⑦人を魅きつける*1話し方ができない。、⑧どんな場でも人前ではくつろげない、⑨協調性に欠け集団行動が苦手、⑩柔軟性に欠け融通がきかない、⑪社交マナーの微妙さがわからない、⑫他人と較べて自信をなくしてしまう、⑬マイナス材料ばかりくよくよ考えてしまう、⑭自意識が強くエネルギーを消耗する。
しかし逆に次のような長所もある(第二章)。:①着実にコトを進めるもちまえの慎重さ、②内省癖ゆえの向上心の強さ、③現実に甘んずることなく理想を追求、④培われた飾り気のない誠実さ、⑤他人の心の痛みや弱さに共感、⑥人をほっとさせる控えめな落ち着き、⑦自由にふくらむ内的世界、⑧常識の枠にとらわれない発想、⑨情報に踊らされない集中力。
欠点を理解し、長所を活用しましょう。終わり。
*1:「魅く」という動詞はない