この本、「はじめに」が面白いので是非読んでください。
第一章 いかに始まったのか?
1916年、アインシュタイン『一般相対性理論』=重力・空間と時間についての新理論の完成 ➡ 宇宙における運動+宇宙そのものの進化が記述できる!
これによって、宇宙像に革命的変化が起こった。
- 宇宙は静止しているのではなく、膨張している。
- 膨張はビッグバンから始まった。
- 観測可能な宇宙には四千億もの銀河が存在し、太陽系はその中のひとつ。
※宇宙が膨張しているということは、「はじまり」の一点があるということを示唆する。だが、ビッグバンが起こったかどうかということは科学上の問題であって、神学上の問題ではない。人はそれをどのように解釈しても構わない。もちろんそれを「神の力」と考えることも! しかしともかく、そんなものを介入させなくても、物理学的にきちんと説明をつけることができるのもまた事実である。
さて、宇宙の膨張の証拠を観測したのはエドウィン・ハッブルだった。彼は宇宙について調べるうち、『ハッブルの法則』に突き当たった。すなわち、銀河の後退速度と銀河までの距離は比例している。言い換えれば、遠くの銀河ほどすさまじいスピードで遠ざかっている。もし地球の周りに巨大な円を書いてみれば、二倍遠くにある銀河は二倍だけ大きく、三倍遠くにある銀河は三倍大きく、地球から遠ざかって見えるだろう―――だとすると、地球は宇宙の中心ではないか! と考えてしまうのも無理はない。これはむしろ、宇宙膨張の証拠なのである。このことを説明するために、みなさんにはこの宇宙を出て行っていただくのが一番である。二次元的に宇宙を見下ろすと、観測地点がどこも中心になる様子がよくわかる(このことは本のなかでは詳しく説明されている)。
銀河が互いにどんどん距離をとっていくならば、時間を遡れば、宇宙のすべてがどこか一点に集中するには違いない。これがビッグバンの起きた一点だ。そしてビッグバンという仮説が支持されるのは、観測された軽い元素の存在量を再現し、宇宙の膨張とも矛盾しないからである。この存在量の一致というのは偶然が為すにしてはあまりにも幅のある数字なので、恐ろしく説得力を持っている。