嘔吐は計画的なものです。胃の中身はチェックされており、脳が情報を評価して吐くかどうか決めます。脳が嘔吐を決めると血液が顔から腹部に集められ(顔が青ざめる)、血圧が下がり、心臓の鼓動もゆっくりになります。次のステップは唾液。胃酸から歯を守るために大量の唾液が出ます。で、胃と腸がうねりだします。もちろん私たちにはその感覚はありませんが、このとき、人はビニール袋をさがしています。肺が大きく息を吸い、気道がパタンと閉じられ、歯みがきチューブの要領でひねりだされてくるのです。
嘔吐=胃の中身をぶちまけることができない動物もいます。嘔吐不可の動物は食べ方が違います。たとえばネズミは一口目を小さなかけらになるまでかみ砕き、問題がないことを確認します。毒だった場合には具合が悪くなりますが、具合が悪くなるのでもう食べません。嘔吐できないので体内(肝臓)でたたかうことになります。一方、ウマは解毒ができませんので、命にかかわります。
- 前触れなしの強烈な吐き気はウイルスが原因。病原菌がどさりとくると対応しきれないので嘔吐します。
- 痛んだものをたべたり酒飲み過ぎたりすると、気分が悪くなって吐きます。
乗り物酔いがなぜ起こるかについては、「混乱」が原因とされます。たとえば手元の本は止まっているのに、体は動いていることを感じているからです。ストレスは嘔吐の原因となることがあり、緊張すると吐くひともいます。
だから乗り物酔いになったら遠くの景色を見るように言われます。遠くの景色は止まっているからです。ヘッドホンで音楽を聞いたり、体を横向きにしたりするのもよいです。脳の警報を落ち着かせましょう。
脳と腸は連絡をとりあっています。特に「ストレス」について話すことが多いようで、気持ちが不安定になるとお腹の調子も不安定になります。腸はとても賢いのです。
人間の体の中で、腸は細菌を許しています。細菌がいるほうがいいのを知っており、じっと様子をみつつ、共生しているのです。つまり腸は「ここにいていい細菌」かどうかを見張る能力があるのです。そして識別することも。菌というのは敵視されていますが、腸にいる細菌たちには個性があり、その人がどういうタイプなのか教えてくれます。