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にんじんと読む「知っておきたい日本の名字」🥕

 今回の本はこれ。

 

日本の名字

日本の名字

  • 作者:森岡浩
  • 発売日: 2015/03/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 邪馬台国の頃、つまり中国の歴史書に記されている日本人外交官の名前は『難升米(なしめ)』『都市牛理(としごり)』であり、姓はなかったようです。しかしその当時から中国には姓名があり、日本にも姓をもった「氏族」が登場します。当時の日本は大王家を支える連合国家であり、大王家は役割に応じて姓を与えました。役割由来だけでなく、土地由来あるいは渡来人にあてた姓もあります。物部氏(もののべうじ)は兵器担当、出雲氏(いずもうじ)は土地に由来しています。

 大王家とはつまり天皇家のことですが、天皇には姓がありません。天皇は姓を与える側だからです。しかし血縁者全員を皇族にするわけにいかず、臣下にする親戚には姓を与えることにしました。それが「平(たいら)」「源」「橘」「藤原」などです。彼等はもちろん大きな力を持っていたので、古代の氏族の姓は徐々に減っていきました。

 それにしても、姓はグループにつけるのでたとえば藤原氏がでかくなりすぎると誰が誰やらわかりません。朝廷は藤原氏だらけだったこともあります。そこで天皇が与えた姓だけではなく、自分でつけた名字を名乗るようになります。ちなみに「源頼朝(みなもとのよりとも)」は姓+名前であることがわかります。なぜなら間に「の」が入っているからです。「徳川家康(とくがわいえやす)」は名字+名前ですね。

 名字としてわかりやすいのは地名由来です。藤原家で九条通りに住んでる人は「九条さん」などです。さて、地名でわけてもわからんとなると、地形で呼び合うようになります。山のふもとに住んでいれば「山本さん」、中腹ならば「山中さん」、川に近けりゃ規模に応じて「小川さん」「大川さん」などなど。それでも無理だと上下・奥・前・方位なども名字に使いました。「乾(いぬい)」さんは方角名字のよくある例です。これらは本家からどの方向にあるかということで決められました。あるいは職業からつけたものもあります。

 というわけで正式に名乗ると日本名はけっこう長いわけです。たとえば徳川家康は成人したときは「松平次郎三郎元信(まつだいらじろうさぶろうもとのぶ)」で「名字+通称+名前」でした。後で家康という名前に改めますが、征夷大将軍になると武家に与えられる姓が必要となり源氏、そして源氏ゆかりの名字である徳川に変え、「徳川次郎三郎源家康」となりました。新しく「通称」というのがでてきましたが、長男か次男かといった相続関係を明確にする記号です。

 

※ちなみにアメリカの名字は「~ソン」というのが多く、ジョンソンなら「ジョンの息子」と言う意味です。これと同じつけ方はロシアにもあり「~ビッチ」というのはそれです。

※存在しない幽霊名字として「春夏秋冬(ひととせ)」などがあります。