にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

MENU にんじんコンテンツを一望しよう!「3CS」

にんじんと読む「人はなぜSEXをするのか?」

第一章

 少女の身体に十分な脂肪がつくことが生理の始まりの重要なポイントとなる(行き過ぎると逆に遅れるが)。現代においては初潮年齢が12歳頃と、150年前に17歳頃だったときに比べると早まっている。ピーター・グリュッグマンは農耕社会への突入によって栄養レベルが下がり初潮年齢が高くなったが、現代は栄養が行き届いてこの年齢になったのだと説明する。脂肪が初潮に大きく関係するということは情緒的な発達と身体的な発達に差があるということであり、身体面と精神面に食い違いが起きるということである。また、極端に脂肪が少なくなると月経が止まってしまうことがある。

 初潮は、思春期における身体変化のなかで「もっとも重要な到達点」である。思春期は性的に成熟していく生理学的過程のことをいう。ちなみに『産科婦人科用語集・用語解説集』においては次のように定義されている。

思春期とは、「女性においては第2次性徴出現から初潮を経て月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう。年齢的には8~9歳頃から17~18歳頃までの間で、乳房発育に始まり、陰毛発生、身長増加、初潮初来で完成する」

 つまり、初潮はまさに到達点であるわけだ。

 人間の乳房の機能は「育児機能」と「性的機能」である。

  • ヒトの乳房はほかの霊長類と違い、大きくなって、生涯そのままである。乳房は脂肪と乳腺で構成され、主には脂肪でできている。乳腺は汗腺が変化したもので、母乳を生成する。母乳は育児に必要な栄養のすべてが詰まっている。重要なのはそこに含まれる抗体成分である。乳輪にはモンゴメリー腺と呼ばれる脂肪分泌腺があり、授乳時に乳首を保護している。母乳は、赤ん坊の月齢ごとに構成栄養素が勝手に変わるというとんでもなさを持っている。
  •  ちなみに乳首は二つ以上ある場合があり、副乳という。

 思春期にはエストロゲンの量が増え、骨盤や腰回りが広がる。また脂肪がつく量も変わり、腰回り、尻、太もも、恥丘につくようになる。女性は思春期前に6%、思春期後に50%も、男よりも脂肪がつくが、これは脂肪がエネルギー貯蔵庫だからである。乳房が大きくなるのもそのためで、母乳は乳腺がつくるのだから乳房がいくら大きくても関係がなく、あれはただ貯蔵しているのである。

 男は昔から胸がでかくて腰が細くて尻のでかい、砂時計体型の女が好きである。これは全世界共通らしい。砂時計体形の女は妊娠しやすいことや、ウエストの細さ=健康だから好まれる、等々いろいろ説がある。また、対称性のある身体にも魅力があり、眼の色がどちらも同じとか、足の長さが同じとか、ともかく右と左で同じなのが好まれる。

 

 

第二章 少年、男になる

 ペニスは亀頭と竿でできている。亀頭は女性でいうクリトリスのようなもので、神経がみっしり詰まっていて感度が高い。男は尿と精液を同じ管から出す。竿の部分はスポンジで、血液が流れこむと固くなる=勃起。もちろん勃起しているとき以外は干からびているわけではなく、性的興奮すると一酸化窒素が分泌されて血管が拡張するのである。実はたいていの哺乳類にはペニスに「骨」が関わっているが、ヒトのペニスはスポンジで固く膨らむ。これのありがたみはセックスが長くなることだ。骨のある動物たちは勃起しなくていいので前戯など必要なくスッと入れてスッと出せる。

 しかし、ペニスは折れる。医学的には「ペニス骨折」というが、正確には勃起の強度を支える厚い組織層が破損する。挿入しようとして相手の恥骨にペニスを突き立てたときに起こったり、掃除機の吸い込み筒に突っ込んでうっかり掃除機が倒れたりすると起こる。もちろん激痛が走るが、生殖能力はタマに詰まっているため子作りには問題ない。が、自然な射精はできなくなるかもしれない。すぐに氷で冷やして泌尿器科へ走らなければならない。……とはいえ、まぁめったに骨折しない。

 男性諸君はよくご存じの通りペニスには皮がある。タートルネックのような皮の内側では、めくりやすいように粘液が出ている。あれが汚いカスのようになって出てくるのだが、あれを放っておくと有害な細菌がもぐりこんで繁殖できる最高の環境になっている。どうせめくるくせに進化様がペニスを全員ズルむけにしておかなかったのは「ペニス保護説」や「皮かむりのほうが分泌液が行きわたってヤるとき気持ちいい説」などがある。しかしよくはわからない。多くの文化では割礼する。割礼して快感が増すことはないようだが、とりあえず病気の予防にはなる。だがエイズ予防に割礼するよりワクチンを打ったほうがよさそうだ。

 思春期の男はタマがでかくなる。それが思春期のサインである。タマは精子製造工場で、工場内が熱くなりすぎると精子にダメージがあるのでいつも体温より2,3度低くなっている。だから精子数が少ない人は風呂に入らないことをすすめられる。また、車のシートでタマが熱くなるのもよくない。当たり前だが、適正温度というものがあるので冷やせばいいわけではない。寒いとタマはきゅっと身体のほうに身を寄せ温まろうとする。

 ところで勃起したペニスの最終目的は射精でありオルガスムである。要するに「イく」と、ペニスは勃起のメカニズムを逆にたどり縮んでいく。それなら、もしイかなかったらどうなるのか。このときに感じる精巣の不快や痛みを「ブルーボーイズ」と呼ぶ。痛みを感じる理由については血圧の変化で敏感になっているとかいろいろある。肝心なのは、この症状は女のほうも同じということだ。最後はイったほうがいいのである。ちなみに精子の味はふだんの食い物を表す。フルーツばっかり食べさせていると精子の味がまろやかになるし、シーフードばかりだと魚みたいな味がする。

 ところで人間は昔から一夫一妻だったわけではなく、セックスパートナーは男女ともに身近にたくさんいた。精子の運動性が上がるのは一対一よりも乱交モノのポルノを見た時である。

 

第三章 恋に落ちるメカニズム

 相性は遺伝子に刻まれており夢中なときには他の人の性的魅力などどうでもよくなるのだが、おそらくこれは「運命の相手」の存在とは関係ない。というのも、時期によって変わるからだ。女性が好みの男を月経サイクルに従って変えることは明らかにされている。たとえば排卵の前後で彼女たちはマッチョな男に性的欲望を感じ、排卵期以外だと草食系に魅力を感じる。つまり排卵期にはセックスを待ち望み、排卵期以外では配偶者を探している。逆に言えば、排卵期には女は浮気性になる。ただ人間は排卵期のみに突き動かされるわけではないので、結局本人の責任ということにはなるだろうが。

 女性は自分がにおいで欲情することを知っているかもしれない。しかし、フェロモンの存在を裏付けるものはほとんどない。しかし実は女性が遺伝子型をかぎ分けているという説がある。つまりブラッド・ピットの体臭を手に入れても女性全員の目がハートになるわけではない。自分の遺伝子との適合性が問題だからだ。とはいえ、一方で、嗅ぎ分けられるならパートナー選びに失敗などなさそうなもので、実際、これは間違うことがある―――ところで、逆に、男のほうも女のにおいに敏感だ。特に排卵期の女のにおいである。

 男が女に感じる性的魅力は世界中いたるところで「ボンキュッボン」と決まっているが、女のほうも「背が高い、浅黒い、ハンサム」と決まっている。これは月並みなモテ要素で、要するに健康なら良い。対称性が好まれるのもそうのためだ。だが男女には違いがある。男は性的興奮に敏感だが、女はまったく気づいていない。彼女らは自分が性的興奮を覚えていることに気づかない。もし男女にセックスシーンを見せたとき、男のほうが女の性器に興味津々で、女のほうが相手の顔ばかり見ていると思っているならばまるで誤解である。また、女性はサルの交尾を見ても興奮する幅広い性的イメージを有している。

 

第四章 あなたが知らないセックスのこと

 セックスのはじまり、それは初体験であり、「処女膜」だと思われている。だが処女膜は処女を証明しない。処女膜なしで生まれてくる子もいる。オーストラリアの原住民の一族は生まれて来た子に処女膜がないと拷問して食事を与えないが、ここまでしなくても、処女膜を重要視するのは現代でも同じである。中世の女たちは膣にヒルを忍ばせて出血させ自らの処女性を証明し、現代では処女を装う手術を受ける。もちろん、処女膜をわざと破いてしまう文化もあるが、なんにせよ、「処女膜こそ処女のあかし」と考えられているがゆえの行為である。処女膜は一時破けてもそのままにしておけば自然に再生する。また、処女膜はおそろしく簡単に破けるので運動している最中に破けたり、タンポンを入れただけでも破ける。それどころかセックスしても膜がビヨンビヨンと伸縮するだけで破けずに済むことがある。

 何事もそうだが、セックスも訓練を積むほどよくなる。満足といえば男女のオルガスムだ。男と女のちがいはオルガスムの長さであり、同じことは性器とアナルの収縮である。この収縮が女性のほうが激しく、子宮の収縮とともに膣と骨盤をおおう筋肉を収縮し、「ビクンビクン」となる。やがて脳の中の快感中枢が激しく活動し、大脳皮質の活動が一時的に減退するので、フランス語でオルガスムは「ラ・プティット・モール」=「小さな死」と言われる。男のオルガスムは射精を促すという役割があるだろうと思われるにしても、女のオルガスムにはなんの意味があるのだろう。オルガスムなどなくても妊娠するからだ。とはいえ、妊娠に必要ないからといってオルガスムに意味がないとするのはやはりおかしいだろう。それでもはっきりとしたことはわからない。たとえば一説では、オルガスムによって女がぐったりしているうちは受精しやすいのだというが、実はオルガスムに達しやすいのは騎乗位なので、セックスは正常位派の意見である。あるいは一説によるとオルガスムによる収縮が精子を吸い込むと言う。実際カメラで見てみるとたしかに吸い上げている。だがこれにも異論は多い。

 だがなんにしても、オルガスムの回数も深さも相手との絆が関係する。オルガスムには快感以上のものがあり、両性の接着剤のようなものなのだ。しかもそれは単に性的魅力だけではなく、オルガスムを感じる相手には感情的な結びつきが生れる。性衝動が薄くなっても、セックスによって作られた絆は持続する。

 オルガスムには種類がある。「クリイキ」は定番として、「Gスポット」はクリとは違う種類のものだと女性の多くが言うし、バストの刺激だけでイったり、身体的な刺激なしでもイけるし、それらの複合的なオルガスムもある。

 最近よく知られるようになったが、65%の女性は射精する。その感覚は尿意に似ているので、パートナーが尿を楽しむ性癖の持ち主でもない限り女性としては躊躇する。だが、射精で出てくるのは乳白色か透明の液体で、分泌量はそれぞれだが、案外多い。しかもその化学成分も尿とはまったく違う。男性の精液とよく似ているものだ。このミルクには膣壁の抗菌の意味がある。女性がよくかかるのが「尿路感染症」であり、人生に最低一回はかかるぐらいなりやすい感染症なのだが、ミルクは病原菌から体を守ってくれるのだ。

 男が出す例の白い奴は、女にとっては外部物質であるから免疫システムの監視対象ではある。だが何度もそれに触れ慣れていると、徐々に受け入れやすくなってくる。つまりワンナイト野郎より長年のパートナーのほうが妊娠しやすい。それだけでなく、精子を飲まされたり、なんでもいいので精液に接する機会が多いと病気のリスクが減ることがわかっている。とはいえ、具体的に「精液飲めばええねん」とはならないのは、その行為と結果の因果関係を調べるのが難しいからだ(「ごっくん」する人はそれ以外のいろいろも同時にしているだろう)。なんにせよ間違いないのは、セックスはものすごく身体にいい、ということだ。