人間関係の悩み
- 回避型 彼らは恥ずかしがり屋や引っ込み思案と呼ばれていて、めったに人に近づいたり、会話に入らないが、友達ができないことや関係が続けられないことに悩んでいる。自分から関わろうとしないために、時には先生たちからも存在を忘れられてしまう。
- 問題行動型 活発にコミュニケーションをとるのだが、そのたびに人から拒絶される。いろいろな理由があるが、適切なコミュニケーション技術を身に着けていないことが要因。
友だちになるには
友だちというものは、ほとんどすべて共通の興味によって繋がっている。彼らは似た興味を持っていて、それがいろいろな話題や活動を共にすることを可能にしている。しかし単に利益があるという以上の関係である。
- 相手を思いやる
- 思いやる気持ちを実際に見せる
- お互いを理解する
- 誠実であり、その誠実さを実行する忠誠心がある
- 正直さ、信頼
- 平等
- 自己開示
いずれにせよ、友達を見つける最も効率的な方法は「興味」に焦点を絞り、特定のソーシャルグループに参加することである。アニメが好き、ロック音楽が好き、アートが好き……な人びとの活動に参加することがたしかな筋道であろう。仮にそうでなくても、自分がいったい何に興味があって、どういった<情報>が欲しくて、どんな<活動>がしたいのか、を知ることは深い人付き合いのための基礎といえる。
友達になる可能性にある人は、人口の数だけいる。一方、全員と興味が一致するわけでもなく、性格が合うわけでもない。だれかと必ず仲良くしなければならないわけではなく、友達関係とは選択するものだということを肝に銘じておこう。
- (受け入れられているかどうか)あなたがグループに受け入れられているかどうかには尺度がある。活動に誘ってくれたり、情報をくれたり、話しかけたら返事をしてくれる。何かをするときはあなたを探してくれる。おしゃべりをするためだけにメッセージをくれたり、連絡してくれる。
- (所属を判断する)人がどのようなソーシャルグループに属しているかは、たいてい見た目に現れている。相手が直接興味について話すこともあれば、ふだん誰と一緒にいるか、どこで遊んでいるか、どんな集団に参加しているかなども考えられる。また、ゲームが好きな人はゲーム機を持ち歩いているかもしれないし、アニメが好きな人は缶バッジをつけているかもしれない。
話すことのルール
たとえ趣味や興味が同じでもかかわり合いにならなければ、関係は持てない。その最も重要なものが「会話」である。けれどもコミュニケーションに難がある人々はうまく話すことができないと感じている。そこで、よい会話のルールを確認しておこう。
- (会話の目的)まず「会話」とは、情報交換をすること、お互いの興味(特に、共通の興味!)を知ることが大事な社会活動である。
だから自分のことを話すだけでなく、相手のことも知らなければならない。相手はどんなことに関心があるのかについて、把握するのは会話をつなぐためにも必要なことである。私たちは同じ人間である以上、たいてい同じ文化に属している以上、似通った部分があって、出しておけばほぼ間違いない話題というものもある。たとえば出身地のこと、天気・気候のこと、好きな食べ物や、テレビ番組のこと、ここ最近のニュースなどがそれにあたる。
- (手段1)コミュニケーションに課題を持つ人々のなかには、自分の関心のある話しかしなかったり、相手のことをかまわずに話題から話題へ飛び跳ねるように移っていく人もいる。もし自分がそうだという人がいれば、『追いかけ質問』をしてみるのがよいとされている。「週末何をしてた?」「テレビを見てた」と続いたら、「なんの番組?」と訊くのである。これは相手の興味を知るためにも有用である。また、「はい」「いいえ」で答えられないような、広い質問をすることも重要である。この種類の質問は相手に関する情報を増やすからだ。
- (手段2)話をしてもらっているときは話を聞かなければならない。聞いているときは、聞いているという態度をとらなければ話してはもらえない。適度なあいづちはもちろん、たまに首を縦に振ってみたりたまに相手を見たりほほえんだり身体的にも反応をする必要がある。不快にさせないという意味では適切な距離をとることが重要だ。話す相手との距離は「前へならえ」したときぐらいがちょうどよい。
はっきり言って、会話においては自分が話すことより相手に話させるほうが目的からして合理的である。自分が話すことを独占している状況は好ましくない。
だが質問攻めにしたり、同じ話をし続けたりするのは問題だ。コミュニケーションに難がある人々のなかには「尋問」「強迫的に同じ話題を繰り返す」「ルールに厳しく違反を取り締まってくる」「相手をからかう」などの行動をとる人がいる。
最後に、仲は徐々に深まっていくものなのでいきなりプライベートに踏み込み過ぎた話をしてはいけない。細かい話よりも、広い話をするほうがよいのである。
会話をはじめる典型的なステップ
個人の場合
- 何気なくその人を見る 興味があることを知らせる。あまりじっと見つめないこと。断続的にちらちらと見るだけで十分。
- 小道具を使う 携帯やゲーム、ノートパソコン、本などはチラ見するときに一緒によく使われるアイテムのひとつである。
- 共通の興味を探す 相手の外見などの特徴から所属集団、興味などを見て取る。だいたいでいい。たとえばクラスなら、次のテストのことなどは気にかけているだろう。
- 共通の興味について話す その内容についてコメントをする。あるいはどう思うか尋ねたりする
- 追いかけ質問などの手段を用いて相手の関心をとらえていく
グループの場合
少しずつ近づいていき、会話の内容を小道具を使いつつ聞き取り、グループが短い間をおいたところで声をかける。
要するに話しかける前にそれらしい「合図」を送っておくというようなことだ。
会話を抜ける
当たり前だが、どれほど適切にコミュニケーションを開始したところですべてうまくいくはずがない。相手に受け入れられているかどうかは次の三つの点で考えることができる。あるいは会話をやめるべきかどうか。
- 言語的な手がかり 心地よいやりとりをしているか。適当な返事か。
- ボディランゲージ 最も単純には身体の向き。話している人に身体が向いているかどうかはわかりやすいポイントである。
- アイコンタクト アイコンタクトがあるか、しかめ面をしているか
より簡単に、次の三つの質問に答えてみることができる。
- 彼らはあなたに話しかけているか?
- 彼らはあなたのほうに顔を向けているか?
- 彼らはあなたのほうを見ているか?
会話を抜けるためには、
- 落ち着いて
- ゆっくりと視線をはずし
- ゆっくりと身体の向きを変え
- ゆっくりと何気なく立ち去る
上記の例は「まったく受け入れられない」場合のストーリーだが、最初受け入れられて締め出された会話の場合には次のように会話をやめる
- 落ち着いて
- ゆっくりと視線をはずし
- 会話がとぎれるのを待ち
- 立ち去るための簡単な理由を言う。きわめて短い「もう行かないと」「またね」「おつかれ」
- 立ち去る
通常の場合にも上の方法は使うことができる。
【拒絶】
🐳 「楽器を弾くのが好きなんだ。ピアノとかギターとか」
🍎 「へぇ~」
にんじん「ピアノも弾くの?」
🍎 「ピアノも弾くの?」(にんじんのほうを見ない)
🐳 「ええ」(にんじんのほうは見ていない)
【最初OKだが後から拒絶】
🐳 「楽器を弾くのが好きなんだ。ピアノとかギターとか」
🍎 「へぇ~」
にんじん「ピアノも弾くの?」
🐳 「そうだよ。もう五年も」
にんじん「いいね、ぼくも弾くけどまだ三か月」
🍎 「ギターのほうは?」(身体の向きは🐳さん)
🐳 「ええとね……」(身体の向きは🥕さん)
・・・
にんじん「友達のところに行かなくちゃ」
🐳、🍎「じゃあね」
【受け入れられている】
🐳 「楽器を弾くのが好きなんだ。ピアノとかギターとか」
🍎 「へぇ~」
にんじん「ピアノも弾くの?」
🐳 「そうだよ。もう五年も」
にんじん「いいね、ぼくも弾くけどまだ三か月」
🍎 「ギターのほうは?」
🐳 「そっちもかなりやってるよ。にんじんさんは?」
にんじん「じつはギターのほうが長いんだ」
🍎 「それじゃあ今度みんなでセッションしようよ」
にんじん「いいね」
🐳 「ならあの曲がいい。あの映画よ、二人とも見た?」
🍎 「●●だろう。知ってるよ」
にんじん「見た見た」
・・・
にんじん「あっ、そろそろ行かないと」
🐳 「オッケー」
🍎 「じゃあね」
にんじん「また今度ね」
よい関係を築く原則
- 仲間意識 活動を共にするとき、みんなが楽しむということを目標とする。たとえばなにかに勝つことや、達成することは副次的なものである。
- 公正な行動
- セルフコントロール 負けたときに混乱したり怒ったりせず、買ったときにあざけったりしないなど。
「他者を褒める」「ルールを守る」「共有する・交代する」「審判をしない・取り締まらない」「コーチをしない」「強い競争心を持たない」「誰かが傷ついているときに気遣う」「退屈な時には活動を変えることを提案する」「負け惜しみを言わない」「嫌な勝者にならない」
- 賞賛は言葉だけでなく、ハイタッチや親指をたてたりすることで表せる。
- 不正行為は他者をいらつかせる
- 共有すればみんなが楽しくできる
- 他の人たちを審判し、何が間違っていたか言うことは社会性に課題がある人がやりがちな行動である。相手があんまり不正行為をやるようなら、指摘せず、離れてしまえばよいのである。
- コーチすることは相手のためでもある。たとえば「次のレベルへの行き方を教えてやるよ」といってあげたりである。しかしそれは余計なことだし、やるにしても、手助けを提案することにとどめるのがよいだろう。
- 過剰な競争意識を持つこともやりがちなミスである。
みんなで集まるということのステップ
- 誰が来るのか決めておく。誰が来るのか、来る人みんなに伝える。
- 何をするのかを決めておく。例えば映画館・ゲーム等々
- どこで・いつ集まるか決めておく
- パーソナルスペースを片付ける 個人的なものを片付ける
- いろいろな、その他の活動ができるようにしておく
- ゲストに挨拶し、全員を招き入れる
少なくとも一緒に過ごしている時間の半分は「情報交換」というおしゃべりをする。
集まりを終えるときは場が落ち着くのをまって、カバーストーリー(集まりを終えるための簡単な理由)を言い、見送り、できれば感謝し、楽しかったことなどを伝え、またねと挨拶し、別れの挨拶をするのがよい。