Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-
DIYはこの頃のアニメのなかで最も完成度が高いと思える。
を実現し、しかも「DIY」のアニメらしい遊び心も取り入れて、全体を成立させている。部員全員にきちんと焦点をあてるなどもして、とにかく詰め込んでいるのに、たった12話で話を完全に畳んでいるのはスゴイというほかない。
聞いていると、DIYを『よくある部活動モノ』程度にしか思っていない人もいる。
しかし、明らかに本線は部活ではなく結愛せるふと須理出未来の関係であり、より抽象的には先端技術とDIY技術の関係性にある。第一話では結愛家と須理出家が対象的に描かれる。進歩的な須理出家に比べると、結愛家は昔ながらの木造建築で、周囲の住宅を見てもかなり浮いた存在である。冒頭、二人を鏡映しにするような位置でのカットが入り、二人は進学する学校を別にする。片方は「カビの生えた歴史の勉強」や「シェイクスピア」を勉強するふつうの学校だが、片方は入学間もない生徒に「手術で使える血管」まで作らせる超エリート校だ。
二人の関係性に焦点をおく解釈は、DIYというアニメの主人公を「せるぷり」に据えることとなるだろう。実際、多くの視聴者を引っ張っていくのは主だってこの二人の関係性である。ただ、最終回に来て、物語の全体的な構造が変容する。そこでむしろ際立ってくるのは、「結愛せるふ」という一人の主人公である。彼女の部屋に飾られたいくつものトロフィーや賞状、イラスト。新入部員に道具の使い方を教えようとしたり、役に立つところを見せようと部員を呼び出したり、ああいったシーンがとても切なく、あるいは微笑ましく見えるようになるだろう。
なんでもほわほわ受け入れそうな結愛せるふがとにかく悲しそうな表情をするのは、いつも誰かから「不器用だ」と指摘されたときだった。その言葉は一番たいせつな親友からも、むしろその親友が中心になって、ずっと投げかけられ続けていた。役立たずにならないようにちゃんとしなくちゃいけない、と考える彼女はまさに「DoItYourself(自分でやれ)」だった。しかしDoItYourself(自分でやれ)を実践しようと奮闘する彼女が物語を通して学んだのは、むしろ「みんなでやる」ことであり、「誰かに助けられてもよい」ということだったのだ―――そしてDIY部員全員が、大なり小なりこうした孤独や寂しさを抱えている。「誰かに助けられてもいい」「みんなでやれる」ことに気付いた彼女たちは最終回にして、ほんとうにDoItYourselfをはじめる地点に立ったのである。