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「ことばの意味とはなんだろう」・原理

原理

 認知とは、さまざまな想定をもっている状態、想定を増加・改善させたいという欲求、想定を増加・改善する場合の頭の働きである。人間の認知一般には次の原理が当てはまる(と仮定する)。

【関連性原理Ⅰ】人間の認知は、関連性を最大にするように働く性質を持つ。

 人間はさまざまな想定をもっており、これを増加・改善しようとする。これら想定の総和を「認知環境」といい、これを増加・改善することを「認知効果」と呼ぶとすれば「関連性がある」=「認知効果をもつ」ことは同じ意味になる。認知効果をもたらすものは情報であるが、その情報に関連性があるとは次の三つの場合をいう。:

  1.  その人の考えが間違っていたことがその情報によって明らかになる
  2.  その人にとって確信のもてなかった想定がその情報によって確信と変わる時
  3.  その情報がコンテクスト的含意を持つとき。すなわち、聞き手がもっているコンテクスト(聞き手の頭のなかにあり、発話の解釈にあたって推論の前提となる想定)だけからも相手の発話だけからも得られず、コンテクストと相手の発話を前提として推論から始めて得られる想定を持つとき。たとえば「生きて帰れたら結婚しよう」と言われていた人が「生きて帰れた」と連絡を受けた時、「んじゃ結婚することになるな」というコンテクスト的含意を持つ

 この理論において扱うのは情報的・伝達的意図をもった発話(=意図明示的伝達)である。情報的意図とはなにかを伝えたいという意図であり、伝達的意図とは自身がなにいかを伝えようとしていることを知らせようという意図である。情報的意図をもちながら伝達的意図をもたない例はいくらでもある。たとえば相手になにかしてほしいことがあるがそれを自分がしてほしいと思っていること自体は知られたくないものである。

【関連性原理Ⅱ】すべて意図明示的伝達行為は、それ自身が最適な関連性をもつことを当然視している旨を伝達している。

 そして意図明示的伝達は相手になにかを伝えるために自分にとって労力が少ない、これで十分だろうという範囲で行われる。もちろん相手の予備知識をはかりそこなって簡潔に言いすぎる場合もあるし、何かの理由で洗いざらい話すとまずい場合に話を端折ったりする場合もあるが、つまりそのような能力や選択も含めて「最適」な伝達をするわけだ。

 私たちはこれまで、コード主義的に考えてきた。:『発話の意味は、それを構成している言葉たちを解きほぐせば得られる』。だがbankには銀行という意味も、土手という意味もあり、bankだけ見つめていても何もわからず発話がどういう状況で発せられたのかというコンテクストがなくては始まらない。関連性理論はアンチ・コード主義を前提とした立場であり、発話の解釈のためには聞き手が推論にもとづく肉付けを不可欠にすると考える。それが伝えようとしていることには明に暗に二つの意味がある。つまりは、言葉通りに言われていることと、はっきりと言われてはいないが伝えたいことがある。前者を「明意」、後者を「暗意」という。漠然としか定義されていないこれらふたつの語を明確に練り上げてみよう。