革命
科学理論に起きた四つの革命はわたしたちの世界観を塗り替えた。私たち人間の住まう地球は宇宙の中心ではなく(コペルニクス的革命)、私たち人間は生物世界の中心ではなく(ダーウィン的革命)、私たちの心は独立してあるわけでも自分にとって明晰判明なわけでもなく(フロイト的革命)、私たちは単体として存在してはおらず相互に繋がっている情報の有機体であり、情報から構成された環境を生物学的な意味での動作主や作られた人工物と共有している(チューリング的革命)。
古い世代の人びとは情報空間をいまだにログインとログアウトからなるものと考えている。世界は相互作用しあうことのない車や建物や家具や洋服などから成っているというのだ。しかし情報化社会においてはあらゆるものが分散的に偏在し無線化されすべてが何らかの情報と相互に作用しあい反応が返ってくるようになっている。つまり情報から構成された環境とはまずもって物質的なものに支えられたバーチャル環境ではなく世界そのものと同義であり、この変化の行きつく先では現実自体と同義になることだろう。日常生活の変容は現在進行しており、情報空間を現実と同じくする見方はますます受け入れやすいものになっていく。世界は時間的に同期され、空間的に非局在化し、なにかがなにかと相互作用している。この情報革命は農業革命や産業革命と同様に社会構造に大きな影響をもたらすだろう。そして将来世代が住まうであろうその構造を私たちはいままさに作り出しつつあり、かつ、その居住者になれる人なれない人という新たな形態の差別が生じつつある。