原稿用紙一枚で書く日記。#12
極端はわかりやすい。わかりやすいと簡便だから、そちらを志向するのも無理からぬことである。それに、どっちかを目指さないと何も考えられないのだから仕様がない。坂道に上るか下るかしかないように、動くためにはとりあえず方向というのが必要になる。人間にも慣性が働くのか、登ってみるともう下る気にはなれない。人が極端に走りやすくなるのは、AかAでないかという自然発生してくる二極と、慣性に由来するのかもしれない。
快感は大変よろしいもので、……大体「快」感なんて名前なんだからよろしくないほうがどうかしている。ところが、快感坂を登りすぎると崖になっているんだから言葉ほど当てにならないものはない。薬物やって体壊して快楽を手にしている人より、ぼちぼち生きてたまに楽しいぐらいの人がいい場所に立っている。お金持ちが「お金あってもねえ……」と言い出すのは自慢ばかりとも言えない。