にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

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にんじん論文

Phenomenology is explanatory: Science and metascience(Heath Williams&Thomas Byrne, 2023)を読む

INTRODUCTION It seems that, if one could be sure about anything concerning Husserl's conception of phenomenology in 1901 it is this: it is notexplanatory, because it does not deal with material causes and is instead descriptive. 1901年当時…

組織の徳倫理学 ― 組織不祥事を評価する枠組みの提案(2022年, 杉本俊介)を読む

内容 本稿の目的は、企業不祥事を倫理的に評価するための新しい理論的枠組みとして「組織の徳倫理学(Organizational Virtue Ethics, OVE)」を提案することである。従来の徳倫理学は個人の徳を中心に論じてきたが、現実の企業不祥事は組織文化や制度設計に…

フッサール現象学を理解する際の避けがたい困難さについて(南 孝典, 2023)を読む

1.現象学理解の困難さを問いにしたフィンク フッサールが作り出した「現象学」は、創始者が作り出す用語法が異様に小難しいことが理解を阻んでいる学問だというのがなによりの印象であるが、この論文で語られていることはひとまずその件ではない。問題とな…

What Is Conceptual Analysis?(Hristo Valchev, 2018)を読む

Framework of the Inquiry 「概念分析」という言葉を分析してみよう。「概念分析とは何か?」この問いにはいろいろ答え方があるだろうが、もっともストレートなのは定義を答えることに違いない。ちなみに、ほかにも答え方はある。これから語るのは定義に関す…

「現代徳倫理学における徳の一性(西野真由美,2022)」を読む

"> 現代徳倫理学における徳の一性-実践的知性と徳の多様性をめぐって- | CiNii Research cir.nii.ac.jp "> これまでの記事で大まかに描いてきた「徳」も、その中身の具体的な徳目についてはあまり詳細に考えてこなかった。そこでソクラテスを端緒とすると…

自己物語の構造

自由意志――二階の欲求説 私たちは本当に自由になにかをすることができるのだろうか。 そんなことを考えるのは、いかにも周到な科学理論、特に神経生理学的知見や物理学が私たちに決定論を想起させるからだ。ビッグバンから始まった玉突きの結果として、いま…

「徳倫理学におけるエウダイモニア主義と多元主義(林誓雄,2024)」を読む

"> "> 徳倫理学におけるエウダイモニア主義と多元主義 | CiNii Research application/pdf cir.nii.ac.jp はじめに 規範倫理学(=人間が「いかに行為すべきか」という問いに答え、「正しい行為の基準」を探求する哲学の分野)における御三家は義務論・功利主…

認知症についての論文を読む

この頃、ぼく(にんじん)は『キリギリスの哲学』やニーチェなどをヒントに、「人生」というものについて考えている。しかしぼくが訪ねる思想家たちはみんな、理性や意識あるいは態度を大事にする人ばかりのようで、そのたびに不安になる。 考えられなくなっ…

A Virtue Ethical Account of Right Action(Christine Swanton,2001)を読む

1.Introduction 目的 徳倫理学は、「行為」を軽視・無視し「行為者」ばかりに焦点をあてていると言われる――このcommon viewはハーストハウス『徳倫理学について』第一章冒頭にも挙げられている。要するに、どんな行為をすべきかよりもどんな人であるべきか…

「McAdams, Dan P. & McLean, Kate C., “Narrative Identity,” Current Directions in Psychological Science, Vol. 22, No. 3 (2013)」を読む

ナラティブ・アイデンティティとは、過去を再構成し、未来を想像することを統合して、人生に統一性・目的・意味を与える、内面化されつつ絶えず進化する「人生物語」である。人はこの物語を通して、自分が今どのような存在であり、どのような経緯でそこに至…

「Tobias Krettenauer & Matt Stichter, Moral Identity and the Acquisition of Virtue: A Self-Regulation View 2023」を読む

基本的枠組み 本論文の出発点は、徳を「習得される卓越性(acquired excellence)」とみなす伝統的なアリストテレス的洞察にある。徳とは、生まれつき備わっている資質ではなく、習慣や実践を通じて徐々に形成されていく能力である。アリストテレスが『ニコ…

「Mehuron, Self-Betrayal and Moral Repair: A Philosophical Counselor’s Case Study」を読む

moral injury の定義 「moral injury」という概念は、1990年代に精神科医 Jonathan Shay がベトナム帰還兵の臨床研究を通じて導入した。Shay は、従来の PTSD(心的外傷後ストレス障害)では説明しきれない苦悩が退役軍人に存在することに気づいた。PTSD の…

「Jeong & Han, Exploring the Relationship between Virtue Ethics and Moral Identity, 2013」を読む

www.researchgate.net 徳倫理学 徳倫理学は、規則や結果ではなく、行為者の性格に焦点を当てる倫理理論である。すなわち「何をすべきか」や「どのような結果を導くか」ではなく、「どのような人間であるべきか」という問いを中心に据えるのが特徴である。こ…

「真理条件説と実在論」

言語の目的は思想の伝達と記録であり、言葉の意味とは言葉を使う人の「心にある観念」であるという啓蒙主義的言語論は、言語行動という物理的行為のうちには意味というものが見いだせないのだから心のなかにあるはずだという考えにもとづく。これに対し、フ…

論文「外在主義から何が学べるか」

cir.nii.ac.jp ここに「外在主義」とは意味論的なもので、『ある主体が何を思考しているのかといった経験内容を特徴づける上で、その主体の外部に存在する周囲的な状況、外在的な要素を無視することはできない』ということである。これは、意味や思想内容と…

にんじんと読む論文「Virtue Foundherentism」

www.degruyter.com Susan Haackが提唱したFoundherentismを説明し、擁護し、批判する。すなわち、よくある誤解を排除し、Andrew C. Cluneによる「Haackは隠れた検証主義者だ」という批判に対し反論し、Haackが軽視している「徳」の問題について言及しよう。 …

にんじんと読む論文「The Role of Experience in Empirical Justification: Response to Nikolai Ruppert, Riske Schlu¨ ter, and Ansgar Seide(Susan Haack)」

整合的基礎づけ主義という立場は、これまでの認識論におけるよくある立場とは異なるものだ。そうでないという人が持つ誤解はとても幅広い。整合的基礎づけ主義が経験に正当化の役割をみなすとそれだけの理由で「これは基礎づけ主義の一種だ」と結論したもの…

にんじんと読む論文「Problems at the Basis of Susan Haack’s Foundherentism(Nikolai Ruppert, Riske Schlu¨ ter, and Ansgar Seide)」

Susan Haackの基礎づけ整合主義が、当初意図されたとおりに、基礎づけ主義と整合主義の問題点を克服したものであるのか、また、BounjourやPeter Tramelが指摘したように単に弱い意味での基礎づけ主義にすぎないのではないかということを議論する。 基礎づけ…

にんじんと読む論文「Haack’s foundherentism is a foundationalism(Peter Tramel 2008)」

この論文ではハークの基礎づけ整合主義が基礎づけ主義であることを主張する。彼女は自らの立場を基礎づけ主義と異なるものであると考えているが、それは弱められた意味での基礎づけ主義と一致する。 まずハークが自らの立場を基礎づけ主義と異なるという根拠…

にんじんと読む論文「ハークの基礎づけ整合主義の理論的位置付け」

cir.nii.ac.jp 基礎づけ主義 基礎づけ主義とは、全ての正当化された信念は、最終的に、他の信念によって正当化される必要がない基礎的信念(basic belief)に依存するという考え方である。あるいは、私たちの知識や認識的な正当さがそれ以上証拠が必要ない確…

にんじんと読む論文「フッサール生活世界の現象学」

cir.nii.ac.jp フッサール論文『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(『危機』)において、彼は学問の危機を論じた。科学技術は人類の無限の発展と繁栄を約束してくれるかに見えたが、それは第一次世界大戦の惨禍を招き、そしてまた、「この人間の生存…

にんじんと読む論文「人生はなぜ生きるに値するか」

researchmap.jp ニヒリズムとは、生きることが無意味だという信念のことである。人生の有意味性は二つ区別することができる。ひとつは有意味性を特殊な価値だととらえることであり、ひとつは総称的な価値性質のことである。 前者は、「関係的」である。人生…

にんじんと読む論文「科学の’進歩’と’合理性’」

www.jstage.jst.go.jp 科学はなぜ反証可能でなければならないのか。 私たちは「カラスがみんな黒い」ことを証明できない。なぜなら個別のカラスからカラス全体のことなどどうあってもわからないからである。ゆえに、『いかなる認識も真なるものとして根拠づ…

にんじんと読む論文「現象学の探求プログラム化」

irdb.nii.ac.jp 探求プログラム 理論は常に仮説であり、仮説は経によるテストを通じて修正されなければならない(可謬主義)。可謬性を持たない理論はそれを承認する人の間でだけ流布し、膠着するドグマとなる。もうそれ以上展開することができなくなっても…

にんじんと読む論文「フッサール現象学における認識と真理の問題」

library.bliss.chubu.ac.jp 自然的態度と現象学的態度 世界が存在するということを自明とする態度における「認識論」は、主観と客観のあいだの関係によって語られるだろう。主観が客観を捉える仕方を説明するならばそれは《写像論》にならざるを得ない。すな…

にんじんと読む論文「フッサールにおける本質認識とアプリオリ性」 アプリオリについてのカント的な考え方

cir.nii.ac.jp アプリオリについてのカント的な考え方 カントのいう「アプリオリ」という概念は、認識論的な概念であり知り方を特徴づけるものである。だからある命題がアプリオリであるというのは「その命題はアプリオリに認識される」の省略形として理解さ…

にんじんと読む論文「合理論と経験論における生得観念について」

cir.nii.ac.jp 合理論と経験論における生得観念について 観念とは、「われわれの意識の内容として与えられている、あらゆる(現実の、また空想上の)対象」をさす(デカルト、ロック以来の用法)。 岩波 哲学小辞典から。 これが今日の一般的な「観念」の理…