にんじんブログ

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哲学

「現代哲学のキーコンセプト 真理」ch.3

真理と価値 価値がその本質に組み込まれているような性質を「規範的性質」と呼ぶ。ここでの問題は、真理が規範的かどうか、つまり真理が或る種のよさとその本質に含むかどうかである。これを肯定的に論じるものを取り上げてみよう。『そもそも真であるという…

「現代哲学のキーコンセプト 真理」ch.2

客観性 《真である》という性質は、誰がなんと考えていようと持つものなのか、そうではないのかという問いは「客観性」というテーマに括られている。真なのか偽なのかわからない主張(特に、原理的に知り得ないようなもの)でさえも真や偽でありうるのだろう…

「現代哲学のキーコンセプト 真理」ch.1

真理とはなんなのか? この問いはこうも言い換えられる。「ニワトリは卵から孵る」という主張が持っていて、「両生類は羽毛を持つ」という主張が持っていない性質である《~は真である》という性質は一体なんであるのか? ———真理とは何かと問ううえで、真理…

「歴史哲学への招待」第四章:歴史の認識

第四章 歴史の認識 多くの出来事が絡み合う歴史は今はもう史料を通してしか見ることができない。しかもそうした様々な「証言」は時には間違った情報である。しかも史料として残るものも少なく、残ったとしても情報として偏っている。もしも中国の歴史書のみ…

「歴史哲学への招待」第三章:進化する歴史

第三章 進化する歴史 近代市民社会の樹立としてフランス革命を高く評価する声は多いが、あの革命の経過は血なまぐさいものでまさに《嵐の時代》だった。古い秩序が崩壊し新しい秩序が樹立するためにはこうした時代を通過しなければならないのは歴史の常であ…

「歴史哲学への招待」第二章:歴史と偶然

第二章 歴史と偶然 わたしたちは、二つ以上の事象が因果性という必然的関係なしに出会うことを「偶然」と呼んでいる。ひとつの出来事を起こす複数の因果系列同士は必ずしも因果的に結びついてはいない。すなわち、どちらの因果系列からも片方から片方を予測…

「歴史哲学への招待」第一章:変動する歴史

第一章 変動する歴史 1914年6月18日に起きたサラエボ事件は、人類史上最初の世界大戦を引き起こした。記念日に皇太子とその妃が市庁舎に行く途中で車に爆弾を投げつけられ、急遽ルートを変更。たまたま運転手が道を間違え立ち往生していたときにそこに居合わ…

現代論理学(Ⅰ)論証の構造

論証とは、命題からなる列のうち、或る一つの命題がそれ以外の命題によって立証されるものあるいは少なくともそのための証拠を提供されるものとして意図されるようなものをいう。立証を意図される命題を帰結、それ以外の命題を前提と呼ぶ。命題とは平叙文で…

「志向性の哲学」 第一章

第一章 志向性について考えるうえで、対象は必ずその作用とセットで考えられる。つまり『これは対象ですか』と問うことに意味はなく、『これはあなたが欲しいと思っているビールですか』という仕方で作用との関係を問われる。 さて、志向性を成立させている…

「志向性の哲学」 序章

序章 志向性とは、意味を把握することによって、我々の思考や想像、知覚といった経験が「何らかの特定の対象についての経験」として成立していることをいう(『現象学は外在主義から何を学べるか』)。これはわれわれと「対象」のかかわりである。 当たり前…

にんじんと読む「意識の自然」事象そのもの

「事象そのもの」とは? 現象学の根本精神である「事象そのもの」とはなんなのか。どうやらそれは直観的に把握され、直接的に見ることができ、概念や命題や思念の起源であるらしい。しかし一方で、それを見ることは難しいとも言われる。現象学という語は一般…

にんじんと読む「哲学と論理」第一章

哲学は人間が世界を理解(メタ知識的認識)する運動である.しかし,運動の意識は時間とともに消滅する.それに対して,運動の痕跡は存在する.それゆえにその痕跡を再現し、意識化するためには物理的痕跡が必要となる.この痕跡が記号であり,意識の再現(復活)で…

にんじんと読む「借りの哲学」 第二章

第二章 《借り》から始まる人生 借りを認めることは自分の力ではできないことがあると素直に認めることである。私たちは生まれたとき無力でありだれかの世話にならなければ生きていけない。人間は借りと切っても切り離せない存在である。 【メモ】 以上。残…

にんじんと読む「借りの哲学」 第一章

第一章 交換、贈与、借り 「贈与」というものは基本的に「交換」を目指しており、未だ返さずの部分が「借り」である。高級レストランで奢ってあげたのにお返しがサイゼだったら損をしたと思うだろうか。ただ相手の経済力を考えるとサイゼでも十分だと思う人…

にんじんと読む「借りの哲学」 はじめに

はじめに 資本主義が発展する以前の社会において、負債・借りをつくるというのは首輪をはめられるのと同じく、拘束され返せなければ相手の奴隷になるのと同じことだった。つまり「自由」を奪い、束縛したのである。しかし資本主義においては負債はすべてお金…

にんじんと読む「スマホ時代の哲学」

大衆はそれぞれ自己完結しており、自分を疑うということもない。「お考え」をべらべらとコメントし、他人の話は一切聞かない。Twitterのトレンドをのぞけばいくらでもいる人種だが、『こういうひといるよな』と言い、暗に自分はそうではないと思っている人間…

にんじんと読む「世界への信頼と希望、そして愛」 第二部

第二部 世界への信頼と希望はいかにして破壊されてきたのか 資本主義 アーレントは資本主義を批判する。 まず資本主義は「制作」プロセスを「労働」プロセスに変えてしまう。すなわち、使用対象物の消費財化が起きる。消費財はたちまち消費される。一方、使…

にんじんと読む「世界への信頼と希望、そして愛」 第一部

第一部 第一章 活動的生とは何か――活動的生の世界維持形成機能 人間には三つの根本活動があるとアーレントは言う。それが労働・制作・行為であり、諸活動はすべてこの三つのどれかに属する。そしてこの三つの活動を総称するものとして、『活動的生』という言…

にんじんと読む「世界への信頼と希望、そして愛」 序章

序章 この世の中はいやなことばかりで、苦しみに満ちている。そうした出来事に直面してもなお、われわれは世界を愛することが、肯定することができるだろうか? ———アーレントが『活動的生』という著作で行おうとしたことは、「それにもかかわらず」の世界肯…

にんじんと読む「大衆の反逆」 時代の高さ

時代の高さ 前章で確認したことは、大衆の支配がもたらした歴史的水準全体の上昇は好都合なものだということである。この水準の「高低」に、しかし、著者は次のようにいう。 ほとんどすべての時代において、自分たちの時代の方が他の過ぎ去った時代よりもさ…

にんじんと読む「大衆の反逆」 歴史的水準の上昇

歴史的水準の上昇 密集の事実。大衆と少数者集団の特徴。……並べてきたことはなんとなくエリート主義的なにおいをかんじさせるが、著者もこのことは自覚していたと思われる。彼は自らを「根本的に貴族主義的な歴史解釈をその持論とすることで有名」と書いてい…

にんじんと読む「大衆の反逆」 密集の事実

密集の事実 私たちが見ているもの、私たちをそんなにも驚かせるものとは何だろうか。それは文明によって創り出された諸々の施設や道具を占有する群衆そのものの姿である。 大衆の反逆 (岩波文庫) 昔はそうではなかった、という。だがこれは私たちにとっては…

にんじんと読む「人は語り続けるとき、考えていない」

哲学は既存のすべての知識に対する反省を促すがゆえに、もっとも一般的で、誰しもにひらかれたものである。その哲学は専門化の道をたどり、その議論を追うために独特な知識の集積を必要とするようになっているが、互いの理論的前提を共有しないことによる分…

にんじんと読む「対話の技法」第二部

第二部 危ない対話への勇気 現代人の今の態度のまま「対話」を推奨していくことには問題がある。 プラトン『パイドン』において、「ミソロゴス」(言論嫌い)について語られたことがあった。言論嫌いというのは、どんな言論にも真理などない、世の中に出回っ…

にんじんと読む「対話の技法」第一部

第一部 対話を知っていますか? 対話とは何か。対話とはそもそも可能か*1。 このことを考えるにあたって、類似する他の言語行為(会話・談話・演説・討論)などとどう違うかを見よう。つまり対話でないものを見ることで対話とは何かが見えてくるという方法で…

にんじんと読む「わたしは不思議の輪(ダグラス・ホフスタッター)」

本書を通じて自分の考えが哲学者たちに伝わるのを望みはするが、哲学者のような書き方はするまいと思っている。わたしには、多くの哲学者は数学者と同じで、自分の正しさを実際に証明できると信じていて、そのために非常に厳密で専門的な言葉を多く用い、場…

存在の問いへ

世界内存在 世界内存在 —— 世界 交渉と認識 存在了解の二つのベクトル 鳥という対象を志向するためには鳥が鳥であることの意味の把握が前提となっている(フッサール 志向性の哲学)。鳥は常になんらかの仕方で現われ、たとえば鳥は飛んでいるが、それは単に…

(メモ)ハイデガーの超越論的哲学

ハイデッガーの『存在と時間』は、存在者的なもの・存在論的なもの・存在時性という三水準を区別した問題設定によって描かれた。すなわち、①存在者が了解されることの可能性の条件としての存在、②そのような存在一般の了解の可能性の条件、③存在了解一般の可…

(読書メモ)「ハイデッガーの超越論的な思索の研究」序章

序論 『存在と時間』は前半部しか執筆されず、後半部は断念された。この研究が途絶されたのは彼の問うた「存在の意味の問い」の欠陥によるものか。その欠陥はあまりにも致命的であるためにこの研究を引き継ぐものさえ現れなかったのか―――このような疑問はハ…

(メモ)「風土の論理」

生命論と風土学 生命論との対比においていえば、風土学とは世界に存在する事物の多様性をその環境に即して明らかにするものである。近代地理学の発展を促したのは十六世紀以後のヨーロッパ世界の大規模な対外進出にある。未開の土地への侵入や開拓にあたって…