2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧
礼儀正しさ 礼儀正しさは、すべての徳の源である。だが徳の源であるからといって、それが徳であるとは限らない。このことを説明するために、個人の成長段階を追ってみよう。新生児には徳行は見られないしそんなことが問題になることはない。乳児でも変わらず…
休養というものを「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」に分け、全部で七種類の休養方法を提唱する(杉田・片野の休養モデル)。第一に「休息型」「運動型」「栄養型」、第二に「親交型」「娯楽型」「造形・想像型」、第三に「転換型」である。 日本疲…
合筆とは、自分の手持ちの土地をギュッとひとつにまとめることです。 どれほど一つの土地に見えても、行政上の取り扱いとしては、二つになっていることはたまにあります。同じ広場を駆けまわっているように見えても、100番と101番の土地を行き来してい…
私たちは自分の「本当の気持ち」がわからなくなることがある。 なにかの受け売りなのかはわからないが、にんじんは昔から、「本当の」という言葉がつくときは完璧に疑わしいものとして処理せよという持論を持っている。この言葉がつくとき、すべてのものは胡…
第二章 ウィトゲンシュタインと『宗教的経験の諸相』 略 第三章 ウィトゲンシュタインと『心理学原理』 ウィトゲンシュタインはジェイムズのことを幾度となく言及し、最晩年に至るまで彼を批判し続けている。だがだからといって、彼から何も学ばなかったわけ…
第一章 プラグマティックな経験の諸相 ウィトゲンシュタインは、その生涯の最後の年にこう書いた――「つまり私は、まるでプラグマティズムのように聞こえることを言おうとしている。ここで私は、ある種の世界観(Weltanschauung)によって妨げられているのだ…
ふつう、文字には「形」も「音」もあるものだが、アルファベットなどのように意味のないものもあれば、漢字などのようにそれぞれの字が意味を持つものもある。これを「義」といい、形・音・義の三種は漢字が持つ主要な3要素である。義を持つものを表意文字…
現象学が明らかにしたことは、私たちの活動のほとんどすべてが非明示的なものによって支えられているということだろう。以前書いた記事『哲学の三層構造』において示した「受動性の層」がそれにあたる。フッサールは人々が互いに納得しながら議論をすすめて…
日本語は「自然中心の言語」 - 人間中心との対比 動詞には「雨が降る」などの自動詞と、「絵を描く」などの他動詞がある。目的語の有無でたいてい判別がつくが、「父親が家を出た」などの場合はヲ格があっても目的語ではない。なぜならヲ格成分を主語にした…
日本語の文法 言葉の使い方が移り変わる以上、文法もまた移り変わる。また、その時代の文法を構築するにあたってもさまざまな違いが生まれる。大まかに分けると、いわゆる古文などとの接続を意識した伝統的な文法〈国語文法〉と、外国人などに日本語を教育す…
carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 受動的志向性 - 時間意識の分析から はっきりと自覚して働くような意識を「能動的意識」、そうした自覚がなく自己意識を伴わないで起こっていたことがただ受けとられていた場合の意識を「受動的意識」と呼ぶ。ただし、…
ヒトはほかの動物と違って、独立して生きる能力が低いままで母体から出てきて、依存期間が非常に長い。たとえばチンパンジーの子どもは十か月で依存を脱する。ところが人間の赤ちゃんはいつでも保護者のやっかいになるし、保護者の目を振り向かせる努力をし…
第三章 勇敢であることへの躊躇い フィリップ・アリエスは「従順な死」から「隠された死」への変化を「嘘の始まり」と呼んだ。隠された死の重要な要素は””死にかかっている人間にどう事実を隠すかであること””だと云った。そうして重症患者もそれを知りたが…
第二章 隠された死 フィリップ・アリエスが「従順な死」と呼んだものには、彼によれば、無頓着・放念・親密さ・プライバシーの欠如に特徴があると云っている。それは速やかで、受容され、親近感があり、医者よりも神父のほうが重要だった。これが徐々に「隠…
仕事中など、退屈なときにチャレンジするといい気晴らしになる「姿勢」。 人間はどんな姿勢をとっていても体に負担がかかる。姿勢によって体にかける負担の場所が変わるだけだ。「動くこと」が大事なので、良い姿勢だろうが悪い姿勢だろうがずっと同じ格好で…
carrot-lanthanum0812.hatenablog.com 自然的態度と超越論的態度 日常生活をただそのまま生きていくことと、その生活の成り立ちや仕組みを反省することは異なる二つの態度である。前者を「自然的態度」、後者を「超越論的態度」と呼ぶ。これは、成り立ちや仕…
第一章 数えること いったい「なぜ」「何が」「どうなって」いるのか。事象の根拠、本質、構造。それは現実問題「何が必要か」「何が役に立つのか」にアプローチすることでもある。 何かを見ているということと、見えている何かは区別されなければならない。…
株投資をやる目的は金である。社会貢献などでは断じてない。 投資をすることによってその会社に貢献できるかどうかなどどうでもよい。金さえ手に入れば、倒産しようが構わない。とはいえ、倒産されては儲からないのでやっぱり会社の繁栄は望むことになるが、…
「悟り」とはなんなのか 仏教の最終目的は「悟り」「解脱」「涅槃」である。だが、これがわからない。 釈迦の教える生活の基本条項は『労働の否定』『生殖の否定』であり、ブッダ本人もそれが「世の流れに逆らうこと」(『聖求経』偈)であり欲望に流され楽…