にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

MENU にんじんコンテンツを一望しよう!「3CS」

にんじんの書棚

にんじんと読む「志向性の哲学」

志向性の謎 なにかを考えるとき、なにかを思い浮かべるとき、なにかを見る時、なにかを愛するとき、なにかを証明するとき、なにかを望んだりするとき……そのなにかを一般に「対象」と呼ぼう。反対に、考えたり思い浮かべたり見たり愛したりする関わりを「作用…

にんじんと読む「「くらし」の時代 ファッションからライフスタイルへ」

序章 もう、おしゃれに時間や労力を割く時代ではない。あまった時間やお金をほかのことに有効に使う方がいい。では、何に使うのか。(略)それは服以外のあらゆるものではないだろうか。すなわち、衣食住の「衣」以外のものがファッションになったのである。…

にんじんと読む「現実とはなにか」

① 決定論的で同一的なものが現実であるという認識を変更しなければならない。 まず、なにかが同 〈現実〉とは何か ──数学・哲学から始まる世界像の転換 (筑摩選書) 作者:西郷甲矢人,田口茂 筑摩書房 Amazon 一であるというのは、時々刻々とさまざまに状況が…

にんじんの書棚「善い学びとは何か」

学ぶというのは、たとえば知識を得たり、自分の信念が間違っていたことに気づいたりすることであろう。知識とはある種類の信念だろうことを思えば、学ぶというのはいってみれば「信念の改訂」であることがわかる。知識とは伝統的に『正当化された真なる信念…

にんじんの書棚「それは私がしたことなのか 行為の哲学入門」

「行為」という概念に対する分析。 それは私がしたことなのか 行為の哲学入門 [ 古田徹也 ]価格: 2640 円楽天で詳細を見る 内容一部要約 「行為」は、意図や欲求、そしてその背景にある信念などの心の働きによって引き起こされるというのが直観的な理解であ…

にんじんの書棚「「感想文」から「文学批評」へ」

作者と読者、テクストとそのメディア、そのテクストの文法(コード)と背景。 これら6つの要素のどれを中心的に取り上げるかによって、批評は6種類に分けられる。作家論・ニュークリティシズム・読者論・読者論・構造主義・イデオロギー批評・メタスタディ…

にんじんの書棚「ハッピークラシー」

ハッピークラシーは造語で、クラシーは「支配」である。 従来の病理モデルから脱却し、ウェルビーンイング・生きがい・自己実現を手に入れるための科学であろうとした「ポジティブ心理学」は、立身出世のための人生訓を達成可能な目標であるとみなした。幸福…

にんじんの書棚「セレクション社会心理学6 他者を知る」

対人認知とは、特定の他者について、さまざまな情報をもとにしてその人の性格を判断したりその人の行動を予測したりすることです。この本では対人認知を分類し、自分とのかかわりの深さをレベル1~4までに区別しています。そしてその認知がどのようなプロ…

にんじんの書棚「文化が人を進化させた」

文化を持っているのは人だけではない。しかしなぜヒトだけがこれほどの文化を蓄積するに至ったのか? 大きな脳と社会的学習能力はあまりにもコストが多くふつうの状況では進化に至らないし、そしてこのコストに見合うだけのメリットがあるためには既に相応の…

にんじんの書棚「認知行動療法の哲学」

CBTがストア哲学に起源をもっているということを書いた本。世の中に出回っている「アドバイス」がいかにストア的で、どれほどこの考え方が流行しているか思い知らされる。もちろん正しいならそれ自体は悪いことではないが、その影響力がちょっと恐ろしくもあ…

にんじんの書棚「徳は知なり」

徳というものを「技術」と対比させ、それがいかに似ているか、どこが異なっているかを明らかにする。徳というものは知にもとづくもので、生まれつきに有している行動傾向=自然的な徳はうつろいやすく不安定なものであることを指摘し、徳が幸福(エウダイモ…

にんじんの書棚「依存的な理性的動物」

倫理の出発点は「ヒトが動物であること」。 この事実を認識すれば、自分たちがいかに傷つきやすく障害を負いやすく病気にかかりやすく死にやすいか理解できるし、どれだけ他の存在に依存しているかが理解できる。伝統的な倫理学において障害を負ったりひどい…

にんじんの書棚「猫に学ぶ いかに良く生きるか FELINE PHILOSOPHY Cats and Meaning of Life」

恐怖に追い立てられてできた宗教、そして哲学。ヨーロッパ哲学の三大潮流、エピクロス派は「病後療養所」のような雑音を一切許さない心休まる静寂だけが支配する「神経衰弱的幸福」に論じ、ストア派は合理的秩序を見出し宇宙と一体であることを認識し救われ…

にんじんの書棚「すばらしい新世界」

胎児の段階からさまざまな条件付けが施され、人々は激しい感情を抱くようなこともなく、自らの立場をすすんで受け入れる。彼らはまったく自分の思うように生きているのであって、楽しいと感じることや意義のあると感じる仕事に打ち込み、嫌なことがあればソ…

にんじんの書棚「終わりなき探究 The Eternal Wonder」

今回はパール・S・バックの遺作である「終わりなき探究」です。 物語は胎児の段階から始まり、彼の経験を描写していきます。泣きました、という感想でもよいのですが、この小説には色々なものが詰まっていて、とても頭が良い主人公でさえも抱えきれないほど…

にんじんの書棚「セクストス・エンペイリコスの懐疑主義思想」

この本はいわゆる「ピュロン主義」=古代懐疑主義について書いた本で、彼らの哲学やそれに基づく幸福観にまで踏み込みます。あらゆる判断を保留するこの立場はどう自分たちの立場を主張し、どのようなことを幸福を考え、どう物事を探究するのか。偉そうな言…

にんじんの書棚「『竹取物語』から「かぐや姫」へ」

一番わかりやすい「かぐや姫」解説。いろいろ探しましたが、これ以外の本はかぐや姫各論みたいな本が多く、お話全体に触れたものは少ない印象ですが、「竹取物語」がどんなことをテーマとしているかがわかりやすく書かれており、非常に参考になりました。ジ…

にんじんの書棚「統計学を哲学する」

データをまとめるだけでは帰納推論はできない。データの背後に一定の構造を「前提」することでそれが可能となるのだ―――といったようなことから、「因果」まで、表面的に統計学の教科書を撫でるだけではちっともわからない哲学的背景を教えてくれる本です。た…

にんじんの書棚「仏教思想のゼロポイント」

仏教について解説した本のなかで一番わかりやすく全体像を示してくれた本。一言でまとめるにはとんでもない圧縮をしないといけないが、要するに「原初に還れ」みたいなことだと思います。意識現象を発達させ世界の色々なものを境界づけ分節化してきたのをや…

にんじんの書棚「なぜ、私たちは恋をして生きるのか」

九鬼周造の『「いき」の構造』を通して、相互に関わりあい影響を与え合い「自己を変わり合っていく」というような人との関わりの根底にあるところを教えてくれる一冊。自己を定義するためにではなく、脆い自己を定義し続けるために他者が必要だという話だと…

にんじんの書棚「肉食の哲学」

倫理的ベジタリアンを攻撃する本であると同時に、それよりまともな政治的ベジタリアンとしての道を歩ませようとする本。「自然災害で事故死したシカの肉だったら食えるんですか?」というツッコミが一番おもしろいと思った点です。 以下、過去記事から、本の…

にんじんの書棚「憲法とは何か」

憲法改正をすべきかすべきでないか、という問いかけに一体何の意味があるのかと日頃から思っていた。つまりは「どこを改正するんだよ」という話で、ここに関する議論が欠けているのに何を質問しているのかよくわからない。 また、大事だから書こう、というよ…

にんじんの書棚「男たち/女たちの恋愛」

明治維新による生活の激変は人々に生き方を考えさせた。西洋に並ぶ国家建設という目標から本当の自分へ、そして本当の自分を理解する真友を求めるところへ進み、遂には恋愛と結婚が接続される大正時代頃までの動きを追っている。何度も読んでしまうのは、「…

にんじんの書棚「人類史のなかの定住革命」

何度も紹介していますが、あらためて「にんじんの書棚」としてまとめておきます。 縄文時代のはじまりを「土器と定住の普及」と位置付けるならば、定住革命は旧石器時代と縄文時代の移行期に位置することになります。定住革命から約12000年、私たちの生活を…

にんじんの書棚「パニック障害と過呼吸」

パニック障害と過呼吸 パニック障害に困っているひとは、是非手に取りたい一冊。「栄養さえとりゃ治るんじゃ」と言い始めたりせず、パニック障害の定義から診断、パニック発作=過呼吸症状の仕組み、””ふつうは””どう呼吸したらいいか・腕や足の簡単なリラッ…

にんじんの書棚「意識と自然(谷徹)」

「意識と自然」 「フッサールの現象学を学ぼうと思い、いろいろな本を読んできたが、なんかいまいちわかった感じがしないんだよな」という方におすすめの一冊。分厚いが、それだけの内容がある。まず現象学の五つの起源について語り、次に「対象」というもの…