2021-01-01から1年間の記事一覧
機能的文脈主義とはなにか アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、認知行動療法の一種である心理療法である。この心理療法は「機能文脈主義」という世界観を前提とする。 世界は要素で構成されているか? 部分的要素が実在し、それによって世…
第一章 男性の権力というのは本当に神話か? 第一の視点 女性がいかに被害者であるかという言説はたくさんあるのに、男性が男性であることによる被害を主張するのはそれほど認められていないようだ。『なぜ女性のつらさは問題にされるのに、男性の生きづらさ…
第一章 機能的文脈主義とは何か アクセプタンス&コミットメント・セラピーは「機能文脈主義」という哲学的立場のもとで実践される行動療法である。機能文脈主義は、文脈主義のはじまりであるPepperによれば、世界それ自体についての仮説・世界観のひとつで…
第一章 現象学の理念と方法 根本的に新たな始まりを求めるデカルトの指導理念は、デカルトにおいては主観へと転じられた哲学において達成されなければならない。なぜか。第一に、哲学の全面改革は個人の中に生じるしかないから。もし共同研究をしているにし…
コナトゥスと欲望 おのおのの物が自己の有に固執しようと努める努力はその物の現実的本質にほかならない。 はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書) エチカ、第三部定理七 ここでいう「努力」をコナトゥスconatusといい、つまり「自分の存在を維…
今日はお知らせです。 2022年より、にんじんブログの更新は「月」「水」「金」がお休みになります。 だんだんと考えがまとまってきまして、乱読というよりは重ための本を精読しなくてはならなくなってきたからです。それから、いまはどうなるかわかりません…
自己評価などを気にするのは道徳的に責められてしまうことのようで、変に気が引けてしまうかもしれない。だが、自己というものを適切に評価できていないことが、逆に自分というものに囚われてしまう、《自分というものを気にかけすぎ》てしまうという結果に…
東洋人は環境に、西洋人は対象物に。東洋人は自己というもののありかをさまざまな人間関係や環境のつながりの中に見いだそうとするが、西洋人はそうしたものに囚われないところに自己の姿をさがす。東洋人にとって変化はあたりまえのことであり、西洋人は安…
第一章 老化の概念 老化とは、成熟期以降、加齢とともに個体を形成する各臓器の機能あるいは各臓器をネットワークとして統合する機能が低下し、個体の恒常性を維持することが不可能となり、ついには死に至る過程を指す。 加齢とは生後から時間経過とともに個…
この本はドイツの著述家であるクニッゲ(1752~1796)が書いた処世哲学の古典的名著で、他にも小説などいろいろな作品があるが、自他ともに認める「粗製乱造」のせいもあってか、現在でも親しまれているのはこの一冊のみである。 第三部まであり、第一部にお…
生きる目的はない。やるべきことはなく、つまり、何をしてもよいので別に自殺してもよい。だが、本当に「よい」と思えるはずはない。私たちはいろいろの理由で死にたくないと思っている。その主要な理由は「私たちはホモ・サピエンスという動物種の一人であ…
漱石が求めた「個人の自由」は、単なる信念では押し通せない。何が必要かといえば「金」である。が、漱石は「金」が力を持ちすぎる社会にも嫌気がさしていた。漱石の神経を参らせたのは、〈金力の不徳義に対する怒りと、無金力の不如意に対するあせり〉であ…
夏目漱石ほど魅力的な作家はそういない。 彼が魅力的なのは、文学的な芸というものにとどまらない。どれだけ中身がうまくてもそれで繰り返し読む気にはならない。彼には、何度でも読ませるなにかがある。それを言葉にしようと試みているのが林田茂雄氏の書い…
ビッグバンが起きたことはほぼ間違いないと言われているとはいえ、門外漢からすると「へぇ」の域を出ないのもこっちからすると確かなことである。だがともかく何かが原因で始まらねばならぬ、もしこの世界が永遠にこの形であるのでなければ。まぁ永遠にはあ…
人間はひじょうに考えごとをする。考えるのは一見簡単だから、使い方を間違えてしまう。そこから哲学的問題が生じ、あるいは、死の恐怖が生じる。それで宗教をやる、考えなくてラクだから、運命はみんな神様にお任せ。あるいは考えるのをすっかりやめてしま…
動物の幸せ 動物をただ単に生かす方法なら、つまり死なせない方法ならいくらでもあるだろうが、生き残れば幸せだろうと考えるのはどうかしている。このことは人間に当てはめても明らかなことだ。この件に関わって、イギリスの科学者による家畜福祉の諮問委員…
お釈迦様の話ではどうも我というものには実体がないそうだし、スピノザやプロティウスによると私たちは「神」「一者」と呼ばれるようなものから生物的必要性などに応じて自ずから分節化され来たったものだそうである。小馬鹿にしたような書き方で始めてしま…
「なぜ人は自分らしさを求めるのか?」 この問いを吟味するうえでまず確認しなければならないことは、「自分らしさ」とはなんであるのかである。そもそもこの点がわからなければ、人がそれを求めているのかどうかさえわからない。 そもそも自分らしさという…
夏目漱石『吾輩は猫である』において、二度、哲学者ニーチェの名前が登場する。 一つは第七章の、猫の銭湯見物の折。猫はふだん服を着ている人間たちが裸体で集合しているのを見て仰天する。人間の歴史は衣服の歴史であり、衣服は人間同士を差別してきた。生…
「気持ちを整理する」という。 部屋の乱れは心の乱れ、と思い、気持ちが落ち着かないときは整理整頓することにしている。この記事『気持ちが落ち着かないとき』では、その整理整頓をテーマに、思いついたことを適当に書き連ねて来た。今回はそろそろ気持ちの…
エピクロスは精神の平静と肉体の無苦(アタラクシア)が幸福であると考えた。にんじんはこれに付け加えて、あるいは補足して言いたい。そこにあるものを愛でること、音楽をきれいだと思ったり、花をきれいだと思ったり、そういったことも、幸福の主要な要素…
釈迦が「我っていうのは五蘊から成るんだよ」と言ったので、五蘊について熱心に研究し始めたのが、小乗仏教といわれる人たちだった。あんまり専門的になりすぎ、学問的になりすぎてしまい、やがて大乗仏教といわれる人たちに批判を食らう。それが『般若心経…
インダス文明の栄えたのち、アーリア人たちが進出してきた。そこでできたのが『リグ・ヴェーダ』などの「聖典」である。ここに生じた階層制度に現代のカースト制の起源を見ることができるそうだが、仏教の基礎にある「輪廻転生」の考え方もアーリア人との混…
西洋と東洋の思想の違いは「光あれ」で分かたれるという(新編 東洋的な見方 (岩波文庫))。前者は「光あれ」から、後者は光が射す前も射程に置く。理論theoryのもととなったテオリアという言葉は、見るという動詞の名詞形であるが、東洋は真理探究のために…
社会心理学では、「私は〇〇だから、~するためには△△しなければならない」というのをアイデンティティ不随条件という。〇〇にはアイデンティティが入り、~には目的、△△にはなんらかの行為が入る。たとえばアメリカのある地域では、黒人の子供がプールに入…
むなしさについて 日々の生活のなかでむなしいと感じるときがどれほどあるだろう。「人生はむなしい」というのはにんじんのフォロワーの言葉である。この種の発言は、ある特定の人物というよりも、タイムラインでは毎日のように聞かれる。一部には冗談が含ま…
一日をまっさらにはじめたい。これが朝一番にやるべき仕事のような気がする。 そのためにはまずしっかり寝ること。いらないものを忘れ去るのも、睡眠の役目だ。睡眠とは脳の掃除、整理整頓。よく寝れた朝ほどすっきりしていることはない。そこから一日のゴミ…
労働ほどめんどうなものはこの世にない。 どこの文化圏のひとが労働から充実感を得るのかわからないが、彼らと唯一共有できるのは口座に金が入っていたときの喜びだけだろう。働くことに深刻な疑問を感じ、それを素直に口にするひとはSNSもあるから、冗談交…
気持ちが落ち着かないときは整理整頓に限る。 まず簡単には、物理的に部屋の掃除でもするのがよい。いるものと、いらないものを分ける。いらないものは捨てる。いるものと、いるかいらないかわからないものはどこかにしまっておく。どこにどうしまっておくか…
現象 を データ生成システム として見る! 溢れ出てくるデータから、それを模倣した人工的なモデルを数学的に構築する(数理モデル)。与えられたデータの生成ルールを再現しようとする。モデル ⇒ 重要な変数を決めて、その変数間の関係を決めて、数式であら…