にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

MENU にんじんコンテンツを一望しよう!「3CS」

にんじんの書棚「善い学びとは何か」

 学ぶというのは、たとえば知識を得たり、自分の信念が間違っていたことに気づいたりすることであろう。知識とはある種類の信念だろうことを思えば、学ぶというのはいってみれば「信念の改訂」であることがわかる。知識とは伝統的に『正当化された真なる信念』のことであったが、もはや私たちはなにか信念がある観点においては正しく、ある観点においては正しくないようなものであることがわかっている。そしてたとえ同一の観点であったとしても真であったことが実は違っていたことに気づくことがありうるし、おそらく人はそれを「もともと虚偽だった」というが、そういう「本当の世界」について私たちは原理的に知り得ないだろうことも、またわかっている。真理という概念のポイントは””本当の世界””に関するものではなく、ほかの観察者からしてもそうであるようなある種類の客観性を意味していると考えられる(真理に観点相対性を持ち込むことは相対主義に至ることはない)。

善い学びとはどのようなものだろうか。本書は「善い学びとは、学ぶ者が固定観念を中性化できるようなもののことである」と答える。「固定観念の中性化」とは、簡単に言えば、ある人が自分の反省だけで気づけないほど凝り固まった見方や考え方について、それが一つの個別の見方や考え方であることを認識することである。

善い学びとはなにか―<問いほぐし>と<知の正義>の教育哲学

 別の見方や考え方があることに気づくことが重要であって、「その見方が正しい」に至る種類の学びに比して価値がある、と主張している。その価値は、個人的には自由な認識主体となることであり、社会的には認識的不正義の是正にある。