良い本をちょっと紹介するコーナーです。
今回は「キリギリスの哲学」です。
- 作者: バーナードスーツ,Bernard Suits,川谷茂樹,山田貴裕
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 単行本
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会話形式で「ゲーム」という概念の厳密な定義づけを行っていきます。この対話が非常におもしろい。最初は「ゲームというからには目的がなくっちゃね」と来て、そのあとに目的があるけどゲームとはいえないものの例があげられ、今度はそれをも含むようにどんどん定義を確定させていきます。
そもそもこれはウィトゲンシュタインの「家族的類似」による語の意味の説明に対する一個の反論にもなっています。彼が言うには、語の意味というのはそれぞれに家族的な類似性があるだけではっきりと共通のものがあるわけではない、のですがこの本ではそれに反して「””ゲーム””に共通なものならある」と言います。
そういうのは脇に置くとしても、ただひたすらに「哲学」してるのを登場人物の対話を通して疑似体験できる本なのです。