原稿用紙一枚で書く日記。#5
私たちは相手の心を推測する。相手が怒っているのを見て、怒りっぽい人なのだと思う。こういうのを属性推論と呼ぶらしい。議論はあるようだが、相手が怒っているという同定から、怒りっぽいという帰属の連鎖はほとんど自動的に行われるのだそうだ。相手が今特別な状況にあるとは考えないのである。ところで相手が子どものとき、私たちは相手を「子ども」というカテゴリーに属すものとして見る。これも属性推論と似たようなものである。これの特徴はカテゴリー間の区別は重視しても、カテゴリー内では扱いに差がないことだ。そうするとカテゴリーの数はやはり多いほうがいい。
他人に対して「敵」と「味方」しか語彙がない人は、きっと世の中のほとんどが敵に見えるに違いない。学ぶことの意義は、ひとつ、ここにもあるのだろう。
社会心理学 (New Liberal Arts Selection)
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