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「現代哲学のキーコンセプト 真理」ch.1

真理とはなんなのか?

 この問いはこうも言い換えられる。「ニワトリは卵から孵る」という主張が持っていて、「両生類は羽毛を持つ」という主張が持っていない性質である《~は真である》という性質は一体なんであるのか? ———真理とは何かと問ううえで、真理をこの世界全体のことだと勘違いしてはいけないし、また、「真理とはなにか」と「何が真であるのか」は区別されなければならない。なにかある言明が真であることを知りたいことと、真理がなんであるかを知りたいことは異なる。Xとは何かという形式の問いはソクラテスが探求したことで知られる類のものだ。彼と同様に私たちが知りたいと思っているのは、『なにが真なる主張を真とし、なにが偽なる主張を偽とするのか』を説明することである。

 次になにがこの《~は真である》の担い手になるのかについて見たい。文、命題、発話、言明、信念、理論などがこの候補になる。ただ、文にそれを帰する哲学者の中には命題という抽象的対象の存在そのものを認めていないこともあり、論争は大変込み入っている。そこでここでは「主張」ということばを中立的に用いることにしよう。

  •  次のような誤解もある。(1)私たちになにか真であるとみなす権限は決してない。ゆえに何も真ではない。(2)誰かが信じていることを真でないとする権利はない。ゆえに何も偽であることはない。――――この議論の問題は、真であることと真であるとされることを区別し損なっていることである。当たり前だが犯罪者とされていることと本当に法を犯していることの間には差がある。