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にんじんと読む「うつのためのマインドフルネス&アクセプタンスワークブック」🥕

イントロダクション

「人が人生に求めるものはだいたい決まっています。健康、愛情ある人間関係、やりがいを感じられる仕事、建設的な気晴らし、精神的な活動、そしてレジャー活動」だがこれを求めることで「楽しいことが次から次へと起こる」わけではない。むしろ、求めることそれ自体が「生きることへのコミットメント」なのである。

 そのなかで起きてくる望ましくない内的体験は、「取り除くこともコントロールすることもできないので、アクセプトする(受け容れる)べきである」と考えるのがアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の前提である。たとえば感情というのはある出来事に接すると自動的に引き起こされる反応であり、抑えることなどできるわけがない。そこで我々が学ぶのはその感情から「一歩距離を置く」方略なのだ。

 

第一章 うつをありのままにとらえよう

 私たちが人生の価値を求めるなかで生じてくる望ましくない内的体験は、私たちをその価値を求めることを挫けさせることに繋がる。「仕事が行き詰っているにもかかわらず、リスクを恐れて次のステップへ踏み出せない」「求められることや、それから来るストレスでやる気を失っている」「長く続く健康問題がある」「依存と闘っている」「過去にこだわっている」「満たされない」―――これらは「どれもまったく珍しくない」もので、「毎日の生活につきもの」である。私たちはこれにどう対処すればいいのだろう。

 こうしたさまざまな苦、あるいは望む生き方ができないという意味での「抑圧」に対して、私たちはこれまで「強くなって苦痛を感じないように」とか「ネガティブな感情を持つのは健康ではないサインだ」とか、いま起きている内的体験と対立するような考え方を教えられてきた。だから嫌な状況を回避しようとする癖がついてしまうこともある。だが問題を回避してもそれはなくならずたいていの場合悪化するし、回避することによって達成感を失っていくことにもつながる。

 抑圧の下で、人の行動は変わって来る。そしてその歪みが他のゆがみを生み、負のスパイラルに落ち込んでいく。そこで私たちは、次の五種の体験をする。

  1.  感情 慢性的な悲しみや怒り、イライラ。だがそれは鈍く、漠然としており、いきなり強い感情に襲われ、理由がないのに泣き出したりする。また、感情の麻痺も伴い、ポジティブな感情でいるときでさえ「無言でいることが多く」なる。これは「快感喪失」と呼ばれ、喜びを感じづらくなり、しかし、ネガティブな感情はすぐに現れる。
  2.  感覚 腹痛、胸痛、頭痛、身体的な痛みや不調。呼吸が浅くなり血中酸素濃度が低下により注意力・集中力が削がれ、緊張が高まり落ち着きをなくす。夜になると症状がひどくなる。
  3.  思考 ふつうの状態でもポジティブよりネガティブな思考のほうが多いが、さらにネガティブが優勢になる。その思考は「極端さ」を特徴とし、他にも「完璧主義」「自己否定的」「過去の失敗」「罪悪感」「恥ずかしさ」をもつ。
  4.  記憶 記憶がマイナス方向に歪む。
  5.  行動 特定の行動が過剰になったり、反対に運動やレジャー・友人や家族と一緒に過ごすなどの社会的活動を避けがちになる。こうしたことが起こるのは「わずかに残っているエネルギーを守ろうとする」から。

第二章 うつに至る道とそこから脱する道を知ろう

 こうした症状は、どんな人にもときには現れる。対処行動としてそこから物理的あるいは心理的に距離をとりエネルギーを回復することが考えられるが、この反応で問題となるのは距離をとったまま戻って来ない人がいることである。喪失によって受けた悲しみから立ち直れず生活が回避的になったり、トラウマ体験からそれに遭遇しそうなことを避けるようになったりする。

 こうした人々は自分の苦しめる問題から距離を置き、「不快な感情や思考、記憶に正面から向き合うのを避け、社会や人間関係から距離を置き、充実感のない生活を送ることに」なってしまった。あらゆる場面で回避が選択されるようになると、人生の価値を求めることが余計に挫かれ、症状はどんどんとひどくなっていく。ここで起きているパラドックスは、気分をよくするためにとった行動で余計に症状がひどくなる、ということである。私たちがこれらの症状にいたりやすい、ふたつの誘惑がある。

  •  「ネガティブな内的体験の発生を防ぐ最良の手段は、引き金となる状況を避けること」 回避の誘惑
  •  「思考が語る物語は現実を反映している、だからその話を信じ込め」 固く信じ込んでいるルール、思い込み。自己破滅的なルール。

 たとえばデート相手から拒絶されるのがいやだったので、男性と会うのを避けるようになり、また拒否されたときに感じる感覚は脅威だから絶対に排除しなければならないというルールと重なって、人との交流も避けるようになり、この結果、「自分は拒絶されたり恥をかいたりするリスクに対処できない」とさらにルールを追加し、どんどんと自信を失っていく……。

 

 ではどうすればいいのか。

 こうした状況から「抜け出す道には、接近、積極参加、うまく機能しないルールからの離脱、さらに、悲しみや怒りを引き起こす状況に関して意志を持った選択を行うことが含まれなければ」ならない。ある人が困難な状況に直面した際に見せる典型的な反応を「反応スタイル」と呼ぶが、これには3つの基本的な次元がある。これを変えることで、「抑圧から自らを解き放つ」ことができる。

  •  望まない内的体験のアクセプタンス(受容)vs 拒絶 会社の面接で「緊張しすぎて失敗したらどうしよう」と考えはじめたとき、もし反応スタイルが拒絶なら、不快な内的出来事をコントロールすることで頭がいっぱいになり、面接自体に向けるエネルギーがなくなる。もし「受容」に傾けることができれば、面接にエネルギーを注げる。
  •  意志を持った生き方 vs 自動操縦に任せた生き方 自分の人生に関するルールが全く役に立っていなかったと感じる人は多い。とにかくあの家やあの車を手に入れればいいのだ、など。これが自動操縦に任せた生き方であって、「私たちを取り囲む物理的世界とのつながりはこれまでになく希薄」になってしまっている。「生活に自動操縦の部分が多く鳴ればなるほど、あなたの振る舞いは社会的ルールと社会的期待の枠組みにとらわれて」しまう。「「そうすべきだから」という理由で物事を行い、それが活き活きとした人生を送るのにどれだけ役に立つかということは考え」なくなる。
  •  困難な状況への接近 vs 困難な状況の回避 「回避傾向にある人は、感情的なつらさを強いられる局面では身を引いてしまいがち」であり、「自分が手を出して悪化させてしまうよりは、なるがままに任せたほうがよい」と思ってしまう。

つまり、私たちは、ACTは日々の生活の中で自分の体験を受け容れること、よりマインドフルになり、自分の意志に基づいて行動すること、困難を避けるのではなく解決するために行動を起こすことを教えてくれるんだよ、と言いたいのです。

うつのためのマインドフルネス&アクセプタンス・ワークブック

 

 

第三章 うつとその人生への影響を一覧表にしよう

第四章 うつの罠を知ろう

 「本章では、「社会化(社会環境からもたらされる基本教育)」がいかにうつの罠に対する耐性を低めてしまうかをみていきたい」。うつの罠の本質というのは、「これまでに受けた教育に照らすとまったく正しいことをしているのに、それがうまく機能していない」というような状態にある。私たちの文化は、「充実した人生を送る方法を実はまったく知らない」のだ。

  •  感じ方をコントロールしようとすることが問題!
  •  心的事象はコントロール不能
  •  心的事象は抑え込もうとするとより大きくなる!

 つまり、こうなる。「気分の管理が目的のうちは人生の管理は不可能」。私たちの文化は感情を抑えろとか、それをコントロールすべしと説いてきた。行動の価値を自分の気分にどんな影響を与えるかといったことで考えているところがそもそもの間違いで、それが人生の質を低下させてしまう。

 

第五章 マインドを理解し、体験を信頼しよう

 以上までのことをまとめるとこういうことになる。私たちは人生においてさまざまな価値を求めている。だがそれを求めているからといって望ましいことだけが起こるわけではなく、やはり望ましくないことも起きてくる。あなたはそういう状況を「回避」しようとすることで人生を質を減ずるのである。なぜ回避しようとしたのかについては、そもそもネガティブな感情を起こすこと自体に対する偏見とか、そういう行為はよくないといったような決めつけ、思い込みといったようなこれまでの生活で培ってきてしまった「ルール」があるからなのだ。私たちは人生のリスクに対する対処を、感情の管理にあててしまうが、活動や行為の価値というのは、求めている人生の価値に対してどれぐらい有効かによって評価されなければならないはずだ。こうすると嫌な気分になるからといって気分の管理にあててしまっては、人生の管理は覚束ないのである。

 私たちはほとんど自動的に起こる自分のなかの反応を、受け容れ、それを見つめ直し、より有効な賢いルールを身につけて行かなければならない。

第六章 ステップ1:価値の方向を定めよう

 そもそも、なんのために生きたいのか、あなた自身の価値を自問しよう。

第七章 ステップ2:変えられないことは受け容れよう

 アクセプタンス(受容)は、コントロールと回避に代わる方略である。どうにかなることとどうにもならないことを見分けることは重要だが、これはまさに『どうにもならないことをどうにかしようとしてはいけない』という言葉によって表現されるだろう。そしてどうにかなることは自分がどう行動するかということだけなのである。つらい体験と自分自身とのあいだに「一息つけるぐらいの小さな隙間」、ほんの少し距離を置くことができれば受容はしやすくなる。

 アクセプタンスは意図的行為であり、回避するのではなくそこにじっとしたり判断や評価をしないことを含む態度・心構えである。あきらめて今のひどい状況のままでいろと言っているわけではなく、我慢しろと言っているわけでもない。

 

【アクセプタンスではない例】

  •  ともかく過去のことにしよう、過ぎたことは忘れよう
  •  この感情を取り除きたい
  •  感じ方を思いのままにしたい
  •  こうした考えがどこから来るのかもっと理解しなければならない

【アクセプタンスである例】

  •  今の状況に進んで取り組もう。
  •  気持ちよくはないが、これも健全な自分自身だ
  •  この感じのためのスペースをつくれる
  •  自分の過去と一緒に生きようと思う
  •  状況に向き合って、できることをしよう

 

 アクセプタンスは、ウィンリングネス(進んでしようと思うこと)ととても近しい。

 

 

 

 第八章 ステップ3:マインドを観察しよう

 あなたは職業訓練校に通うのが嫌でいまの仕事についたのだが、いまの仕事もいやになってきたので転職したいと考えだしたとする。そしてそのために職業訓練校に通う必要が出て来た時、まえと同じ状況に立たされるわけだから、あなたの頭は次のように反応してくるだろう。「勉強で苦しまないためには、学校に行くのをやめるか目標を下げなさい」それに従えば失敗の可能性は避けられる。だが、あなたの価値に沿わない。ルールに追従することは、アクセプタンスの大敵である。このときあなたの思考はまったく理にかなっているが、そのゆえに、その思考は厄介者なのである。

 ルールはまるで絶対的真理であるかのように振る舞い、価値に沿わない行動をそそのかす。私たちは一歩距離をとり、観察者の立場に立たなければならない。そして次のサインがないか確かめるのが得策である。

  •  白黒はっきりした言葉づかいで、ネガティブで、極端
  •  回避を促す
  •  「私は」の形式で語ってきてまるで現に自分はそうせざるを得ないかのような風に語る。

 このような情報を伝えてきたら、そいつにニックネームをつけて、「またコイツか」と考えるのは良い戦略である。