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「論理哲学入門」第一章

第一章 「論理学」とはなにか

 論理学は妥当な形式的推論(ただし、推論の妥当性がもっぱら言明の単なる形式にもとづくかぎりで)に関する学であるとするのが今日的な見解であり、その主たる主題は言語である。すなわち、論理法則とは言語の法則なのである。

  •  だが古来には論理法則とは存在の法則、あるいは中世においては思考の法則でもあった。ここで考えたいのはこれらの相違にかかわって現代的論理学が取り逃すものはないかどうか、である。結論からいえば現代的論理学はそれまでの成果を上に掲げた研究テーマにおいて十分に取り込むことができている。なぜなら推論について考えるためにはその推論において用いられている概念や判断について吟味することを迫られるからである。
  •  論理学は妥当な推論を漏れなく体系的に探究するが、これに対して論理学の哲学は論理学で重要とされっる種々の概念の分析を課題とし区別される。言ってしまえば論理哲学的探究は中世的な「判断の論理学」の枠内にとどまることになる。
  •  また「論理学」という言葉は理性を適切に導くための「方法論」としての意味合いでも用いられ、真理発見の術として考えられる場合もあるが、このとき上述してきた論理学は形式論理学と呼ばれる。これは真理を発見することはないが、真理の根拠づけを与える。ただ真理の根拠づけがすべて形式論理学において与えられるわけではなく、たとえば知覚などによって直接的に根拠づけられることもあるだろう。そして帰納的推論に見られるように形式的には妥当ではないが一体いかなる状況においてであれば認められるかという点で形式論理学的に問題となる。すなわち、一般に理解されている論理学は根拠づけの規則を探る形式論理学に包まれている。ただ論理形式をめぐる問題群に考察の的を絞る本書はこの広い意味での論理学には立ち入らない。