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にんじんと読む「オートポイエーシス論入門(山下和也)」🥕 第二章② ここまで

 オートポイエーシス・システムは、そのオートポイエーシスが維持できている範囲でネットワークに属する産出プロセスを変化させることができる。それに応じて構成素や構造も変化する。たとえばオタマジャクシがカエルになるようなもので、たとえ変化したとしても、二つは同じものなのである。*1

 システムの変化は、

  1.  構造的ドリフト=システムがその作動を通じて自分の産出プロセスの連鎖関係を規定する規則を変化させること=システムがその作動を通じて構成素のタイプと産出の順序を決める規則を変化させること
  2.  構造変動=環境との相互浸透からくる構成素の状態のみに基づく変化。
  3.  メタモルフォーゼ=作動しているネットワークの時間的推移によって形状が変化していく。これは予定されていた変化であり、コードの書き換えそのものは起きていない。

 以上の三つがある。カフカの『変身』のように人間がイモムシになったらそれは構造的ドリフトである。細胞の形はそのままにサイズがでかくなると維持するために構成素も変化するが、これは構造変動。メタモルフォーゼは、昆虫が変態するように、予定されていた変化の発現である。

 オートポイエーシス・システムには四つの性質があることがわかる。

  1.  個体性 オートポイエーシス・システムは閉じたネットワークであり、自分自身を自分以外のあらゆるものから差異化している。その存在の唯一無二性と、変化に際しての自己同一の維持が個体性である。
  2.  自律性 オートポイエーシス・システムは作動基礎づけ関係による連鎖の展開の仕方のみに依存する。システムにいかなる変化が生じたとしても作動の結果である。攪乱を起こすことはできるがその結果どうなるかを決めるのはシステムである。環境はシステム作動の前提ではあるが、システムがどうなるかを決めることはできない。即ち《原理的にこのシステムを外部からコントロールすることはできない》。もちろん細胞をぶっ潰すことはできる。コントロールできないということの意味は、何かの働きかけをして何かの反応があったからといって、次も同じようになるかはわからず、100%の再現性は期待できない。
  3.  単位体としての境界の自己決定 システムには部分がなく、どこまでがシステムかは決まっている。もしバラそうとすれば、ネットワーク閉域そのものが壊れてしまう。もし産出プロセスの一つを入れ替えたならば、ネットワークは消滅するか、あるいはネットワーク形状の組み換えが起こる。いずれにせよ、その変化は全体に波及する。
  4.  入力・出力の不在 このシステムは自己完結している。もし産出プロセスがそこに付け加わったとしてもそれはシステムの自律的な作動であるし、作動を通して変化したとしてもそれは自分自身による変化なので外部への出力ともいえない。「作動」として見る限りは入力も出力もないということ。

 この四つの性質はもちろん、個々の産出プロセスは持っていない。システムになってはじめてあらわれる性質なのである。

 

 

 

 

※ 読めば読むほどよくわからなくなっていく

 

 

 

 

*1:ネットワークのノードを取り換えても良いらしいが、前の状態と後の状態が「同じ」だというのは何によるのだろう。これはやはり「変化」という部分に求められるしかないだろう