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にんじんと読む「地球の中身」 ②生命

生命

 地球が完全に形成されるに至るジャイアント・インパクトは同時に、地球を火の玉にした(マグマオーシャン)。もしも原始惑星が正面衝突したなら運動エネルギーがすべて熱エネルギーに変わり、温度は一万度。最も深い部分まですべて液体になってしまったことになる。それ以前にどんなものを生み出していたとしても、ジャイアント・インパクトがすべてを吹き飛ばし、「はじめから」にしてしまったことだろう。

  •  マグマが冷えて固まると、大気の温度も低下していく。大気中の水蒸気が雨になって降り注ぎ、海を作った。プレート運動は海により冷やされたプレートが冷やされていないプレートの下に沈み込むことで起こる。だがこのときはプレート運動が起きていなかったことが知られている。また、海が地表全てを覆ったのか、地表を残したのかはわかっていない。

 なぜ地球には海があるのかというと、「マグマオーシャンが冷えるまでの時間」が適当だったからである。地球は数百万年、しかし金星は太陽に近すぎて一億年もかかってしまった。それだけ時間がかかると熱によって惑星は水をすべて失ってしまう。

 地球上に残されている岩石はどれだけ古くても、この頃のものはない。この地質時代を【冥王代】という。だから調査は恐ろしく困難になっている。だが生命の起源はマグマオーシャン後の地球に求められる。生命は38億年前には誕生したという言説は、より正確にいえば、「遅くとも38億年前」であって、マグマオーシャンが冷えてから生命誕生までにどれぐらい時間がかかったかは関心のあるところだ。マグマオーシャン時代に生命活動は不可能である。

 生命をつくる部品のうち大切なものが「リン」であり、これは核酸の骨格を成す分子に使われている。炭素、水素、窒素などはたくさん存在しているのでそれほど心配する必要はないが、リンは自然界では簡単に手に入らないのである。リンは岩石のなかにほんのわずかにしかない。地球と同じ材料でできている月に目を向けると、そこには現在の地球には残っていないクリープ岩というリンをそれなりに含んだ岩が残っており、シナリオとしてはここが生命のゆりかごになったと考えるのが自然であろう。

  •  生命は海から来たと考えられている。だが生命の原材料にはナトリウムではなくカリウムが多く使われている。二つは非常によく似たもので、海にはナトリウムが大量にあるにも関わらず、クリープ岩に豊富にあるカリウムを生命が使っていることからも、生命が岩石の上で生まれたことを支持している。

 クリープ岩はマグマオーシャンが冷えたときに、期間限定で存在している岩である。つまりクリープ岩が消えてしまうまでの間に生命は誕生したのだ。つまり、いま地球上から生命が絶滅したら、もう二度と地球に生命は現れないことになる。