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にんじんと読む「農家はもっと減っていい」🥕

第一章 農家はもっと減っていい

 農家の平均年齢が上がり、農家数も減少してきています。しかし、これは特に問題ではありません。日本の農業は弱い経営体の淘汰と、規模拡大が遅々として進んでいませんでした。彼らは政府に与えられた自分たちの城のなかで全員が年寄りになっていなくなり、内部崩壊を起こすまでずっと過ごしていたのです。いまも政府と農業者はその城の中でなんとかやりくりしながら閉じこもっています。

 そもそも農業者が減少して何が問題でしょうか?

 販売農家107万戸のうち80%が売上500万円以下です。利益ではなく、売上です。当たり前のように、コストを差し引けば生活などできません。すなわち、農業一本で飯が食えるプロは残りの20%に託されるわけです。そして恐ろしいことに、彼らが全員いなくなっても全農業産出額の13%しか失いません。では残りの8割はどこが生産してくれているのかというと、売上1000万円以上の上位層です。つまり、10%が8割を生産している訳です。つまり、「減少→やべえ」は成り立ちません。

 すなわち、ボンボンと生産してくれる農家が減るとヤバいのですが、農家数の増減をグラフで見てみると、売上3000万以上の上位層はむしろ増えています。減っているのはそれよりも売り上げ規模が少ないところです。プロが規模を拡大し、アマがどんどんいなくなっているのです。これは弱い経営体の淘汰と、事業規模の拡大というふつうのことが起きているだけではないでしょうか。今までの構造の中に閉じこもっている人が減っているのです。

 「デカくしろ。デカいところだけが生き残れ、ってか」という気分になったかもしれません。しかし、言いたいことはそうではなくて、単にがむしゃらにやっていても仕方がないということです。だれが今から牛丼チェーンをいちから立ち上げるでしょうか。自分のいる土俵で、その土俵における戦い方をすればよいのです。そしてその土俵のうえで成長していく事業もあれば、廃れてしまうものもあるのは仕方がないことです。

 農家は自らの土俵を見つめ直さなければなりません。ただ漫然として、自分たちは守ってもらう側で、何もしないが生き残らせろというのは無理です。たとえば規模が直接売り上げに関わる米・しかも業務用の大量生産を、規模拡大が見込めないところでやっても勝てるわけがありません。そういう場合はほかの付加価値をつけて、土俵を変える以外にありません。農業技術の専門教育すら受けていない家族経営が長く続き、その場しのぎの補助金などでようやく生き延び、自分のいる土俵を理解していないのは日本の農業の弱点です。