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にんじんと読む「だれもが偽善者になる本当の理由」 第一章

第一章 一貫した一貫性の欠如

 人間は、他人との戦略的なゲームをするために進化し、その脳は知識・正しさ・道徳的な一貫性が必ずしも有利にはならないということをよく理解している。正しさは非常に重要ではあるがそれがすべてではなく、間違ったことは時に正しさよりも有利な状況をもたらしうるのである。

 私たちは自分自身のことをよく知らない。ただそれはフロイト流の「無意識」がどうとかいう話ではなく、私たちが自分以外のなにかを見つめる時とまったく同じように、そのもののすべてを意識することなどできないということにすぎない。私たちは健康のためにジョギングしたいと考える自分の姿を発見し、しかし同時に、ゴロゴロしていたいという自分も見つける。人間はいわば多重人格的で、私たちはさまざまな自分で成り立っているのだ―――本書では『人間の心がモジュール分割され、無数の特殊化された部位から構成されることを示す根拠を提示する』(だれもが偽善者になる本当の理由)。モジュールは互いに分離され、矛盾した考えを同時に持てる。これこそ、私たちのいろいろの不思議行動を完璧に説明し、さまざまな生物学的事象にもあてはまる説である。

 私たちは「自己」という一つの言葉には語弊があることを知る。そして「私」と思っているものが実は自分という国の大統領ではなく報道官にすぎないこともわかる。それは無数のモジュール全体を代弁するだけだ。