生命論と風土学
生命論との対比においていえば、風土学とは世界に存在する事物の多様性をその環境に即して明らかにするものである。近代地理学の発展を促したのは十六世紀以後のヨーロッパ世界の大規模な対外進出にある。未開の土地への侵入や開拓にあたっては、現地の地形・地質・気候・気象にくわえ、動物・植物・鉱物の分布に関する地理学的知識、さらに地図作成の技術といった能力が不可欠である。また、現地住民の性格や行動、習俗から文化に及ぶ知識の系統的整理が民俗誌・人類学の体系化を生み出した。一方で、植民地経営という外側を取り込む動きは、そのような外側を通して、自己への問いかけを伴った。
場所・瞬間・空間・都市