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にんじんと読む「世界への信頼と希望、そして愛」 序章

序章

 この世の中はいやなことばかりで、苦しみに満ちている。そうした出来事に直面してもなお、われわれは世界を愛することが、肯定することができるだろうか? ———アーレントが『活動的生』という著作で行おうとしたことは、「それにもかかわらず」の世界肯定、直接的な世界肯定ならぬ否定媒介的な世界肯定である。すなわち、世界はどう考えても無邪気に肯定できるようなものではありえないぐらい、それを愛することは困難に満ちている。だがもしそのまま否定し去るならば、世界は「砂漠」と化してしまうだろう。

 この本ではアーレントの肯定精神を「愛」あるいは「信頼」と「希望」に象徴させる。信頼と希望は次のように定義される。

  1. 世界への信頼とは、世界はこれからも長きにわたって続いてゆくのだと感じられるところに生まれるものである。
  2. 世界への希望とは、世界はこれからも絶えず新たにされてゆくのだと感じられるところに生まれるものである。

 『活動的生』は世界への信頼を表明することで幕を開け、世界への希望を表明することで幕を閉じる、そんな著作である。彼女の思索を、追っていこう。