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早期緩和/ケアについて考える

早期緩和ケア

 まず緩和ケアとは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやそのほかの身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」(WHO,2022)。このような定義でありながらも、緩和ケアは『治療をあきらめる』といった雰囲気がつきまとっており、その対象者は手の施しようのない末期の者に限られると想像されている。しかしその本体はその名前の通り「緩和」にあり、生活に支障が出る苦痛を和らげQOLに資することにある。早期緩和ケアとは、実は緩和ケアと同じことなのだが、『末期ではない、治療をあきらめるという意味ではない』ことを強調するために使っている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/57/12/57_57.1174/_pdf (教育講座 Quality of Life(QOL))(参考文献で紹介されているのは5P、SF-36のことだと思われる)。

 具体的に早期緩和ケアで行われることは、

  1.  コーピング 病気やそれに関連するストレスの対処法
  2.  疾病を理解する支援
  3.  アドバンス・ケア・プランニング もしものときにどうしたいか話し合う
  4.  治療の意思決定支援 治療をどのように行っていくかの意思決定支援
  5.  療養場所の調整

 などである。そうとはいえ、日本で緩和ケアの保険診療ができる病気はがん・末期心不全・AIDSのみである。海外ではさまざまな病気が対象となっているが、日本ではそこまでに至っていない。だが本来は身体的疾患はすべてが「緩和」の対象になるはずだ。

 緩和ケアを受けるお金はほとんどが自己負担ということであるが、この点について著者は「緩和ケアが、症状の良好な緩和や、未然の問題発生・悪化抑止により、入院予防や、その期間の短縮につながるのならば」トータルでは費用は安くなると主張する。実際入院期間が短くなるという研究もあるそうだ―――だが、トータルで安くなると言われても、保険対象でなければ高額療養費も適用されず、どうしてもその時にキャッシュが必要になってくる。著者のクリニックにおいて自費での診療は、

初回(60分)【遠隔相談の場合は40分】 29,800円(税込)

2回目以降(30分)            10,800円(税込)

同一月内の2回目以降(30分)                 5,400円(税込)

初回相談時は60分以降は30分毎に追加で10800円(税込)、2回目以降の相談時は30分以降は30分毎に追加で10800円(税込)かかりますので、予めご了承くださいなお、延長料金は②の場合のみで、①の保険診療の場合には当てはまりません

料金 | 早期緩和ケア大津秀一クリニック・早期からの緩和ケア外来

 となっており、見ようによっては、知らん医者と一時間話をするだけで29800円とられる。そしておそらく病院でよく体験することだが、相談料と薬代は別なのでさらにお金がかかることが見込まれる。オンライン診療が可能なのはありがたいが、分あたりの値段が高くなっている。また仮に保険適用できるがんなどの種類であっても、保険適用されない自費の「予約料」がとられる。「転ばぬ先の杖」と著者は言うが、それほど気楽な数字ではない。

 痛みや苦しみを避け生活の質を上げようとする緩和はぜひとも必要なものであるが、どうにもあまり手に届きそうにない。たとえていうと資格試験で、「この通信講座は受講すべき! 市販のテキストでは手の届かないところまでカバー! 合格までプロによる相談体制が! いろいろ参考書を買うことを考えたらトータルでは安い!」と言われているのと同じ感覚を持っている。受けれればいいが、受けられない。