序
物語があって虚構がなく、虚構があって物語がないといったような文化はおよそ考え難い。また、文学があって虚構がなく、虚構がなくて文学がないといったような文化もありそうにない。この「文学」「物語」「虚構」の属性はすべてお互いに牽引しあっているが、互いに互いを前提している訳ではないやはりまったく別物である。実際、この三つの組み合わせによって生じる八通りのあり方が現れている。
- +++ 小説など
- ++- 文学と認められている自伝
- +-+ ポストモダンの非物語テクスト
- +-- アフォリズム集
- ー++ 広告
- ー+- ニュースレポート
- ーー+ 数学の問題として子供に出す架空の状況
- ーーー レシピ インタビュー 教科書 法律 挨拶
研究者のある界隈では三つの属性をどうしても切り離したくない一派がいるが、最近ではその流れも徐々に変わってきている。ここではこれらを分け、可能世界によってこれを研究してみようと思う。