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「歴史哲学への招待」第三章:進化する歴史

第三章 進化する歴史

 近代市民社会の樹立としてフランス革命を高く評価する声は多いが、あの革命の経過は血なまぐさいものでまさに《嵐の時代》だった。古い秩序が崩壊し新しい秩序が樹立するためにはこうした時代を通過しなければならないのは歴史の常である。そして生命も、技術も、文明もすべて、創造と破壊を反復しながら「進化」してきた―――長い人類史の過程をみると何段階にもわたる革命的な飛躍があった。石器の発明や火の発見。農耕牧畜による生産性。人口の周密化と階層化。ソクラテス仏陀孔子などによって起こされた精神革命。それらを背景として古代帝国が出現。宗教。ユーラシアの商業革命。科学革命。産業革命。そして、情報革命。

 歴史には完成もなければ安定もない。だが変化してやまない歴史の流れのなかに「パターン」はある。古代ギリシアの最大の歴史家・トゥキュディデスはペロポネソス戦争を眺めながら、人間の性情が変わらない限り未来でも繰り返されるだろうと考えた。このパターンを見出すのも歴史家のひとつの役割だ。