ビッグバン
およそ153億年前のこと、何もない空間に突如として「ビッグバン」と呼ばれる現象が起きた。その瞬間から10の44乗分の1(10^(-44))秒後、10^(-33)程度の大きさの宇宙が発生。この””宇宙の卵””は巨大なエネルギーと極限の重力を持ち、自らの力に耐えきれなくなるかのように爆発し、飛び散り始めた。その飛び散るスピードは光に近く、少なくとも現在の物理学の仮定では、この速さを超えるものは存在しないことになっている。
やがて温度が下がり安定し始めると、宇宙に存在していた素粒子ガスが陽子・中性子・電子といった塊を形成する。およそ2000万年すると、さらに温度が下がり、できあがっていたカタマリたちが化学結合をはじめ、水素とヘリウムを作り出した。宇宙は水素とヘリウムで満ち、実は今現在の宇宙においても、存在する元素のうち93%は水素であり、ヘリウムは6%となり、化学の授業でならったほとんどの元素は1%以下しか存在しない。
さて、水素とヘリウム天国の宇宙はしかし、それぞれが存在する密度は場所によって異なっていた。密度の高さは強い重力を生じせしめ、密度の低い部分を吸収。そうした取り込みを続けることでより高密度化したガスとなり、さらに取り込み、取り込まれ、銀河となった。
ところが、銀河のうちにおいてもまだまだ高密度化の現象は続いている。これまで冷え続けていたのが、逆に温度が上がり始め、そこにあった水素とヘリウムが陽子・中性子・電子という材料の段階までバラバラにされてしまった。さらに密度が上がり、さらに温度が上がると、今度はその高すぎる温度に中性子同士が結合をはじめる。核融合である。
核融合によって大量のエネルギーが発生し、ガソリン代わりの水素がなくなるまで燃え続ける。水素がなくなると死ぬ間際にさらに輝きを増し「赤色巨星」へ。とうとうエネルギーを使い切ると「白色矮星」と呼ばれる、とてつもなく重たい「星」になる。これに至る過程の中でほとんど無尽蔵に生産されるエネルギーは陽子・中性子・電子といった材料をさまざまに結合させ、水素とヘリウム以外の元素を生み出し、崩壊とともにそれらを宇宙に向けて吹き飛ばす。「超新星爆発」といわれる。
天然の元素製造工場は一世紀に一度ほどで超新星爆発をする。しかし先述したように、この宇宙のほとんどは未だに水素とヘリウムで満ちている。