ふつう、文字には「形」も「音」もあるものだが、アルファベットなどのように意味のないものもあれば、漢字などのようにそれぞれの字が意味を持つものもある。これを「義」といい、形・音・義の三種は漢字が持つ主要な3要素である。義を持つものを表意文字といい、持たないものを表音文字という。表音文字は数が少なく組み合わせて色々な単語を作れるが、表意文字はひとつのものとか観念とかに対応してひとつ必要になって来るので、大変に数が多い。
漢字というものは殷の時代の「甲骨文字」にはじまる。それから周の時代になって青銅器に文字が刻まれる「金石文」となり、徐々に字形も整って来た。周の末期、春秋・戦国時代から秦にかけて「篆書」となりさらに統一され、それが複雑すぎるというので「隷書」という簡略化した書体となり、漢の頃はさらに簡略化され「楷書」となった。いま使われている漢字の基本は西暦紀元にできた楷書が規準になっている。楷書は少し崩して「行書」、さらに崩して「草書」がある。
漢字は、後漢の頃、許慎が著した『説文解字』の「六書」という六分類にされており、紀元前112年のものでありながら現在でもふつうに説明に使われている。
- 象形文字 物の形を簡単に書き、その線を単純化したもの
- 指事文字 抽象的な観念を記号化したもの。「一」「二」などの漢数字もそうだが、「大」というのは人が大手を広げて立っている様子からきている。
- 会意文字 上の二つを組み合わせてできた文字。たとえば「寒」は家の屋根・草・人間・氷の象形文字が組み合わさってできている。
- 形声文字 意味をあらわす部分と、音をあらわす部分の合成。「同」「銅」「胴」など。漢字の成り立ちのうえで普通の作り方で、8割はコレ。
- 転注 たとえば「書」はもともと手で書くことだが、書物や手紙などをあらわす文字にもなった。
- 仮借 発音だけを借りて、他の意味に用いたもの。いわゆる「英吉利(イギリス)」などの当て字はコレ。
最初の四つと、あとの二つは「作り方」「意味」とでだいぶ性質が違うので区別して考えたほうがよい。