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にんじんと読む「がんばること/がんばらないことの社会学 努力主義のゆくえ」🥕 第二章

第二章 中根千枝「タテ社会」論からみた「頑張り」

 中根のタテ社会論は多くの誤解にさらされてきた。それはタテ=上下の関係、ヨコ=平等な関係といったような誤解である。その中でも最も建設的な批判は竹内洋による「同期」の問題である。

 彼は日本社会をタテ社会とすることは、個々の事情を無視して強引に基準をあてはめる””プロクルステスの寝床””の危険性をもっていることを指摘し、タテ社会のなかにあるヨコの関係を見えづらくする「同期」という具体例を挙げた。同期とはふつう私たちが日常使っているような意味で、つまり、入社年次や入学・卒業年次を同じくする者のことである。これは先輩や後輩といったタテ関係とセットになったものであり、同期意識が強いと当然長老主義的秩序も強まり、また、そうした長老主義的秩序が強いとやはり同期意識も強くなるはずである。すなわち、タテとヨコはお互いに強め合っているのだ。

 これに対して中根は反批判を行っている。一言でいえば、中根のいう「タテ」「ヨコ」と竹内のいうそれらの範囲が異なっているのである。竹内のいう「ヨコ」の関係というのはすべて、「場」によって限定された集団内部の「ヨコ」であって、中根のいう組織構造としてのヨコの機能を持ちえないものなのだ。