パニック障害と過呼吸
パニック障害に困っているひとは、是非手に取りたい一冊。「栄養さえとりゃ治るんじゃ」と言い始めたりせず、パニック障害の定義から診断、パニック発作=過呼吸症状の仕組み、””ふつうは””どう呼吸したらいいか・腕や足の簡単なリラックス法など、『私ってそもそもパニック障害?』『どう呼吸するのがふつうなの?』『リラックスとか具体的にどうすんのよ』といった疑問に答えてくれます。自律神経失調症というクソがつくほど便利で使い回される言葉が、大方の予想通り、曖昧な概念だったこともわかります。Googleでパニック障害を検索するよりこれ一冊読んだほうが良いです。
過呼吸になったことのある人が必ず言われるのが、絶対に死ぬことはない、です。過呼吸で死ぬことはありえません。実は過呼吸状態はごく当たり前の体の機能のうちのひとつであり、簡単にその状況を引き出すことすらできてしまうのです。パニック障害のわけのわからない点は、なぜかどうでもいいときにその機能が発動してしまうことです。人間がそのモードに入るとき、体には次のような変化が起きます。ワッと驚いて逃げるときが、このモードの発動する典型的なケースです。
- 筋肉の使用、とくに足にある大きな筋肉に血液が振り分けられる。たとえば100メートル走をしているときはこの状態になっており、顔は青ざめている。しかしこのおかげで素早く動くことができる。
- 筋肉が緊張する。すばやく反応するため。
- 体温が上がりすぎるのをふせぐため、発汗が増加する。
- 心が一つのことに集中する。悪く言うとまわりが見えなくなる。
- 筋肉が大事なので消化は二の次。唾液が少なくなり乾く。
一方、パニック発作の典型的な症状がこちら。
- 動悸、または心拍数の増加
- 発汗
- 身震い
- 息切れ感
- 胸部不快感
- 腹部不快感
- 気の遠くなる感じ
- 現実感消失
- 恐怖
- 異常感覚
パニック発作は人間のごく当たり前の機能が、あたりまえでないときに原因不明に発動しているのです。
逆に、私たちは百メートル走をするとき、意識せず過呼吸状態に身をおくことができているともいえます。体の使い方に慣れているのでしょう。それをなんなくこなしていることに、にんじんとしてはものすごく驚いています。