歴史は史料に基づいて織りなされる物語の重ね合わせである。重なって重なって、盛り上がったところが定説と言われる。人や国について語られる物語はたくさんあり、それが争いの火種になることもあるが、歴史を学ぶことは他者の目でものを見るということでもあり安定した社会のためにも有用なものである。
歴史学には次の四つの作業ステップがあるという。
①過去への「問い」:自らの何らかの関心にもとづいて,過去に対する問いを立てる.
②事実の認識:関連する史料を通じて,過去の諸事実を認識(特定・確認)する.
③事実の解釈:その諸事実を組み合わせ,その時代における意味を考える(解釈する)ことによって,歴史の部分像を描く.
……作業②・③を繰り返す……
作業④歴史像の提示:歴史の部分像をつなげ,最初の問いに答えるような,より全体的な歴史像を描き,オリジナルな成果として論文・書籍などの形で発信する.
東大連続講義 歴史学の思考法 第2章