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人は寝ないとどうなるのか。「睡眠」という活動

 本日のテーマは「睡眠」です。

 

 

 

 

 辞書に不可能という文字がないことで有名なナポレオンは、

三時間は勤勉、四時間は普通、五時間は怠惰

 と言ったそうです

 

 ――――と、睡眠の話になると必ずこのように引きずり出される彼ですが、実は普通によく眠っていたし、昼寝もしていたのだそうです。眠るのは怠惰だ、動け動け、徹夜が勤勉だ、というのは、最近の脳科学の結果を見ても、随分古い考え方になってしまったようです。

 

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そもそも睡眠とはなにか

 睡眠とは、

 「外部の刺激に対する反応性が低下した状態であり、容易に回復するもの」

 のことです(睡眠の科学)。

 

 人は眠るとまず「ノンレム睡眠」という状態になり、続けて「レム睡眠」という状態になります。これを起きるまで周期的に繰り返すことになります。

 

 ノンレム睡眠には段階があります。

  1.  眠ったばかり。声をかけたらすぐに起きてしまう
  2.  音の情報はキャッチできるけれど、1よりは起きない。
  3.  身体も脳も休んでいる状態。
  4.  3のうち、さらに深い眠り。

 ノンレム睡眠は睡眠という言葉のイメージ通り、まさしく休んでいる状態です。段階3に至るのは入眠後3時間ほどのことで、この深い段階にいる時間は、人間は他の哺乳類よりも長いのだそうです。

 ※ノンレム睡眠の段階は脳波で観測します。

 

 休ませるだけならそれで良さそうなものですが、「レム睡眠」もあります。

 なんとこの睡眠は、休むどころか、活発に活動しているのです。

 

なんのためのレム睡眠

 休むなら休めばいいのに、何故わざわざ活動し始めるのか。レム睡眠については未だにわかっていないことが多く、そもそも睡眠についても「なぜ眠るのか」という部分がはっきりしていません。

 

 そういうわけで、レム睡眠をさせないようにする実験が行われたことがあります。ところが、レム睡眠ができなかったほうは次に眠ったときにさっきよりも早くレム睡眠に入ろうとしたのです。その間隔はだんだんと短くなっていき、もはや寝てすぐにレム睡眠をするようになってしまいました。

 

 これまでもっとも寝ないでいた最高記録保持者は「ランディ・ガードナー」さん。

 彼は1964年12月28日午前6時から11日間、寝ないで過ごしました。

 二日目には体調不良を訴え、怒りっぽくなり、記憶障害がみられ、

 四日目にはひどい妄想を見、

 七日目には震えはじめ、言語障害が起こりました。

 

 長く眠らずにいた人もやはり、普通よりもはるかに早くレム睡眠に入ろうとします。人間の身体はレム睡眠に入るチャンスをじっとうかがっているのです。

 

睡眠と記憶の関係

 睡眠の積極的効果を示した最初の実験は、1924年ジェンキンス&ダレンバックによるもの。その結果はこう。:「睡眠をとるほうが記憶が保持される」

 さらに、もっと突っ込んだ結果もある。:「睡眠をとるほうが、記憶が保持され、強化される」。つまり、記憶の引き出しを開けやすくなる。実は運動技能すらも、睡眠によって向上するのです。

 

 要するに覚えておくことはひとつ。

 睡眠は無駄な時間ではないどころか、私たちを助ける。

 だから、よく眠りましょう(˘ω˘)

 

何時間寝れば一番いいのか?

 実はこれについて答えることも容易ではありません。簡単なテスト方法がないのです。一般的に「8時間睡眠」が良い、といわれますが、じつはこの8時間という数値にはなんの根拠もありません。出処すらも不明で、過去にそうした研究はないそうです。

 

 健康な人であればノンレム睡眠レム睡眠90分周期で訪れます。

 最初の三時間で「段階4」の深い眠りが訪れて、それ以降は浅めのノンレム睡眠と、レム睡眠が交互に訪れるようになるのです。

 

 だから「起きるタイミング」は90分おきと言われます。ノンレムとレムが切り替わるぐらいが脳の温度が上がっているときであり、目覚めたときに「よく眠れた」という感覚があります。どんどんと眠りが深まっているときに起きると、「まだ眠り足りないのに」という感じが残ります。

 

 肝心の「何時間眠ればいいのか」には明確な答えはありません。

 人によってまちまちで、その日の疲労感などによっても左右されます。たとえば土曜日に、他の曜日よりも長く眠ることは必要なのです。

 

 結局のところ、睡眠の時間は体のほうに任せるのが一番です。

 しかし何時までに起きないといけない、という縛りがある人がほとんどなので、睡眠的にはかなり不健康だといえるでしょう。現に、日本人の5人に1人が睡眠に問題を抱えています。

 

 

スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠

 

 サーカディアンリズム

「概日周期」というものをご存知でしょうか? サーカディアンリズムとも言われます。

 

 概日リズムとは、約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。一般的に体内時計とも言う。厳密な意味では、概日リズムは内在的に形成されるものであるが、光や温度、食事など外界からの刺激によって修正される。

概日リズム - Wikipedia

 

 日本人のサーカディアンリズム24時間10分です。

 以前は25時間であると言われていましたが、現在は大きく修正されています。ハーバード大学が測定した欧州系アメリカ人の結果は24時間11分でした。しかしもちろん個人差があり、24時間10分というのは平均値で、それを中心に短くなったり延びたりします。ほとんどの人がこのぐらいの時間だということですね。

 重要なポイントは

  1.  「個人差がある」ということ、
  2.  「だいたい24時間」ということです。

 

 だいたい24時間ということは、一日ごとに少しずつズレていくということです。

 外界からの情報を遮断した状態で過ごすと、少しずつリズムが遅れていきます。朝起きたときに日光を浴びようなどと言われるのはそのためで、日の光を受けることで乱れた時間を調整していると言われています。

 より正確にいうと遺伝子の転写とタンパク質合成のリズムが目から入る光の受容によって調整されているのです。ですので、日中にまったく光を浴びないのに、夜に光を浴びる生活をしていると身体の時計がどんどんズレていくことになります。深夜に強い光を浴びる生活はうつ病の発症リスクを高めます。

 

コレをするときは、この時間

 ラッセル・フォスター&レオン・クライツマンによると生物の時計には「それをするのに優れた時間」というものがあります。

 

 

 たとえば短期記憶・計算能力・注意を必要とする仕事をするときは午後4時~8時。また、論理的な判断を必要とする仕事は午前10時~午後2時にかけて非常に優れた成績をおさめます。

 また心臓発作や脳卒中片頭痛、花粉症による鼻炎は午前中に起こりやすく、喘息の発作や出産、それに加えて死ぬことなどは早朝未明の時間帯に生じやすいです。

 

 夜、寝る前にものを食べると身体に悪いと言われるのもこのサーカディアンリズムによって説明されます。グルコース(糖)というエネルギー源は一定以上の濃度になると毒性を生じ、全身の血管を傷つけます。そうならないために普通は内臓が働いてくれるのですが、夜遅い時間帯にはうまく機能してくれないのです。

 とはいえ、糖が来た以上はちゃんと働いてくれるのですが、その時間帯は「休む」時間なので、それが内臓を疲れさせます。具体的にいうと膵臓が糖を分解する物質を分泌できなくなり、やがて全身を糖が回るのです。これを糖尿病といいます。

 

 

 

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