にんじんブログ

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自己は存在しない #34

 原稿用紙一枚で書く日記。#34

 

 この頃はどうにも「自己」というものについて、はっきりと存在するとは言えなくなってきている。オーウェルの『1984年』にダブルシンクという言葉が出てくる。意味は次の通り「相反し合う二つの意見を同時に持ち、それが矛盾し合うのを承知しながら双方ともに信奉すること」。これは自己欺瞞と呼ばれるものとほぼ同じである。

 自己欺瞞を明快に説明してみせるのが精神のモジュール理論である。マーヴィン・ミンスキーの『心の社会』のように、自己とは単一のものでは決してなく、無数の自己が協力したり、逆に協力しなかったりして〈私〉というものを動かしている。いまこれを書いているにんじんは、数あるにんじんの中のひとつであって、役職でいえば政治報道官に近い。つまり自己欺瞞とはある自己とある自己が異なる信念を抱いている、というだけであって、別におかしなところは何もない。つまりこの理論にいえば、””ダブル””シンクどころではない。