本日読んでいきたいのは「FACTFULNESS」です。
随分話題になったので多分もう読んだ方も多いのではないでしょうか?
Q. 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年間でどう変わったでしょう?
選択肢:(1)約2倍になった、(2)あまり変わっていない、(3)半分になった
いきなりこんな質問を出されたら、文部科学省による優秀な学校教育を積んできたみなさんなら間違いなく「思ったやつと逆の答え」を出す、つまり敢えて出してくるんだから裏が答えだ、と決めてかかると思います。―――というわけで、答えは3番の「半分になった」が正解。
向こうも間違えると思って出題してるんだから間違えても大したことではないのですが、この問題のあとに気になる言葉が。
これからシンプルな世界の見方を伝授しよう。それさえ身につければ、細かい数字を覚えなくとも、世界の全体像をつかめるようになるはずだ。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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シンプルな世界の見方とは?
答えは恐ろしく簡単に提示されます。:「事実に基づいて」世界を見ること。
あまりにも簡単すぎて拍子抜けしてしまうのですが、問題はここから始まります。ではこの教えを受けてと奮起したとしても、我々はどうしても事実に基づけないからです。
では、どうして「事実に基づかない世界の見方」しかできないか?
それは「脳の機能」に原因があるのだ、と著者は言います。
- 分断本能
- ネガティブ本能
- 直線本能
- 恐怖本能
- 過大視本能
- パターン化本能
- 宿命本能
- 単純化本能
- 犯人捜し本能
- 焦り本能
進化の過程で手に入れてきた脳のプログラムが、世界の見方を邪魔している。つまりはそういうことになります。著者はこのそれぞれの本能を食い止めるための方法を簡単に提示します。たとえば分断本能=「世界は分断されている」に対しては、巻末で簡潔に「大半の人がどこにいるのか知ろう」と対策が述べられています。
ここまで読んだ限りで不満が残るのは「なぜこの10個なのか?」がわからないということです。たとえば最初の分断本能が誰かに手で隠されていたら、私たちは本能を9個だと勘違いしたまま生きていくでしょう。
また、実は紹介しきれていない本能が他にいくらでもあって、それが無限に増えていくなら、「私たちに世界は正しく見れそうにない」ことが引き出されてしまいます。この点についてはどうするのか。この10個は「さしあたりこれだけ気を付けよう」なのか、どうなのか?
- 作者: 東京大学教養学部統計学教室
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1991/07/09
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