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にんじんの書棚「認知行動療法の哲学」

 CBTがストア哲学に起源をもっているということを書いた本。世の中に出回っている「アドバイス」がいかにストア的で、どれほどこの考え方が流行しているか思い知らされる。もちろん正しいならそれ自体は悪いことではないが、その影響力がちょっと恐ろしくもある。ただし、そもそも別の哲学諸派との切磋琢磨で磨き上げられたもので、その意味ではCBTは「自己コントロール法」の古代ギリシャ哲学総決算のようにも考えられる。

 ストア派の態度は次のようにまとめられている。

  1.  全は一である。孤立した個体など存在せず、あらゆるものはより大きな全体の一部であり、宇宙は時空間全体として捉えられるという意識。
  2.  唯一の善は道徳的善である。私たちにとって唯一重要な事柄は、私たち自身がコントロールしているもの、意志を伴う行為、決定、意図などであり、それらは外的事象とは対照的なのである。
  3.  人類の兄弟愛。人間は知恵と美徳へ向かう意志と能力をもつため、それ自体で価値のある存在である。それゆえ、私たちは人類みなを家族、兄弟姉妹とみなすべきである。
  4.  〈いま・ここ〉。ストア派のコントロールの範囲は今この瞬間にかぎられており、それゆえ、〈いま・ここ〉にのみ注意が向けられる。