本日のテーマは「結婚」です。
昨今、生涯未婚率の増加が叫ばれています。
2015年の国税調査で「50歳まで一度も結婚したことがない人の割合」=生涯未婚率が男性で約23%、女性で約14%になりました。少子化社会対策白書によると今後、未婚率は増えていく予想です。
男女の関係・昔
そもそも、随分昔の日本では「対偶婚」が普通でした。
現在私たちはおこなっている婚姻形態である単婚(一夫一婦制)より一段階前の婚姻形態で、一応一人の夫に対して一人の妻という一対の夫婦関係では成立しているが、(1)それは必ずしも夫以外の男性との性関係は妨げず、(2)その関係は長続きしないというものである。
この対遇婚の特徴は学術用語でいうと、①排他的同棲の欠如と、②当事者の気の向いている間だけ継続する結婚ということができます。
一対の夫婦関係というものはありながらも、他の人とどうなってもよし、別れてもよしといった緩やかなものです。今よりも「結婚」という言葉に対するハードルは極めて低く、人生を左右する一大事ではなかっただろうと言われています。
このことは経済的な生活基盤からも説明できます。
その頃の日本社会の基盤は集落にありました。男女ともにこの集落を離れては生きていくことはできません。農耕は集落の人々が集まって行い、ともに収穫するものです。そこで生まれる子どもは貴重な労働力。
子どもを産むためには男女のペアが必要です。しかし、それが誰の子どもであろうが大した問題ではありません。母親は産んだ人間だから明らかになるとして、それが誰の子であるかは問題になりませんでした。
どうして女性にそんなことができたのかというと、まさに生活基盤が集落全体にあったからです。誰の子であろうが、集落全体で子どもを支えることができました。
武士階層の生活基盤
武士の本業は戦争です。封建社会というのは、トップの起こした戦争に加わって勝利し、手に入れた土地をもらう社会です。手に入れた土地を使って、豊かになっていくのです。そして戦争は、主に男の仕事でした。
土地は引き継ぐ人が誰でもいいというわけにはいきません。このあたりから、自分の血を引く子どもが重要になってきたようです。血統が大事だということで、これまでのように女性に好き勝手されては困ります。その女性から生まれてきた子がはっきりと自分の子どもなのだということがわからなければなりません。
一夫一妻制又は、経済的に裕福なら一夫多妻制は「血統」を重視したものです。明治刑法には姦通罪がありましたが、これは不倫をした妻と不倫相手を罰する法律であって、夫が不倫する分には適用されませんでした。
carrot-lanthanum0812.hatenablog.com
結婚する意味がなくなっていく
そういうスタイルはいつまでも続きません。
もうとっくに封建社会は終わっていますし、男性につき従う理由はありません。男性優位の社会は古代からの伝統では特になく、性別分業すらも最近のものです。
農業はもちろん、商業・サービス業においても男性と女性を区別する必要はなく、血統にこだわらなくてもよくなってきました。家が鬱陶しければ「会社」を頼って外に出て一人暮らしをしたりできますし、経済的に自立した女性も増えています。もはや夫になるはずの男のほうも、他に人が養えるほど裕福ではありません。
ともかく「血統」が(個人の好みはともかく)必要なものではなくなってきているのです。